令和6年後半・在留諸申請の虚偽申告で不許可|出頭申告・未成年の子3人でも許可されなかった不法入国15年4月の事例(B類型不許可第3事例)
2026/08/06
事例の概要
自ら出頭し、未成年の子も3人いる。それでも不許可になることがあります。出入国在留管理庁が令和7年7月に公表した令和6年後半(改正入管法施行の令和6年6月10日以降)の事例集のうち、配偶者が正規在留外国人である類型(B類型)の不許可第3事例が、その一例です。不法入国で、本人が自ら出頭して申告し発覚しました。在日期間と違反期間はいずれも約15年4月。配偶者は「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を有し、婚姻期間は約7年7月、未成年の子が3人います。刑事処分はありません。特記事項には、在留諸申請で虚偽の内容を申告していたことが記され、結論は不許可でした。
ガイドラインのどの評価要素に当たるか
- 積極要素として、第2の9の自ら出頭して不法滞在を申告したこと。未成年の子3人には、令和6年改定で明示された子の利益が関わります。
- 配偶者の「技術・人文知識・国際業務」は入管法別表第一の二の表の在留資格です。ガイドライン第2の2(2)が特に考慮する積極要素とするのは別表第二(永住者・定住者等)との家族関係であり、本件はこれに直接は当たりません。
- 消極要素として、在留諸申請における虚偽の申告。第2の3の素行に関わり、手続の誠実さを損なう事情として評価されます。
- 消極要素として、第2の5の不法在留期間の長期化(約15年4月)と、第2の6の退去強制理由となった事実。不法入国は入国自体が違法であり、不法残留より重く評価されやすい類型です。
結論を分けた一線はどこか
本件には、出頭申告と未成年の子3人という積極要素があり、刑事処分もありませんでした。それでも許可されなかったのは、在留諸申請における虚偽の申告が積極要素の側を空洞化させたためと読めます。虚偽の申告があると、提出した家族関係の資料の信用性が疑われる構造になります。同じB類型の許可第4事例は、婚姻期間が約4月と短く子も1人でしたが、永住者である配偶者との家族関係と自主的な出頭が評価されて許可されています。子の数や滞在の長さより、申告の正確さが結論を左右したと考えられます。
弁護士のコメント
第1に、違反審査の段階で何を述べるかです。退去強制手続は違反調査、違反審査(認定)、口頭審理(判定)、異議申出という三審構造を採り、この過程で作成される調書は在留特別許可の判断における基礎資料になります。過去の申請書類との食い違いをどう説明するか、当初の記載がどのような経緯で生じたのかを、事実に即して整理しておく必要があります。
第2に、通訳の確保です。虚偽の申告と評価される記載が、本人の意図とは別に、代行業者や不正確な通訳を介して生じる場合もあります。当局が指定する通訳とは別に、依頼者本人のために動く立場の通訳を確保しておくことは、こうした食い違いを早い段階で発見するために意味があります。もっとも、既に確定した記載の評価を後から覆すことは容易ではありません。
公表されていない事案でも許可はあり得ます
虚偽申告があると記された不許可事例が公表されていることから、同じ経緯のある方は最初から諦めてしまいがちです。事例集は各年20件前後の抜粋であり、許可の全体像ではありません。当事務所が担当した不法就労助長の事案は、公表事例では不許可が並ぶ類型でありながら在留特別許可を得ています。
当事務所のご案内
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)は、松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)が、中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護と入管手続を主たる注力分野として取り扱っています。
観光目的で来日した相談者が在留資格を失い不法滞在で逮捕・起訴された事案では、婚姻と認知が未了であるとして当局から一旦受理されなかったところ、憲法的な観点から交渉して婚姻・認知を成立させました。国籍国が発行する公的書類がほとんど存在しない状況下でも有利な証拠を集め、過去の許可事例を分析することにより、1度の申請で在留特別許可を獲得しています。
また、不法就労助長罪に問われた女性の事案では、退去強制事由に故意・過失を要しないとする従来の実務の当否を問う訴訟を進めながら、在留特別許可を獲得しました。
多くの罪名では執行猶予判決を得ても結果として退去強制となるため、当事務所は起訴前の段階から不起訴処分の獲得を最優先の目標に据えます。松村弁護士は接見の初動から公判の結審まで全工程を直接担当します。外国人事件に精通した中国語の専属通訳が常駐しており、依頼者ご本人のために動く立場の通訳を確保します。刑事手続後の在留資格の更新・変更も、提携する行政書士とワンストップで対応いたします。
結語
書類に何をどう書いたかは、何年経っても審査の場に戻ってきます。出頭の前に、過去の申請内容を整理しておくことが大切です。
本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。
本記事は2026年8月時点の情報です。
執筆者
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。
舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
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