舟渡国際法律事務所

令和5年・覚醒剤取締法違反で実刑1年6月、在留特別許可歴ありで不許可|日本人配偶者との婚姻約18年8月でも許可されなかった事例(A類型不許可第3事例)

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令和5年・覚醒剤取締法違反で実刑1年6月、在留特別許可歴ありで不許可|日本人配偶者との婚姻約18年8月でも許可されなかった事例(A類型不許可第3事例)

令和5年・覚醒剤取締法違反で実刑1年6月、在留特別許可歴ありで不許可|日本人配偶者との婚姻約18年8月でも許可されなかった事例(A類型不許可第3事例)

2026/08/06

事例の概要

婚姻期間が18年を超えていても許可されない場合があります。出入国在留管理庁が令和6年11月公表の令和5年分事例集のA類型(配偶者が日本人)不許可第3事例です。

違反態様は薬物法令違反、端緒は警察逮捕。本人の在留資格は「日本人の配偶者等」です。在日期間は約18年10月、婚姻期間は約18年8月で、子は1人ですが既に成年です。刑事処分は、覚醒剤取締法違反により懲役1年6月の実刑判決で、ほかに前科1件があります(懲役は事例集公表当時の原典表記であり、現行法では拘禁刑に相当します)。過去に在留特別許可を受けた経緯もあります。

この判断は令和5年改正入管法の施行前、かつ現行ガイドラインの改定前のものです。

ガイドラインのどの評価要素に当たるか

  • 第2の2(1)(ウ)(積極):約18年8月にわたる婚姻は、本来この要素として厚いものです。
  • 子については既に成年であるため、未成年の実子の監護養育という積極要素や、令和6年改定で明示された子の利益の要素には当たりません。
  • 第2の6(消極):退去強制理由となった事実の反社会性。薬物法令違反の実刑判決に前科1件が加わり、評価は重くなります。
  • 過去に在留特別許可を受けながら再び違反に至った経緯も、素行の評価において重く働きます。
  • 第2の9:警察逮捕による発覚のため、自ら出頭したことによる積極要素はありません。

結論を分けた一線はどこか

同じA類型の許可第4事例と並べると輪郭が見えます。そちらも覚醒剤取締法違反ですが、懲役3年・執行猶予5年であり、未成年の子が2人いて、前科や在留特別許可歴の記載はありませんでした。本件は実刑であり、前科1件と在留特別許可歴があり、子は成年に達しています。

分かれ目は、刑が実刑か執行猶予か、前科や過去の在留特別許可歴があるか、そして未成年の子の監護養育という積極要素が現に働くかという3点であったと読めます。婚姻期間の長さは、これらを覆すには足りなかったと読めます。

弁護士のコメント

第1に、量刑がそのまま在留の帰趨に直結しています。入管法24条4号リは、無期又は1年を超える拘禁刑に処せられた者を退去強制事由とし、全部執行猶予の場合を除いています。本件は1年6月の実刑ですので、この号に正面から当たります。さらに同号チは薬物法令違反による有罪判決を対象とし、執行猶予でも該当しますから、薬物事件では二重に不利です。

第2に、そうであれば起訴前の段階が勝負になります。不起訴処分を得ていれば、4号チ・4号リいずれの該当性も生じさせずに済んだ余地がありました。また現行法の下では、1年を超える拘禁刑の実刑に処せられた者について、入管法50条1項ただし書により、在留を許可しないことが人道上の配慮に欠けると認められる特別の事情がある場合に限って許可されることになります。前科がある方の事案では、逮捕直後から量刑を左右する事情を積み上げる作業を始める必要があります。

公表されていない事案でも許可はあり得ます

事例集に載るのは各年20件前後で、実際の判断のごく一部にすぎません。厳しい記載が並ぶ類型であっても、それは抜粋の中での傾向です。当事務所が担当した不法就労助長の事案は、公表事例では不許可が並ぶ類型でありながら在留特別許可を得ており、許可後もなお違反認定処分の取消しを争っています。傾向をどう超えるかは、理論構成と立証の問題です。

当事務所のご案内

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)の松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)は、中国籍の方を中心とする外国人の刑事弁護と入管手続を主たる注力分野としています。

覚醒剤取締法違反(営利目的所持)で起訴された依頼者について、証拠を徹底的に分析し、被告人質問と反対尋問を尽くして無罪判決を得ました。

特殊詐欺の受け子として複数回の再逮捕を受けた事案では、取調べへの対応を徹底し、不当な取調べには抗議を重ねて、全件について不起訴処分を獲得しました。

多くの罪名では執行猶予でも結果として退去強制となるため、起訴前からの不起訴処分の獲得を最優先の目標とします。接見の初動から公判の結審まで松村弁護士自身が全工程を直接担当し、外国人事件に精通した中国語の専属通訳が常駐して、依頼者ご本人のために動く立場から通訳します。刑事手続後の在留資格の更新・変更も、提携する行政書士とワンストップで対応できます。

結語

本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

本記事は2026年8月時点の情報です。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士

第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)

中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。

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ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/

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