舟渡国際法律事務所

令和4年・覚醒剤の密輸で懲役9年、在留特別許可歴もあり不許可|日本人配偶者と未成年の子1人でも許可されなかった事例(A類型不許可第5事例)

お問い合わせはこちら

令和4年・覚醒剤の密輸で懲役9年、在留特別許可歴もあり不許可|日本人配偶者と未成年の子1人でも許可されなかった事例(A類型不許可第5事例)

令和4年・覚醒剤の密輸で懲役9年、在留特別許可歴もあり不許可|日本人配偶者と未成年の子1人でも許可されなかった事例(A類型不許可第5事例)

2026/08/06

事例の概要

未成年の子があっても許可に至らなかった事例です。出入国在留管理庁公表の令和4年分事例集のA類型(配偶者が日本人の場合)不許可第5事例です。違反態様は薬物法令違反、端緒は警察逮捕でした。在日期間は約21年3月、違反期間の欄は原文で斜線です。婚姻期間は約1月、夫婦間に未成年の子1人があり、配偶者は日本人です。刑事処分は、覚醒剤取締法違反及び関税法違反により懲役9年、罰金500万円の判決でした(懲役は事例集公表当時の原典表記であり、現行法では拘禁刑に相当します)。事例集は、覚醒剤の密輸に関与したこと、在留特別許可歴があることを挙げます。

ガイドラインのどの評価要素に当たるか

現行ガイドライン(令和6年3月改定)に当てはめます。

  • 積極・子の利益:未成年の実子があり、令和6年改定で明示された子の利益の保護の必要性が働きます。
  • 積極になり得た第2の2(1):日本人との婚姻はありますが、期間は約1月で「相当期間共同生活をして相互に扶助し」には及びません。
  • 消極・第2の6:覚醒剤の密輸への関与という反社会性。事例集の中でも最も重い部類です。
  • 消極:一度在留特別許可を受けた後に重大な犯罪に至った経過。
  • 消極:端緒が警察逮捕のため、第2の9の出頭申告は働きません。

現行法では、無期又は1年を超える拘禁刑の実刑に処せられた者は、入管法50条1項ただし書により「在留を許可しないことが人道上の配慮に欠けると認められる特別の事情」がある場合に限り許可されます。本件は同項の新設前の判断です。

結論を分けた一線はどこか

ガイドライン第3は、積極要素が消極要素を明らかに上回る場合に許可の方向で検討します。同じ令和4年A類型でも、許可第5事例は不法就労助長で罰金20万円の略式命令にとどまり、婚姻の実体も保たれて許可されました。本件は子という強い積極要素がありながら、罪質と量刑、在留特別許可歴がそれを上回ったと読めます。子の存在だけで結論が決まるのではなく、消極要素の重さとの相関で評価されると考えられます。

弁護士のコメント

第1に、薬物法令違反は入管法24条4号チに当たり、刑の軽重や執行猶予の有無を問わず退去強制事由になります。加えて本件は懲役9年ですから、同条4号リにも当たります。この構造の下では、執行猶予の獲得を最終目標に据える弁護方針は成り立ちません。目標は不起訴処分、あるいは公判における無罪の獲得です。第2に、密輸事案では薬物の認識の有無が争点になり得ます。運搬を依頼された経緯、報酬の約束、荷物の内容の説明といった事実関係を、初期の取調べから丁寧に固める必要があります。

公表されていない事案でも許可はあり得ます

事例集の掲載は各年20件前後にとどまり、その年の許可事案を網羅していません。公表資料に同じ類型の許可例が見当たらないことは、可能性がないことの証明にはなりません。当事務所が担当した不法就労助長の事案では、公表事例に不許可が並ぶ類型でありながら在留特別許可を得ており、許可後もなお違反認定処分の取消しを争っております。傾向を覆せると申し上げるものではありません。

当事務所のご案内

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)は、中国籍の方を中心とする外国人の刑事弁護と入管手続に注力しております。松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)が担当いたします。

覚醒剤取締法違反(営利目的所持)で起訴された依頼者について、徹底した証拠分析と被告人質問・反対尋問により無罪判決を獲得しております。薬物事件は在留への影響が最も大きい類型であり、だからこそ刑事段階の争い方が決定的になります。

在留資格を失い不法滞在で逮捕・起訴された相談者の事案では、交渉によって婚姻・認知を成立させ、過去の許可事例を分析して1度の申請で在留特別許可を獲得しております。

当事務所は、不起訴処分の獲得を最優先の目標に据えております。松村弁護士は接見の初動から公判の結審まで全工程を直接担当し、外国人事件に精通した中国語の専属通訳が常駐しております。刑事手続後の在留資格の更新・変更も、提携する行政書士とワンストップで対応いたします。

結語

薬物事件では、執行猶予ではなく不起訴又は無罪を目標に据えることが、在留の可能性を残す前提となります。

本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

本記事は2026年8月時点の情報です。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士

第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)

中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。

舟渡国際法律事務所

ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/

微信ID:matsumura1119

----------------------------------------------------------------------
舟渡国際法律事務所
住所 : 東京都豊島区高田3丁目4-10布施ビル本館3階
電話番号 :050-7587-4639


東京にて中国人の方をサポート

東京を中心に刑事事件の弁護

----------------------------------------------------------------------

当店でご利用いただける電子決済のご案内

下記よりお選びいただけます。