舟渡国際法律事務所

令和5年・定住者の配偶者と婚姻約1年1月、不法残留約5年でも在留特別許可|未成年の子1人・出頭申告の事例(B類型許可第3事例)

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令和5年・定住者の配偶者と婚姻約1年1月、不法残留約5年でも在留特別許可|未成年の子1人・出頭申告の事例(B類型許可第3事例)

令和5年・定住者の配偶者と婚姻約1年1月、不法残留約5年でも在留特別許可|未成年の子1人・出頭申告の事例(B類型許可第3事例)

2026/08/06

事例の概要

不法残留が5年に及んでいる場合、諦めるほかないのかというご質問をいただきます。出入国在留管理庁が令和6年11月に公表した令和5年分の事例集のB類型(配偶者が正規在留外国人の場合)許可第3事例は、その点で参考になります。

違反態様は不法残留、発覚の端緒は出頭申告。在日期間は約6年4月、うち違反期間は約5年です。配偶者との婚姻期間は約1年1月で、夫婦間に未成年の子が1人います。配偶者の在留資格は「定住者」でした。刑事処分はなく、「定住者(1年)」が許可されました。

この判断は令和5年改正入管法の施行前、かつ現行ガイドラインの改定前のものです。

ガイドラインのどの評価要素に当たるか

  • 第2の2(2)(積極):別表第二の在留資格を有する者との家族関係で、同項(1)に準じるもの。配偶者の「定住者」は別表第二の在留資格ですので、この積極要素に乗ります。夫婦間に未成年の子がいることも、婚姻の安定性・成熟性を示します。
  • 子の利益(積極):家族とともに本邦で生活するという子の利益の保護の必要性。令和6年改定で明示されました。
  • 第2の9(積極):不法滞在の事実を申告するため自ら出頭したこと。
  • 第2の5(消極):約5年に及ぶ不法在留期間。明示的に消極要素とされたのは令和6年改定であり、現在同じ事情で申請すれば、この点の評価は変わりえます。
  • 素行不良(第2の3)に当たる事情や刑事処分の記載はありません。

結論を分けた一線はどこか

在日期間の大部分が不法在留であったにもかかわらず許可されています。天秤を傾けたのは、定住者である配偶者との家族関係に未成年の子が加わったこと、そして自ら出頭したことの組合せであったと読めます。婚姻期間が約1年1月と短い点は、子の存在によって補われたと読めます。

同じB類型の不許可第3事例は、同じく出頭申告ですが、子がなく、退去強制歴があり、不許可でした。分かれ目は不法在留の長さではなく、未成年の子という積極要素と、退去強制歴という消極要素の有無であったと読めます。

なお、不法在留期間の長期化が明示的に消極要素と位置づけられたのは令和6年改定です。

弁護士のコメント

第1に、出頭前の準備です。不法在留が数年に及ぶ事案では、消極要素が最初から見えていますから、積極要素の側を出頭前に固めておく作業が要になります。婚姻の実体を示す資料、子の出生や在園の状況、配偶者の在留資格を示す資料、家計の一体性を示す資料などです。

第2に、争う段階を意識することです。在留特別許可の判断は、違反調査、違反審査(認定)、口頭審理(判定)、法務大臣への異議申出と進む手続の最後の局面にあります。注4は令書発付後の事情変更を原則として考慮しませんから、発付前に出し切っておく必要があります。認定や判定に不服を留保せずに従うと、争点が事実上封じられる場面もあります。必要な資料は事案ごとに異なりますので、一般的な例示としてお読みください。

公表されていない事案でも許可はあり得ます

事例集に載るのは各年20件前後にすぎません。実際の判断はその何倍もあり、掲載されていない許可例も当然に存在します。似た事情の許可例が見つからないことを、可能性がないことと読み替える必要はありません。当事務所が担当した不法就労助長の事案は、公表事例では不許可が並ぶ類型でありながら在留特別許可を得ています。

当事務所のご案内

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)の松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)は、中国籍の方を中心とする外国人の刑事弁護と入管手続を主たる注力分野としています。

観光目的で来日された方が日本人女性との間にお子さんを授かったものの在留資格を失い、不法滞在で逮捕・起訴された事案では、一旦は不受理とされた婚姻と認知を憲法的な観点から当局と交渉して成立させ、入管当局の過去の許可事例を分析した上で、1度の申請で在留特別許可を獲得しました。お子さんの存在をどう位置づけるかが要になる類型です。

多くの罪名では執行猶予でも結果として退去強制となるため、起訴前からの不起訴処分の獲得を最優先の目標とします。接見の初動から公判の結審まで松村弁護士自身が全工程を直接担当し、外国人事件に精通した中国語の専属通訳が常駐して、依頼者ご本人のために動く立場から通訳します。刑事手続後の在留資格の更新・変更も、提携する行政書士とワンストップで対応できます。

結語

本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

本記事は2026年8月時点の情報です。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士

第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)

中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。

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ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/

微信ID:matsumura1119

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