令和4年・親子関係不存在審判の確定で出生に遡って日本国籍を喪失、在日約14年2月で留学(1年)|在留特別許可が認められた事例(D類型許可第2事例)
2026/08/06
事例の概要
令和4年分事例集のD類型(その他)許可第2事例は、身分関係の変動により日本国籍を失った方の事案です。結論は許可で、留学(1年)が認められました。発覚の端緒は出頭申告、違反態様は不法入国で、在日期間および違反期間はいずれも約14年2月です。刑事処分はありません。特記事項には、親子関係不存在審判の確定により、出生に遡って日本国籍を喪失したことが記載されています。在留希望の理由は、生まれ育った日本で生活したいというものでした。
ガイドラインのどの評価要素に当たるか
積極要素として読めるのは次の点です。
- 第2の9の「自ら出頭したこと」。
- 日本国籍の喪失が審判の確定によって出生に遡って生じたものであり、本人の行為に起因しないこと。事例集が違反態様を不法入国としているのは、この遡及的な効果によるものと読めますが、経緯の詳細は記載からは判明しません。
- 生まれ育った日本での生活の継続。許可された在留資格が留学であることからは、教育機関に在籍する形の在留が認められたと読めます。もっとも就学の内容そのものの記載はありません。
消極要素は、第2の5の不法在留期間(約14年2月)と、第2の6の退去強制理由となった事実です。本件は改正法施行前、かつガイドライン改定前の判断です。
結論を分けた一線はどこか
天秤を傾けたのは、日本国籍の喪失が本人の意思によらない身分関係の変動によって生じたという点だと読めます。約14年2月という不法在留期間は令和6年改定の下では明示的な消極要素ですが、その状態を作り出した原因が本人にないという評価が、これを上回ったと考えられます。同じ令和4年D類型の不許可第1事例は、在留資格を有していた方が偽造在留カードを行使して有罪判決を受けたものであり、本人の行為の性質が正反対に位置しています。
弁護士のコメント
第1に、この類型で中心になるのは身分関係の資料です。審判の確定を示す資料、戸籍および除籍の記録、出生からの居住歴を示す資料により、国籍喪失の経緯と本邦での生育を示すことになります。第2に、立証の段階です。違反審査および口頭審理の段階で在学状況や生活の基盤を示しておく必要があります。ガイドラインの注4により、退去強制令書の発付後の事情変更は原則として考慮されません。第3に、許可された在留資格が留学である点です。在学の継続、学費および生活費の負担の見込みを示す資料は、その後の更新も見据えて整えておくべきものです。一般的な解説であり、事案により必要な資料は異なります。
公表されていない事案でも許可はあり得ます
事例集に掲載されるのは各年20件前後にとどまり、その年の判断の全体像ではありません。したがって、自分と同じ経緯の許可例が載っていないことは、許可の可能性がないことを意味しません。当事務所は、公表事例では不許可が並ぶ不法就労助長の類型において在留特別許可を獲得し、その後も違反認定処分そのものの取消しを争っております。もっとも、公表事例の傾向を覆せると申し上げるものではございません。
当事務所のご案内
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)は、外国人の刑事弁護と入管手続に注力しております。担当は松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)です。
不法滞在で逮捕・起訴された相談者について、婚姻と認知の成立に向けて憲法的な観点から当局と交渉し、入管法違反の刑事裁判を意識した被告人質問・証人尋問を行った上で、在留特別許可を獲得した事案があります。
多くの罪名では執行猶予判決でも結果として退去強制に至るため、当事務所は不起訴処分の獲得を最優先の目標に据えております。
松村弁護士は、接見の初動から公判の結審まで全工程を直接担当いたします。外国人事件に精通した中国語の専属通訳が常駐し、依頼者ご本人のために動きます。刑事手続後の在留資格の更新・変更も、提携する行政書士とワンストップで対応いたします。
結語
身分関係の変動によって在留資格を失った場合、経緯を客観的な記録で示すことが出発点になります。
本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。
本記事は2026年8月時点の情報です。
執筆者
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。
舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
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住所 : 東京都豊島区高田3丁目4-10布施ビル本館3階
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