舟渡国際法律事務所

令和6年前半・覚醒剤取締法違反で執行猶予でも在留特別許可されず|在日約18年8月・婚姻約2月・在留特別許可歴ありの事例(A類型不許可第2事例)

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令和6年前半・覚醒剤取締法違反で執行猶予でも在留特別許可されず|在日約18年8月・婚姻約2月・在留特別許可歴ありの事例(A類型不許可第2事例)

令和6年前半・覚醒剤取締法違反で執行猶予でも在留特別許可されず|在日約18年8月・婚姻約2月・在留特別許可歴ありの事例(A類型不許可第2事例)

2026/08/06

事例の概要

「執行猶予が付いたから日本に居られる」という理解は薬物事件では通りません。その典型が、出入国在留管理庁が令和7年7月に公表した令和6年1月1日から6月9日までの事例集A類型(配偶者が日本人)不許可第2事例です。

違反態様は薬物法令違反、端緒は通報です。在日期間は約18年8月、違反期間は約1年3月、婚姻期間は約2月、夫婦間に子はありません。刑事処分は覚醒剤取締法違反により懲役1年6月、執行猶予3年の判決で、ほかに前科1件があります(懲役は原典表記であり、現行法では拘禁刑に相当します)。在留特別許可歴もあります。結論は不許可です。

ガイドラインのどの評価要素に当たるか

本事例は令和5年改正入管法の施行(令和6年6月10日)前、在留特別許可が職権による恩恵的措置であった時期の判断です。以下は現行ガイドライン(令和6年3月改定)に当てはめます。

  • 第2の2(1)(ウ):日本人との法的婚姻は積極要素ですが、婚姻期間が約2月で子もなく、「相当期間共同生活」を満たすには足りません。
  • 第2の9:通報による発覚で、自ら出頭した積極要素はありません。
  • 第2の6:薬物法令違反は反社会性が重く見られる類型で、前科1件と在留特別許可歴も素行の消極評価につながります。
  • 在日期間約18年8月は生活基盤として評価される余地がありますが、事例集に記載はありません。

結論を分けた一線はどこか

天秤が動かなかったのは、罪名が薬物法令違反であること、婚姻期間が約2月にとどまる点、前科と在留特別許可歴が重なる点だと読めます。ガイドライン第3は積極要素が消極要素を「明らかに上回る」場合に許可を検討するとしていますが、上回るべき積極要素が薄い状態でした。

同じA類型の許可第3事例も執行猶予付きの有罪判決ですが、罪名は入管法違反(不法残留)で、婚姻期間は約11月、前科の記載もありません。同じ執行猶予でも、薬物法令違反が加わると評価が変わったと読めます。

弁護士のコメント

本事例で最も重要なのは、入管法24条の号ごとの構造の違いです。

同条4号リは「無期又は1年を超える拘禁刑に処せられた者」を退去強制事由としますが、全部執行猶予は除外されます。他方、同条4号チは薬物関係法令違反による有罪を退去強制事由とし、執行猶予であっても該当します。薬物事件では執行猶予判決でも退去強制手続に進みます。

そうであるからこそ、薬物事件の弁護は起訴前段階での不起訴処分の獲得を最優先の目標とする必要があります。本事例でも、不起訴処分を獲得できていれば4号チの退去強制事由該当性を生じさせずに済んだ余地があったと読めます。所持や使用の認識、共謀の有無といった主観面を刑事段階で争うことが、在留の可否にも直結します。

公表されていない事案でも許可はあり得ます

事例集は各年20件前後の抜粋にすぎません。同じ罪名の事例が不許可として並んでいても、個別の事案の結論を決めるものではありません。当事務所が担当した不法就労助長の事案は、公表事例では不許可が並ぶ類型ながら在留特別許可を獲得し、その後も違反認定処分の取消しを争っています。

当事務所のご案内

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)の松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)は、中国籍の方を中心とする外国人刑事弁護と入管手続を主な注力分野としています。

覚醒剤取締法違反(営利目的所持)で起訴された依頼者の事案では、徹底した証拠分析と被告人質問・反対尋問により無罪判決を獲得しました。裁判員裁判の対象事件や報道された重大事件にも多数対応しています。

多くの罪名では執行猶予判決でも結果として退去強制となるため、起訴前段階からの不起訴処分の獲得を最優先の目標とします。松村弁護士は接見の初動から公判の結審まで全工程を直接担当し、外国人事件に精通した中国語専属通訳が常駐します。刑事手続後の在留資格の更新・変更は提携行政書士とワンストップで対応できます。

結語

薬物事件では、執行猶予の獲得ではなく不起訴処分の獲得を目標に据えることが、在留の可否を左右します。本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

本記事は2026年8月時点の情報です。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士

第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)

中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。

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ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/

微信ID:matsumura1119

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