舟渡国際法律事務所

令和5年・覚醒剤取締法違反で執行猶予でも在留特別許可|永住者から「日本人の配偶者等」へ・未成年の子2人の事例(A類型許可第4事例)

お問い合わせはこちら

令和5年・覚醒剤取締法違反で執行猶予でも在留特別許可|永住者から「日本人の配偶者等」へ・未成年の子2人の事例(A類型許可第4事例)

令和5年・覚醒剤取締法違反で執行猶予でも在留特別許可|永住者から「日本人の配偶者等」へ・未成年の子2人の事例(A類型許可第4事例)

2026/08/06

事例の概要

薬物事件は、執行猶予が付いても在留に直結します。それでも許可された例が、出入国在留管理庁が令和6年11月に公表した令和5年分事例集のA類型(配偶者が日本人)許可第4事例です。

違反態様は薬物法令違反、発覚の端緒は警察逮捕。本人の在留資格は「永住者」でした。在日期間は約13年3月、婚姻期間は約2年8月で、夫婦間に未成年の子が2人います。刑事処分は、覚醒剤取締法違反により懲役3年、執行猶予5年の判決です(懲役は事例集公表当時の原典表記であり、現行法では拘禁刑に相当します)。「日本人の配偶者等(1年)」が許可されました。

この判断は令和5年改正入管法の施行前、かつ現行ガイドラインの改定前のものです。

ガイドラインのどの評価要素に当たるか

  • 第2の2(1)(ウ)(積極):日本人と法的に婚姻し、夫婦間に子があるなど婚姻が安定かつ成熟していること。未成年の子が2人いる点が当たります。
  • 子の利益(積極):家族とともに本邦で生活するという子の利益の保護の必要性。令和6年改定で明示されました。
  • 在日約13年3月にわたる生活基盤も、地域社会との関係という形で積極方向に働きます。
  • 第2の6(消極):退去強制理由となった事実の反社会性。薬物法令違反はこの評価が重く働く類型です。
  • 第2の9:警察逮捕による発覚のため、自ら出頭したことによる積極要素はありません。

違反期間の欄は原文で斜線となっており、第2の5は問題となりません。

結論を分けた一線はどこか

警察逮捕による発覚と薬物法令違反という二つの不利を抱えながら許可された点が特徴です。天秤を傾けたのは、日本人配偶者との婚姻と未成年の子2人という家族関係、そして約13年3月の生活基盤であったと読めます。

同じA類型の不許可第3事例と比べると輪郭がはっきりします。そちらも覚醒剤取締法違反ですが、実刑1年6月であり、ほかに前科1件、在留特別許可歴もありました。分かれ目は、刑が実刑か執行猶予か、前科や過去の在留特別許可歴があるかという点であったと読めます。

弁護士のコメント

第1に、号ごとの構造を押さえる必要があります。入管法24条4号リは無期又は1年を超える拘禁刑に処せられた者を退去強制事由としますが、全部執行猶予の場合は除かれます。他方、同号チは麻薬・大麻・覚醒剤等の法令違反により有罪の判決を受けた者を対象とし、執行猶予でも該当します。薬物事件で「執行猶予が付いたから日本に居られる」という理解は、この構造と合いません。

第2に、だからこそ起訴前の段階が勝負になります。不起訴処分を得ていれば、有罪判決を要件とする4号チの該当性そのものを生じさせずに済んだ余地があります。逮捕直後から勾留の判断までの期間に、所持や使用の認識を含めた事実関係を検討することが、後の入管手続の土台にもなります。

なお現行法の下でも、執行猶予付きの薬物事件は入管法50条1項ただし書が定める類型には含まれないと解されるため、通常の判断枠組みで検討されることになります。

公表されていない事案でも許可はあり得ます

毎年公表されるのは20件前後の抜粋にすぎません。薬物事件は消極要素が重い類型ですが、この事例が示すとおり、家族関係と生活基盤の立証によって結論が動く場面はあります。現に当事務所が担当した不法就労助長の事案は、公表事例では不許可が並ぶ類型でありながら在留特別許可を得ており、その後も違反認定処分の取消しを争っています。

当事務所のご案内

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)の松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)は、中国籍の方を中心とする外国人の刑事弁護と入管手続を主たる注力分野としています。

覚醒剤取締法違反(営利目的所持)で起訴された依頼者について、証拠を徹底的に分析し、被告人質問と反対尋問を尽くして無罪判決を得ました。裁判員裁判の対象となる事件や報道された重大事件にも多数対応しています。

観光目的で来日された方が在留資格を失い不法滞在で逮捕・起訴された事案では、過去の許可事例を分析した上で、1度の申請で在留特別許可を獲得しました。

多くの罪名では執行猶予でも結果として退去強制となるため、起訴前からの不起訴処分の獲得を最優先の目標とします。接見の初動から公判の結審まで松村弁護士自身が全工程を直接担当し、外国人事件に精通した中国語の専属通訳が常駐して、依頼者ご本人のために動く立場から通訳します。刑事手続後の在留資格の更新・変更も、提携する行政書士とワンストップで対応できます。

結語

本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

本記事は2026年8月時点の情報です。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士

第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)

中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。

舟渡国際法律事務所

ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/

微信ID:matsumura1119

----------------------------------------------------------------------
舟渡国際法律事務所
住所 : 東京都豊島区高田3丁目4-10布施ビル本館3階
電話番号 :050-7587-4639


東京にて中国人の方をサポート

東京を中心に刑事事件の弁護

----------------------------------------------------------------------

当店でご利用いただける電子決済のご案内

下記よりお選びいただけます。