令和5年・子どもがいない日本人配偶者との婚姻約5年9月で在留特別許可|不法残留約3月・出頭申告の事例(A類型許可第2事例)
2026/08/06
事例の概要
夫婦にお子さんがいない場合、在留特別許可は難しいのかというご質問をよく受けます。出入国在留管理庁が令和6年11月に公表した令和5年分の事例集のA類型(配偶者が日本人の場合)許可第2事例は、その点を考える材料になります。
違反態様は不法残留、発覚の端緒は出頭申告。在日期間は約9年7月、うち違反期間は約3月にとどまります。日本人配偶者との婚姻期間は約5年9月で、夫婦間に子はありません。刑事処分はなく、「日本人の配偶者等(1年)」が許可されました。
この判断は令和5年改正入管法(令和6年6月10日施行)の施行前、かつ現行ガイドライン(令和6年3月改定)の改定前のものです。
ガイドラインのどの評価要素に当たるか
- 第2の2(1)(ウ)(積極):日本人と法的に婚姻し、相当期間共同生活をして相互に扶助し、婚姻が安定かつ成熟していること。約5年9月の婚姻期間がこれを支えます。同号が挙げる「夫婦間に子があるなど」は安定性・成熟性を示す例示であり、子の不存在がそれだけで結論を決めるものではありません。
- 第2の9(積極):不法滞在の事実を申告するため自ら出頭したこと。
- 第2の5(消極):不法在留期間は約3月と短く、消極要素としての比重は軽いといえます。
素行不良(第2の3)に当たる事情や、刑事処分の記載もありません。
結論を分けた一線はどこか
在日約9年7月に対し違反期間が約3月しかないという配置が目を引きます。在留期間の更新が間に合わなかった段階で速やかに出頭したと読める形であり、第2の5の消極要素がほとんど積み上がっていません。
同じA類型の不許可第1事例は、婚姻期間約1年8月、違反期間約1年9月で、婚姻・同居の実態が認められなかった旨が記載されています。子がいないという点は共通しますが、本件では約5年9月の婚姻期間が共同生活の実体を示しました。分かれ目は子の有無ではなく、夫婦としての生活の裏付けであったと読めます。
弁護士のコメント
第1に、出頭の時期です。違反期間が短いうちに出頭できた事案と、数年を経てから出頭した事案では、同じ出頭申告でも第2の5の評価が変わります。在留期間の満了に気付いた時点で相談していただくことに、大きな意味があります。
第2に、子がいない場合の立証です。第2の2(1)(ウ)は共同生活と相互扶助を要求しますので、婚姻届の存在だけでは足りません。同居期間を示す住民票の履歴、賃貸借契約書、共同名義の口座や公共料金の支払記録、双方の親族による陳述書、生活の様子が分かる写真などを、違反審査の段階から積み上げる必要があります。どの資料が有効かは事案ごとに異なりますので、一般的な例示としてお読みください。
公表されていない事案でも許可はあり得ます
公表されている事例は、その年の判断のすべてではありません。掲載は各年20件前後の抜粋であり、実際の許可件数のごく一部です。同じ組合せの許可例が見当たらないことを、許可の可能性がないことと読み替える必要はありません。当事務所が担当した不法就労助長の事案では、公表事例では不許可が並ぶ類型でありながら在留特別許可を得ています。
当事務所のご案内
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)の松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)は、中国籍の方を中心とする外国人の刑事弁護と入管手続を主たる注力分野としています。
不法就労助長を理由に退去強制の危機に立たれた女性の事案では、公表事例では不許可が並ぶ類型でありながら在留特別許可を獲得し、あわせて従来の実務を問う訴訟を現在も続けています。
観光目的で来日された方が在留資格を失い不法滞在で逮捕・起訴された事案では、不受理とされた婚姻と認知を当局と交渉して成立させ、1度の申請で在留特別許可を獲得しました。
多くの罪名では執行猶予でも結果として退去強制となるため、起訴前からの不起訴処分の獲得を最優先の目標とします。接見の初動から公判の結審まで松村弁護士自身が全工程を直接担当し、外国人事件に精通した中国語の専属通訳が常駐して、依頼者ご本人のために動く立場から通訳します。刑事手続後の在留資格の更新・変更も、提携する行政書士とワンストップで対応できます。
結語
本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。
本記事は2026年8月時点の情報です。
執筆者
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。
舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
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住所 : 東京都豊島区高田3丁目4-10布施ビル本館3階
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