舟渡国際法律事務所

令和5年・常習累犯窃盗で実刑2年6月で不許可|永住者・日本人配偶者と未成年の子1人でも許可されなかった事例(A類型不許可第4事例)

お問い合わせはこちら

令和5年・常習累犯窃盗で実刑2年6月で不許可|永住者・日本人配偶者と未成年の子1人でも許可されなかった事例(A類型不許可第4事例)

令和5年・常習累犯窃盗で実刑2年6月で不許可|永住者・日本人配偶者と未成年の子1人でも許可されなかった事例(A類型不許可第4事例)

2026/08/06

事例の概要

在日期間が20年近く、未成年のお子さんがいても、許可に至らない例です。出入国在留管理庁が令和6年11月に公表した令和5年分事例集のA類型(配偶者が日本人)不許可第4事例です。

違反態様は刑罰法令違反、発覚の端緒は警察逮捕。本人の在留資格は「永住者」でした。在日期間は約19年8月、婚姻期間は約19年5月で、夫婦間に未成年の子が1人います。刑事処分は、常習累犯窃盗により懲役2年6月の実刑判決で、ほかに前科4件があります(懲役は事例集公表当時の原典表記であり、現行法では拘禁刑に相当します)。違反期間の欄は原文で斜線です。

この判断は令和5年改正入管法の施行前、かつ現行ガイドラインの改定前のものです。

ガイドラインのどの評価要素に当たるか

  • 第2の2(1)(ウ)(積極):約19年5月の婚姻に加え、夫婦間に未成年の子がいるという、この要素として最も厚い形が揃っています。
  • 子の利益(積極):家族とともに本邦で生活するという子の利益の保護の必要性。
  • その他の事情(積極):在日約19年8月にわたる生活基盤。
  • 第2の6(消極):退去強制理由となった事実の反社会性。常習累犯窃盗という罪名は財産犯の常習性を前提とするもので、前科4件という記載とあいまって、評価は相当重くなります。
  • 第2の9:警察逮捕による発覚のため、自ら出頭したことによる積極要素はありません。

結論を分けた一線はどこか

積極要素の側は、A類型の許可事例と比べても遜色のない厚みでした。それでも許可に至らなかったのは、前科4件と2年6月の実刑という、常習性を示す消極要素の重さです。

ガイドライン注4は、特に考慮する積極要素があることが当然に許可を意味するものではないとしています。本件は、家族関係が厚くとも、繰り返された財産犯の評価がそれを上回りうることを示す実例と読めます。同類型の許可第4事例が薬物法令違反でも執行猶予であったことと対比すると、実刑か否か、そして前科の累積があるかが分水嶺になっていると読めます。

弁護士のコメント

第1に、量刑と退去強制事由の関係です。入管法24条4号リは、無期又は1年を超える拘禁刑に処せられた者を退去強制事由とし、全部執行猶予の場合を除いています。本件の2年6月の実刑はこの号に当たります。永住者などの別表第二の在留資格者には、別表第一の在留資格者を対象として入管法上の一定の罪による有罪判決を実刑・執行猶予を問わず退去強制事由とする規定は及びませんが、4号リは及びます。「永住者だから大丈夫」という理解は成り立ちません。

第2に、前科の累積が量刑を押し上げ、結果として4号リの線を越えさせる構造に注意が必要です。同種前科がある方の事案では、最初の1件の段階から、不起訴処分や罰金にとどめる方向で全力を尽くしておくことが、後の在留を守る作業でもあります。仮に実刑となれば、現行法では入管法50条1項ただし書により、在留を許可しないことが人道上の配慮に欠けると認められる特別の事情がある場合に限られることになります。

公表されていない事案でも許可はあり得ます

掲載されているのは各年20件前後の抜粋であり、その年の判断のすべてではありません。厳しい記載が並ぶからといって、同じ事情の方に道がないとは限りません。当事務所が担当した不法就労助長の事案は、公表事例では不許可が並ぶ類型でありながら在留特別許可を得ており、その後も違反認定処分の取消しを争っています。傾向を出発点にしつつ、どこに突破口があるかを個別に検討することになります。

当事務所のご案内

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)の松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)は、中国籍の方を中心とする外国人の刑事弁護と入管手続を主たる注力分野としています。

特殊詐欺の受け子として複数回の再逮捕を受けた事案では、取調べへの対応を徹底し、不当な取調べには抗議を重ねて、全件について不起訴処分を獲得しました。件数が重なる事案でこそ、初動の対応が結論を分けます。

国際的な刑事事件、裁判員裁判の対象事件、世界的に報道された事件への対応実績があります。中国籍の方の重大事件にも多数対応してきました。

多くの罪名では執行猶予でも結果として退去強制となるため、起訴前からの不起訴処分の獲得を最優先の目標とします。接見の初動から公判の結審まで松村弁護士自身が全工程を直接担当し、外国人事件に精通した中国語の専属通訳が常駐して、依頼者ご本人のために動く立場から通訳します。刑事手続後の在留資格の更新・変更も、提携する行政書士とワンストップで対応できます。

結語

本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

本記事は2026年8月時点の情報です。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士

第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)

中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。

舟渡国際法律事務所

ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/

微信ID:matsumura1119

----------------------------------------------------------------------
舟渡国際法律事務所
住所 : 東京都豊島区高田3丁目4-10布施ビル本館3階
電話番号 :050-7587-4639


東京にて中国人の方をサポート

東京を中心に刑事事件の弁護

----------------------------------------------------------------------

当店でご利用いただける電子決済のご案内

下記よりお選びいただけます。