令和4年・子3人と共に不法滞在、職員探知での発覚でも家族4人に定住者(1年)|在留特別許可歴があった事例(C類型許可第1事例)
2026/08/06
事例の概要
出入国在留管理庁が公表した令和4年分事例集のC類型(子と共に不法に滞在している外国人の場合)許可第1事例です。結論は許可で、本人と子3人の家族4人がそろって定住者(1年)を認められました。発覚の端緒は入管職員の探知で、自ら出頭したものではありません。本人は不法残留で、在日約16年7月・違反約2年2月です。子3人もいずれも不法残留で、11歳(在日約11年10月)、9歳(在日約9年7月)、7歳(在日約7年10月)、違反期間はいずれも約2年3月でした。刑事処分はなく、本人には在留特別許可歴があります。子の就学状況は事例集の記載からは判明しません。
ガイドラインのどの評価要素に当たるか
積極要素は次の点です。
- 第2の2(3):子3人は在日期間が年齢とほぼ重なり、本邦で生まれ育ったと読めます。監護養育者である本人も同項の対象です。もっとも就学状況の記載はなく、相当期間の教育を受けたかは断定できません。
- 令和6年3月改定で明示された「本邦で家族とともに生活をするという子の利益の保護の必要性」(参議院附帯決議14項)。
消極要素は、第2の9の「自ら出頭したこと」に当たらないこと(職員探知による発覚です)、第2の5の不法在留期間(令和6年改定で明示的な消極要素とされました)、および在留特別許可歴です。本件は令和5年改正入管法(令和6年6月10日施行)およびガイドライン改定の前の判断です。
結論を分けた一線はどこか
ガイドライン第3は、積極要素が消極要素を明らかに上回る場合に許可の方向で検討するとしています。本件で天秤を傾けたのは、子3人が在日期間の全部を本邦で過ごし、家族の生活の中心が本邦にあると認められた点だと読めます。本人の違反期間が約2年2月にとどまったことも、判断を軽くしたと考えられます。同じ令和4年C類型の不許可第2事例は子1人・6歳・在日約2年4月であり、子が本邦で過ごした期間の長短が結論を分けたと考えられます。
弁護士のコメント
読み取れることは2点です。第1に、発覚の端緒が職員探知であっても許可の余地はあります。第2の9の積極要素を欠く分、他の積極要素を資料で厚く示す必要があります。第2に、その立証は違反審査の段階から始めるべきです。退去強制手続は違反調査から異議申出まで段階を追って進み、在留特別許可は最後の段階の判断ですが、そこで初めて動いても間に合わないことがあります。注4は、退去強制令書の発付後の事情変更を原則として考慮しないとしています。子の在学状況を示す書類、母子健康手帳、家計の一体性を示す資料は早い段階で整えるべきものです(必要な資料は事案によります)。
公表されていない事案でも許可はあり得ます
事例集は各年20件前後の抜粋であり、網羅的ではありません。同じ事情の許可例が見当たらないことは、許可の可能性がないことを意味しません。当事務所が担当した不法就労助長の事案は、公表事例では不許可が並ぶ類型でありながら在留特別許可を得ており、許可後も違反認定処分の取消しを争っております。もっとも、傾向を覆せると申し上げるものではございません。
当事務所のご案内
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)は、外国人の刑事弁護と入管手続に注力しております。担当は松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)です。
観光目的で来日した相談者が日本人女性との間に子を授かったものの在留資格を失い、不法滞在で逮捕・起訴された事案では、当局から一旦受理されなかった婚姻と認知を交渉によって成立させ、入管当局の過去の許可事例を分析して、1度の申請で在留特別許可を獲得しております。
多くの罪名では執行猶予判決でも結果として退去強制に至るため、当事務所は不起訴処分の獲得を最優先の目標に据えております。
松村弁護士は、接見の初動から公判の結審まで全工程を直接担当いたします。外国人事件に精通した中国語の専属通訳が常駐し、依頼者ご本人のために動きます。刑事手続後の在留資格の更新・変更も、提携する行政書士とワンストップで対応いたします。
結語
子と共に不法滞在の状態にある方の場合、家族の生活の実体をどの段階でどのように示すかが結論を左右いたします。
本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。
本記事は2026年8月時点の情報です。
執筆者
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。
舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
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