令和4年・短期滞在から不法残留、6歳の子と共に不許可|在日約2年4月にとどまった事例(C類型不許可第2事例)
2026/08/06
事例の概要
令和4年分事例集のC類型(子と共に不法に滞在している外国人の場合)不許可第2事例です。結論は不許可でした。発覚の端緒は警察による逮捕で、本人(母)の違反態様は不法残留、在日期間は約2年4月、違反期間は約11月です。子は1人で6歳、在日約2年4月・違反約11月と記載されています。不許可の理由として記載された事情は、「短期滞在」で入国した後に不法残留となったことです。刑事処分および被退去強制歴の記載はありません。子の就学状況も、事例集の記載からは判明しません。
ガイドラインのどの評価要素に当たるか
積極要素として指摘できるものは、記載された事情からは限られます。
- 第2の2(3)は、本邦の初等中等教育機関で相当期間教育を受け、本国での就学が困難な事情があり、地域社会に溶け込んでいる子とその監護養育者を積極要素としますが、本件の子の在日期間は約2年4月であり、これを満たす材料は記載から見当たりません。
- 警察逮捕による発覚で、第2の9の「自ら出頭したこと」にも当たりません。
消極要素は、短期滞在という本来短期に限られた在留の基盤が失われた後も約11月にわたり在留を続けたこと(第2の5、第2の6)です。本件は改正法施行前、かつガイドライン改定前の判断です。
結論を分けた一線はどこか
同じ令和4年C類型の許可第2事例は、子2人が14歳と9歳で在日期間が10年前後に及び、家族全員で自ら出頭したものでした。本件との差は、子が本邦で過ごした期間の長さ、地域社会との結びつき、発覚の端緒にあると読めます。違反期間が約11月と短いことは有利に働き得ますが、在日期間そのものが約2年4月にとどまり、積極要素の側に厚みが生じていなかったと読めます。子の年齢が低く本邦での生活期間が短い段階では、家族関係を軸とする積極要素が第2の2(3)の想定する厚みに達しないと評価されやすいと考えられます。
弁護士のコメント
第1に、発覚の端緒の差は小さくありません。本件は警察逮捕による発覚で、第2の9の積極要素を得る機会が失われています。在留資格を失った段階で相談し、出頭の時期と準備を検討しておくことに意味があります。第2に、違反審査の段階での立証です。子の在学状況、通園や通学の継続性、地域の支援者の存在、本国での就学が困難といえる事情は、資料として提出しておく必要があります。この段階で提出されなかった事情は、後に持ち出しても、注4により考慮されにくくなります。第3に、令和6年改定で子の利益が明示された点は、現在同じ事情で申請する場合の主張に影響しますが、子の本邦での成育期間が短い事案では依然として容易ではないと考えられます。
公表されていない事案でも許可はあり得ます
掲載されているのは、その年の判断のうち20件前後の抜粋です。公表事例に自分と同じ事情の許可例が見当たらないことは、許可の可能性がないことを意味しません。当事務所は、公表事例では不許可が並ぶ不法就労助長の類型で在留特別許可を獲得しており、許可後も違反認定処分の取消しを争っております。公表事例の傾向は検討の出発点にすぎません。
当事務所のご案内
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)は、外国人の刑事弁護と入管手続に注力しております。担当は松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)です。
不法滞在で逮捕・起訴された相談者について、婚姻と認知の成立に向けて憲法的な観点から当局と交渉し、入管法違反の刑事裁判を意識した被告人質問・証人尋問を行った上で、在留特別許可を獲得した事案があります。
多くの罪名では執行猶予判決でも結果として退去強制に至るため、当事務所は不起訴処分の獲得を最優先の目標に据えております。
松村弁護士は、接見の初動から公判の結審まで全工程を直接担当いたします。外国人事件に精通した中国語の専属通訳が常駐し、依頼者ご本人のために動きます。刑事手続後の在留資格の更新・変更も、提携する行政書士とワンストップで対応いたします。
結語
お子様と共に在留を希望される場合、出頭の時期と資料の準備を早い段階で検討しておくことが大切です。
本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。
本記事は2026年8月時点の情報です。
執筆者
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。
舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
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