舟渡国際法律事務所

令和6年後半・覚醒剤取締法違反で1年2月の実刑でも在留特別許可|改正入管法50条1項ただし書の「特別の事情」が認められた事例(B類型ただし書該当許可事例)

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令和6年後半・覚醒剤取締法違反で1年2月の実刑でも在留特別許可|改正入管法50条1項ただし書の「特別の事情」が認められた事例(B類型ただし書該当許可事例)

令和6年後半・覚醒剤取締法違反で1年2月の実刑でも在留特別許可|改正入管法50条1項ただし書の「特別の事情」が認められた事例(B類型ただし書該当許可事例)

2026/08/06

事例の概要

薬物事件で実刑判決を受け、もう在留特別許可の余地はないと言われた。そうしたご相談があります。出入国在留管理庁が令和7年7月に公表した令和6年後半(改正入管法施行の令和6年6月10日以降)の事例集には、配偶者が正規在留外国人である類型(B類型)で、改正法50条1項ただし書に該当しながら許可された事例が載っています。薬物法令違反で、関係機関からの通報により発覚しました。在日期間は約30年4月、違反期間は該当欄が斜線で判明しません。配偶者は「定住者」の在留資格を有し、婚姻期間は約6年2月、未成年の子が3人います。刑事処分は覚醒剤取締法違反により懲役1年2月の実刑判決でした(懲役は事例集公表当時の原典表記であり、現行法では拘禁刑に相当します)。前科・在留特別許可歴の記載はなく、許可は「定住者」(1年)です。

ガイドラインのどの評価要素に当たるか

  • 積極要素として、配偶者の「定住者」は入管法別表第二の在留資格であり、ガイドライン第2の2(2)の特に考慮する積極要素に関わります。
  • 積極要素として、未成年の子3人があること。令和6年改定で明示された、本邦で家族とともに生活する子の利益の保護の必要性が正面から問題となります。
  • 在日期間が約30年4月に及び、本邦の生活基盤の厚みを示します。
  • 消極要素として、第2の6の退去強制理由となった事実。覚醒剤取締法違反による実刑は重く評価される部類です。
  • 第2の9の自ら出頭したことは、通報による発覚であるため本件にはありません。

結論を分けた一線はどこか

本件は入管法24条4号チに該当し、1年を超える拘禁刑の実刑であるため4号リにも該当します。改正法50条1項ただし書により、「在留を許可しないことが人道上の配慮に欠けると認められる特別の事情」がある場合に限って許可され得る立場でした。同じB類型の不許可第4事例は、同じ覚醒剤取締法違反で1年6月の実刑という、刑期にして4月の違いしかない事案でありながら不許可です。両者を分けたのは刑期の数字ではなく、不許可事例に前科3件と在留特別許可歴があった一方、本件の欄にその記載がなく、未成年の子3人の監護養育という具体的な必要が働いたことと読めます。

弁護士のコメント

第1に、薬物事件で問題となる号の構造です。入管法24条4号チは、薬物関係法令違反による有罪を、執行猶予であっても退去強制事由とします。実刑が1年を超えれば4号リにも当たり、ただし書の限定を受けます。逆にいえば、不起訴を獲得できていれば4号チ該当という結果自体が生じなかった余地があります。

第2に、ただし書該当となった後の進め方です。積極要素を並べるだけでは足りず、「在留を許可しないことが人道上の配慮に欠ける」といえる中身を示す必要があります。本件から読み取れるのは、未成年の子の監護養育の必要と長期の生活基盤の複合です。子の在学状況、監護の分担、配偶者の就労と収入を、違反審査の段階から資料で示します。

公表されていない事案でも許可はあり得ます

本事例は、薬物事件の実刑でも在留特別許可があり得ることを行政自身が示したものです。もっとも事例集は各年20件前後の抜粋であり、掲載されていない事情の組合せは無数にあります。似た事例が見当たらないことは、可能性がないことを意味しません。

当事務所のご案内

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)は、松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)が、中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護と入管手続を主たる注力分野として取り扱っています。

覚醒剤取締法違反(営利目的所持)で起訴された依頼者について、徹底した証拠分析と被告人質問・反対尋問により無罪判決を獲得した実績があります。薬物事件では、執行猶予では在留を守れないため、事実そのものを争う姿勢が要になります。

また、在留資格を失って不法滞在で逮捕・起訴された相談者の事案では、当局と交渉して婚姻・認知を成立させ、過去の許可事例を分析することにより1度の申請で在留特別許可を獲得しました。ただし書該当事案でも、過去の許可事例の分析は出発点になります。

多くの罪名では執行猶予判決を得ても結果として退去強制となるため、当事務所は起訴前の段階から不起訴処分の獲得を最優先の目標に据えます。松村弁護士は接見の初動から公判の結審まで全工程を直接担当します。外国人事件に精通した中国語の専属通訳が常駐しており、依頼者ご本人のために動く立場の通訳を確保します。刑事手続後の在留資格の更新・変更も、提携する行政書士とワンストップで対応いたします。

結語

実刑判決を受けた後でも、示すべき事情が残っている場合があります。何を人道上の配慮の中身として組み立てるかが要になります。

本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

本記事は2026年8月時点の情報です。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士

第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)

中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。

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ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/

微信ID:matsumura1119

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住所 : 東京都豊島区高田3丁目4-10布施ビル本館3階
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