監理措置は1年で3,783件|入管庁の公表統計で読む収容・仮放免・在留特別許可の変化(令和6年6月〜令和7年末)
2026/09/10
令和6年6月10日に改正入管法が施行されてから令和7年末までに、監理措置決定は合計4,906件に達した。令和7年の1年間では、監理措置決定が3,783件であったのに対し、仮放免許可は286件であった。(出入国在留管理庁の公表値を当事務所で集計)
- 身柄の解放の中心は、仮放免から監理措置に移った
- 年末の被監理者は1,546人となり、退去強制令書発付後の被監理者は213人から894人に増えた
- 退去強制令書発付後の被仮放免者は2,449人から1,987人に減った
- 発付前の被監理者に対する就労(報酬を受ける活動)の許可は4件にとどまった
- 在留特別許可は令和7年に1,026件であった
この記事は何のデータを使っているのか
出入国在留管理庁が公表した2つの資料を用いた。令和6年分は、改正法の施行日である令和6年6月10日から同年12月末までの運用状況をまとめた「令和5年改正入管法の運用状況について」と、同年の入管法違反事件に関する報道発表資料である。令和7年分は、「令和7年における入管法違反事件について」である。いずれも公表資料の数値をそのまま転記し、合計や比較は当事務所で行った。
身柄の解放はどのように変わったのか
令和6年の施行後約6か月半で、監理措置決定は1,123件、仮放免許可は127件であった。令和7年の1年間では、監理措置決定が3,783件、仮放免許可が286件である。改正法は、仮放免を健康上または人道上の理由などによる一時的な解放と位置づけ直し、収容に代わる措置として監理措置を設けた。統計は、その設計どおりに運用が移っていることを示している。
| 項目 | 令和6年6月10日〜12月末 | 令和7年(1月〜12月) |
|---|---|---|
| 監理措置決定件数 | 1,123件(発付前647・発付後476) | 3,783件(発付前2,103・発付後1,680) |
| 仮放免許可件数 | 127件(収容令書によるもの42・退去強制令書によるもの85) | 286件(発付前97・発付後189) |
| 3か月ごとの収容見直しの報告件数 | 128件 | 214件 |
| うち長官が監理措置決定を命じた件数 | 10件 | 2件 |
| 在留特別許可(申請の許可) | 469件 | 1,026件 |
| 送還停止効の例外を適用した送還 | 19人(3回目以降の申請者17・実刑判決等2) | 59人(3回目以降の申請者52・実刑判決等7) |
| 発付前の被監理者の報酬を受ける活動の許可 | - | 4件 |
※令和6年の仮放免許可の内訳は、公表資料の区分(収容令書によるもの・退去強制令書によるもの)のとおり記載した。
年末の人数はどう変わったのか
年末時点の人数を見ると、退去強制令書が発付された後の被監理者は、令和6年末の213人から令和7年末の894人に増えた。他方で、退去強制令書が発付された後の被仮放免者は、2,449人から1,987人に減っている。令書発付後の社会内での生活も、仮放免から監理措置へ移りつつあることがうかがわれる。
| 項目 | 令和6年末 | 令和7年末・令和7年 |
|---|---|---|
| 被監理者数(年末) | 退去強制令書発付後213人 | 1,546人(発付前652・発付後894) |
| 被仮放免者数(年末) | 退去強制令書発付後2,449人 | 2,429人(発付前442・発付後1,987) |
| 退去強制令書による収容期間が6月以上の者(年末) | - | 17人(前年末比30人減) |
| 退去強制令書により送還した者 | 7,698人(令和6年通年) | 7,563人 |
3か月ごとの収容の見直しは機能しているのか
改正法は、退去強制令書により収容されている者について、3か月ごとに収容の継続の要否を見直し、出入国在留管理庁長官に報告する仕組みを設けた。報告件数は、令和6年の施行後が128件、令和7年が214件であった。そのうち長官が監理措置決定をすべきことを命じた件数は、令和6年が10件、令和7年が2件である。見直しの結果として監理措置に移された件数は、令和7年には大きく減った。
もっとも、退去強制令書による収容期間が6月以上であった者は、令和7年末で17人と、前年末から30人減っている。長期収容の数そのものは減少している。
監理措置中の就労はどの程度認められているのか
退去強制令書の発付前の被監理者は、生計の維持に必要な範囲で、許可を受けて報酬を受ける活動をすることができる。しかし、令和7年に許可された件数は4件であった。年末の発付前の被監理者が652人であることと比べると、就労によって生計を立てる道は、制度上は開かれていても、実際にはごく限られている。
当事務所の実務の見方としては、監理措置を求める段階から、監理人や親族による生活支援の計画を具体的な資料で示すことが、決定を得るうえでも、その後の生活を維持するうえでも重要になっている。
在留特別許可の数字から何が分かるのか
令和5年改正により、在留特別許可は申請に基づく手続として法定化され、考慮事情が入管法50条5項に明示された。申請の許可件数は、令和6年6月10日から同年末までが469件、令和7年が1,026件である。申請ができるのは退去強制令書が発付される前までであり(同条3項)、監理措置の段階で資料を整えられるかどうかが結論を左右する。
送還をめぐる数字はどうか
令和7年に退去強制令書により送還した者は7,563人で、そのうち自費出国が6,677人、国費送還が823人であった。国費送還のうち護送官を付した送還は318人である。難民等認定申請中の送還停止効の例外を適用した送還は、令和6年の施行後が19人、令和7年が59人であった。
よくある質問
監理措置と仮放免は、どちらが認められやすいのですか。
統計上、身柄の解放の中心は監理措置に移っています。令和7年の監理措置決定は3,783件で、仮放免許可の286件の約13倍でした。もっとも、個別の判断は逃亡のおそれの程度や監理人の有無などによるため、件数から個別の見込みを判断することはできません。
監理措置中に働くことはできますか。
退去強制令書の発付前の被監理者は、許可を受ければ報酬を受ける活動ができますが、令和7年の許可は4件にとどまりました。令書の発付後は認められていません。生計の見通しは、監理措置を求める段階から具体的に準備しておく必要があります。
在留特別許可は増えているのですか。
申請手続が法定化された令和6年6月10日から同年末までの許可は469件、令和7年は1,026件でした。期間の長さが異なるため単純な比較はできませんが、制度が本格的に運用された初めての通年の数字です。
この統計はどこで確認できますか。
出入国在留管理庁のプレスリリース「令和7年における入管法違反事件について」と、「令和5年改正入管法の運用状況について」に掲載されています。本記事の末尾に出典を記載しています。
出典
- 出入国在留管理庁「令和7年における入管法違反事件について」
- 出入国在留管理庁「令和6年における入管法違反事件について」(令和7年3月14日)
- 出入国在留管理庁「令和5年改正入管法の運用状況について」
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最終更新日:2026年9月10日/執筆 弁護士 松村大介(第一東京弁護士会・登録番号59077)
舟渡国際法律事務所 https://matsumura-lawoffice.jp/ 微信ID:matsumura1119