令和4年・入管職員の探知で発覚しても在留特別許可|配偶者が定住者・未成年の子1人で定住者(1年)が認められた事例(B類型許可第1事例)
2026/08/06
事例の概要
自ら出頭したのではなく、入管職員の探知で発覚した事案でも許可が出ています。出入国在留管理庁公表の令和4年分事例集のB類型(配偶者が正規在留外国人の場合)許可第1事例で、結論は許可、在留資格「定住者」(1年)が認められました。違反態様は不法残留、端緒は職員探知です。在日期間は約2年、違反期間も約2年で、日本での生活のほぼ全期間が不法残留にあたります。婚姻期間は約2年2月、夫婦間に未成年の子1人があり、配偶者は在留資格「定住者」です。刑事処分はなく、被退去強制歴の記載もありません。
ガイドラインのどの評価要素に当たるか
現行ガイドライン(令和6年3月改定)に当てはめます。
- 積極・第2の2(2):配偶者の「定住者」は別表第二の在留資格です。同項は、別表第二の在留資格者との家族関係で第2の2(1)に準じるものを特に考慮する積極要素とします。婚姻期間約2年2月と夫婦間の子が、この評価を支えます。
- 積極・子の利益:令和6年改定で明示された、家族とともに生活をするという子の利益の保護の必要性。
- 消極:端緒が職員探知のため、第2の9の出頭申告は働きません。
- 消極・第2の5:不法在留期間約2年。
- 消極・第2の6:不法残留(入管法24条4号ロ)。
本件は令和5年改正入管法の施行前、かつガイドライン改定前の判断です。
結論を分けた一線はどこか
ガイドライン第3は、積極要素が消極要素を明らかに上回る場合に許可の方向で検討します。対比すべきは同じ令和4年B類型の不許可第1事例です。そちらも職員探知で発覚し、配偶者は永住者でしたが、婚姻期間は約11月で夫婦間の子はなく、本国に未成年の実子2人がありました。同じ端緒でありながら結論が分かれた理由は、別表第二の配偶者という枠が同じであっても、夫婦間の子の有無と婚姻の期間で家族関係の厚みが違ったことにあると読めます。
弁護士のコメント
第1に、摘発型でも許可の余地は残ります。第2の9の積極要素を欠く分、家族関係の立証を資料で厚く補う必要があります。第2に、その立証は違反審査の段階から始めるべきです。手続は違反調査、違反審査(認定)、口頭審理(判定)、法務大臣への異議申出の順に進みます。在留特別許可は最後の段階の判断ですが、ガイドラインの注4は退去強制令書の発付後の事情変更を原則として考慮しないとしていますので、後で足すという発想は通りません。第3に、揃えておくものの例は、配偶者の在留カードと在留資格を示す資料、住民票、子の出生や健診の記録、家計の一体性を示す資料などです。事案によって求められるものは異なります。
公表されていない事案でも許可はあり得ます
事例集は各年20件前後の抜粋であり、その年に許可された事案の全体像ではありません。似た事情の許可例が見当たらないとしても、許可の可能性がないという意味にはなりません。当事務所が担当した不法就労助長の事案は、公表事例では不許可が並ぶ類型でありながら在留特別許可を得ており、許可後もなお違反認定処分の取消しを争っております。公表事例の傾向を覆せると申し上げるものではございません。
当事務所のご案内
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)は、中国籍の方を中心とする外国人の刑事弁護と入管手続に注力しております。松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)が担当いたします。
在留資格を失い不法滞在で逮捕・起訴された相談者の事案では、婚姻と認知が未了として一旦受理されなかったところ、憲法的な観点から交渉して婚姻・認知を成立させ、入管当局の過去の許可事例を分析することで、1度の申請で在留特別許可を獲得しております。
当事務所は、不起訴処分の獲得を最優先の目標に据えております。多くの罪名では、執行猶予判決を得ても結果として退去強制に至るためです。松村弁護士は接見の初動から公判の結審まで全工程を直接担当し、外国人事件に精通した中国語の専属通訳が常駐しております。刑事手続後の在留資格の更新・変更も、提携する行政書士とワンストップで対応いたします。
結語
摘発で発覚した事案では、出頭申告という積極要素を欠く分、家族関係の実体をどこまで資料で示せるかが結論を左右いたします。
本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。
本記事は2026年8月時点の情報です。
執筆者
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。
舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
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