舟渡国際法律事務所

令和6年後半・窃盗と詐欺で懲役4年の実刑、生活基盤の主張だけでは不許可|在日約27年11月でも許可されなかった事例(D類型不許可事例)

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令和6年後半・窃盗と詐欺で懲役4年の実刑、生活基盤の主張だけでは不許可|在日約27年11月でも許可されなかった事例(D類型不許可事例)

令和6年後半・窃盗と詐欺で懲役4年の実刑、生活基盤の主張だけでは不許可|在日約27年11月でも許可されなかった事例(D類型不許可事例)

2026/08/06

事例の概要

在日期間が長いことだけでは、天秤は傾きません。出入国在留管理庁が令和7年7月に公表した令和6年後半分の事例集のうち、D類型(その他)で在留特別許可がされなかった事例です。違反態様は刑罰法令違反、発覚の端緒は警察逮捕で、在日期間は約27年11月でした。刑事処分は、窃盗、詐欺、電子計算機使用詐欺の罪により懲役4年の実刑判決です(懲役は事例集公表当時の原典表記であり、現行法では拘禁刑に相当します)。在留希望の理由は本邦での生活基盤でした。家族関係の記載はありません。

ガイドラインのどの評価要素に当たるか

現行ガイドライン(令和6年3月改定)と改正法の当てはめは次のとおりです。

  • 改正入管法50条1項ただし書:1年を超える拘禁刑の実刑に処せられた者は、在留を許可しないことが人道上の配慮に欠けると認められる特別の事情がある場合に限り許可されます。4年の実刑の本件はこの立場です。
  • 第2の6(消極):財産に関する複数の罪を重ねた実刑であり、反社会性は高く評価されます。
  • 第2の9(積極):発覚は警察逮捕であり、自ら出頭したという積極要素はありません。
  • 第2の2(積極):家族関係に当たる事情の記載はありません。
  • その他の事情(積極):在日約27年11月の生活基盤が挙げられていますが、第2の7の人道上の配慮に当たる記載はありません。

結論を分けた一線はどこか

同じD類型のただし書該当の許可事例と比べると輪郭が見えます。その事例は、盗品等有償譲受け、盗品等運搬により懲役1年6月、罰金20万円の実刑判決でしたが、日本で生まれた永住者である未成年の実子を監護養育しているという事情があり、定住者(1年)が許可されました。本件は在日期間がより長いのに、主張されたのは生活基盤のみでした。ただし書の「特別の事情」は生活の長さでは足りず、送還によって失われる具体的な保護の必要性が求められていると読めます。

弁護士のコメント

まず、入管法24条4号リは無期又は1年を超える拘禁刑に処せられた者を退去強制事由とし、全部執行猶予を除きます。4年の実刑である本件は同号に該当し、さらに改正法50条1項ただし書の枠に入ります。刑事段階で不起訴処分を得るか、量刑を1年以下にとどめられていれば、この枠組みで判断される立場自体を避けられた可能性があります。財産犯では被害弁償や示談で量刑が動く余地があり、示談交渉は在留の可否にも影響します。

次に、主張の組み方です。生活基盤の長さは、それ自体では特別の事情の中核になりにくいと読めます。家族関係、監護を要する子、治療の必要性といった具体的な保護の必要性を、判決の確定前から資料で示しておく必要があります。退去強制令書の発付後の事情変更は原則として考慮されません(ガイドライン注4)。

公表されていない事案でも許可はあり得ます

事例集に掲載されるのは各区分の数件で、同じ罪名でも結論が分かれます。本記事で対比したただし書該当の許可事例がその例です。掲載例に近い罪名があるとしても、それだけで結論が決まるものではありません。当事務所が担当した不法就労助長の事案も、公表事例では不許可が並ぶ類型でありながら在留特別許可を得ています。もっとも、結果をお約束できるものではありません。

当事務所のご案内

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)は、松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)が、中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護と入管手続を主たる注力分野としています。

特殊詐欺の受け子として複数回再逮捕された事案では、徹底した取調べ対応と不当な取調べへの抗議により、全件について不起訴処分を獲得しました。財産犯では、起訴前の段階で処分の内容を変えることが、その後の在留を左右します。

当事務所は、多くの罪名では執行猶予判決を得ても結果として退去強制となることを踏まえ、起訴前段階からの不起訴処分の獲得を最優先目標としています。松村弁護士が接見の初動から公判の結審まで全工程を直接担当し、外国人事件に精通した中国語専属通訳が常駐しています。刑事手続終了後の在留資格の更新・変更は、提携する行政書士とワンストップで対応いたします。

結語

本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

本記事は2026年8月時点の情報です。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士

第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)

中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。

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ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/

微信ID:matsumura1119

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住所 : 東京都豊島区高田3丁目4-10布施ビル本館3階
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