令和4年・継続的な治療を要する疾病で自力での生活が困難な方に特定活動(1年)|在日約30年5月・不法入国でも在留特別許可となった事例(D類型許可第7事例)
2026/08/06
事例の概要
令和4年分事例集のD類型(その他)許可第7事例です。結論は許可で、特定活動(1年)が認められました。発覚の端緒は出頭申告、違反態様は不法入国で、在日期間および違反期間はいずれも約30年5月です。刑事処分はありません。特記事項には、継続的な治療を要する疾病にり患しており、自力での生活が困難であることが記載されています。在留希望の理由は、本邦で病気の治療を受けたいというものでした。疾病の内容や治療の詳細については、事例集に記載がありません。
ガイドラインのどの評価要素に当たるか
積極要素は次のとおりです。
- 第2の7(1):難病等により本邦での治療を必要とすることは、人道上の配慮として特に考慮する積極要素とされています。本件は継続的な治療の必要と自力での生活の困難が明記されており、この要素に直接当たります。
- 第2の9の「自ら出頭したこと」。
- 約30年5月にわたる在留により本邦に生活の基盤があること。
消極要素は、違反態様が不法入国であること(第2の6)と、約30年5月に及ぶ不法在留期間(第2の5)です。令和6年改定により長期化が明示的な消極要素とされたことを踏まえると、現在は同じ期間をどのように評価するかがより慎重に検討されることになります。本件は改正法施行前、かつ改定前の判断です。
結論を分けた一線はどこか
天秤を傾けたのは、治療の継続が必要であり、自力での生活が困難であるという事情だと読めます。約30年5月という極めて長期の不法在留という重い消極要素があっても、人道上の配慮が正面から働く場面では結論が変わり得ることを示す事例です。同じ令和4年D類型の不許可第5事例は、在留特別許可歴のある日系二世の方が、薬物法令違反による執行猶予期間中に覚醒剤の密輸未遂に関与したものであり、長期の在留や身分関係だけでは足りないことを示しています。
弁護士のコメント
第1に、医学的な資料が判断の中心になります。診断書、治療の経過、今後の治療計画、通院や介助の必要性に関する資料により、治療の継続の必要を示すことになります。あわせて、本国において同等の治療を受けることが困難といえる事情についても、資料により示す必要があります。第2に、支援体制です。日常生活を支える親族や支援者の存在、医療費の負担の見込みは、在留の継続が現実に可能かどうかの判断に関わります。第3に、立証の時期です。ガイドラインの注4により退去強制令書の発付後の事情変更は原則として考慮されませんから、違反審査の段階から資料を整えておくことになります。個別の事情により必要な資料は異なりますので、一般的な整理としてお読みください。
公表されていない事案でも許可はあり得ます
事例集は各年20件前後の抜粋であり、公表されていない事案が多数あります。同じ事情の許可例が見当たらないことは、許可の可能性がないことを意味しません。当事務所は、公表事例では不許可が並ぶ不法就労助長の類型で在留特別許可を獲得しており、許可を得た後も違反認定処分そのものの取消しを争っております。結果をお約束できるものではございません。
当事務所のご案内
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)は、外国人の刑事弁護と入管手続に注力しております。担当は松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)です。
国籍国が発行する公的書類がほとんど存在しない状況でも、生活の実体を示す資料を積み上げ、過去の許可事例との対照を示すことによって、1度の申請で在留特別許可を獲得した事案があります(在留資格を失った後に日本人女性との間の子を認知した方の事案です)。
多くの罪名では執行猶予判決でも結果として退去強制に至るため、当事務所は不起訴処分の獲得を最優先の目標に据えております。
松村弁護士は、接見の初動から公判の結審まで全工程を直接担当いたします。外国人事件に精通した中国語の専属通訳が常駐し、依頼者ご本人のために動きます。刑事手続後の在留資格の更新・変更も、提携する行政書士とワンストップで対応いたします。
結語
治療の必要が関わる事案では、医学的な資料と支援体制を早い段階で整えておくことが大切です。
本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。
本記事は2026年8月時点の情報です。
執筆者
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。
舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
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住所 : 東京都豊島区高田3丁目4-10布施ビル本館3階
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