舟渡国際法律事務所

令和5年・大麻と覚醒剤など複数の罪で執行猶予5年でも在留特別許可|日本人内妻と日本人実子の監護養育で定住者1年(D類型許可第7事例)

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令和5年・大麻と覚醒剤など複数の罪で執行猶予5年でも在留特別許可|日本人内妻と日本人実子の監護養育で定住者1年(D類型許可第7事例)

令和5年・大麻と覚醒剤など複数の罪で執行猶予5年でも在留特別許可|日本人内妻と日本人実子の監護養育で定住者1年(D類型許可第7事例)

2026/08/06

事例の概要

複数の罪名で有罪となっても在留が認められた事例です。令和5年分の事例集(出入国在留管理庁公表)のうち、D類型(その他)の許可第7事例です。本人は永住者で、在日期間は約26年3月。違反態様は薬物法令違反、端緒は警察逮捕です。刑事処分は、大麻取締法違反、詐欺未遂、覚醒剤取締法違反、邸宅侵入により懲役3年、執行猶予5年の判決でした(懲役は事例集公表当時の原典表記であり、現行法では拘禁刑に相当します)。日本人の内妻とともに日本人である実子を監護・養育していると記載されています。結果として定住者(1年)が認められました。

ガイドラインのどの評価要素に当たるか

当てはめは令和6年3月改定の現行ガイドラインによります。本事例自体は、改正入管法施行(令和6年6月10日)前・改定前ガイドラインの下での判断です。

  • 積極要素・第2の2(1)(イ):未成年で未婚の日本人の実子を相当期間同居して監護養育していること。
  • 積極要素:家族とともに生活する子の利益の保護の必要性。令和6年3月改定で明示されました。
  • 積極要素・その他:在日約26年3月の生活基盤と永住者としての地位。
  • 消極要素・第2の6:薬物関係法令違反による有罪は入管法24条4号チに当たり、全部執行猶予でも退去強制事由となります。他方、入管法24条4号リ(無期又は1年超の拘禁刑)は全部執行猶予を除くため、本事例は同号には当たらないと読めます。罪名が複数にわたることは不利に働きます。
  • 出頭申告(第2の9)には当たりません。

改正入管法50条1項ただし書により、現行法では人道上の配慮に欠けると認められる特別の事情がある場合に限り許可される枠組みとなります。

結論を分けた一線はどこか

ガイドライン第3は、積極要素が消極要素を明らかに上回る場合に許可の方向で検討するとします。本事例で天秤を傾けたのは、日本人である実子を現に同居して養育している家族関係と、26年余りの生活基盤であったと読めます。同じ令和5年のD類型不許可第5事例は、覚醒剤取締法違反と窃盗により実刑判決を受けた永住者で、家族との同居の継続を在留希望の理由に挙げていましたが不許可でした。実刑か執行猶予か、日本国籍の子を現に養育しているかが分かれ目と読めます。

弁護士のコメント

2点を挙げます。

第1に、刑事段階の目標設定です。入管法24条4号チは薬物関係法令違反による有罪を退去強制事由とし、執行猶予でも該当します。猶予付き判決を得ても退去強制手続は進みます。仮に不起訴処分を得られていれば、同号の該当性を生じさせずに済んだ余地があります。断定はできませんが、起訴前段階からの組立てが要点です。

第2に、用意すべき資料です。子の在学や通園に関する資料、住民票や賃貸借契約、家計の一体性を示す記録、内妻や支援者の陳述、再犯防止に向けた通院や指導の記録などを重ねます。注4は令書発付後の事情変更を考慮しませんから、刑事裁判中から並行して準備します。

公表されていない事案でも許可はあり得ます

事例集は各年20件前後の抜粋であり、その年の許可の全部ではありません。同じ罪名の組合せの許可例が載っていないことは、許可の可能性がないことを意味しません。当事務所が担当した不法就労助長の事案は、公表事例では不許可が並ぶ類型でありながら在留特別許可を得ています。傾向は出発点であって結論ではありません。

当事務所のご案内

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)は、中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護と入管手続を主たる注力分野とし、松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)が担当します。

覚醒剤取締法違反(営利目的所持)で起訴された事案では、徹底した証拠分析と反対尋問により無罪判決を獲得しました。特殊詐欺の出し子とされた20代の女性の事案では、指示役からの欺罔や脅迫的な状況、犯意の不存在を主張して不起訴処分を獲得しています。

多くの罪名では執行猶予判決でも結果として退去強制となるため、当事務所は起訴前段階からの不起訴処分の獲得を最優先目標とします。松村弁護士が接見の初動から公判の結審まで全工程を直接担当します。外国人事件に精通した中国語専属通訳が常駐します。刑事手続終了後の在留資格の更新・変更は、提携行政書士とワンストップで対応できます。

結語

罪名が重なった事案でも、家族関係と生活基盤を丁寧に示すことで結論が変わり得ます。本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

本記事は2026年8月時点の情報です。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士

第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)

中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。

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ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/

微信ID:matsumura1119

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