不法残留とは|オーバーステイの刑罰・退去強制・出国命令と在留特別許可の選択
2026/09/10
不法残留とは、在留期間の更新または変更を受けないで、在留期間を経過して本邦に残留することをいう。(出入国管理及び難民認定法24条4号ロ、70条1項5号)
- いわゆるオーバーステイであり、刑事罰と退去強制の両方の対象となる
- 法定刑は3年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金、またはその併科
- 自ら出頭し要件を満たせば出国命令の対象となり、上陸拒否期間は1年
- 退去強制された場合の上陸拒否期間は原則5年、2回目以降は10年
- 日本での生活を続けたい場合は、在留特別許可を求めることになる
不法残留になるとどうなるのか
不法残留は退去強制事由である(24条4号ロ)とともに、3年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金に処し、またはこれを併科する罪でもある(70条1項5号)。在留期間の更新申請中の特例期間に在留している場合(20条6項)は、不法残留には当たらない。
出頭申告と出国命令とは何か
不法残留者が、違反調査の開始前に、速やかに出国する意思をもって自ら出入国在留管理官署に出頭した場合などで、一定の要件を満たすときは、退去強制ではなく出国命令の対象となる(24条の3)。
要件には、窃盗罪など一定の罪により拘禁刑に処せられたものでないこと、過去に退去強制や出国命令による出国をしたことがないこと、速やかに出国することが確実と見込まれることなどがある。出国命令により出国した者の上陸拒否期間は1年である。
退去強制と出国命令では何が違うのか
最も大きな違いは、出国後に再び日本に入国できるまでの期間(上陸拒否期間)である。
| 項目 | 出国命令 | 退去強制 |
|---|---|---|
| 手続 | 自ら出頭し、出国期限までに自費で出国 | 収容または監理措置のもとで手続が進み、送還される |
| 上陸拒否期間 | 出国の日から1年 | 退去の日から原則5年、過去に退去強制歴などがある場合は10年 |
| 身柄 | 原則として収容されない | 収容されることがある(監理措置の可能性あり) |
日本に残りたい場合はどうすればよいのか
日本人や永住者との家族関係、日本で生まれ育った子どもの存在、長期の在留実績などの事情がある場合は、在留特別許可を求めることになる。在留特別許可の申請は、収容令書により収容されている者や監理措置決定を受けている者などに認められ(50条2項)、退去強制令書の発付後はできない(同条3項)。考慮される事情は同条5項に定められている。
刑事事件になるのはどのような場合か
不法残留が発覚した場合、刑事事件として捜査されることもあれば、入管の手続だけで処理されることもある。ほかに罪を犯した嫌疑がなく、収容令書が発付されたときなどには、警察から入国警備官に身柄が引き渡されることがある(65条)。刑事事件として起訴された場合でも、判決後に入管の手続が進む。
よくある質問
オーバーステイの期間が長いと、出国命令は使えませんか。
期間の長さそのものは出国命令の要件ではありません。自ら出頭したこと、一定の罪で拘禁刑に処せられていないこと、過去に退去強制歴や出国命令による出国がないことなどが要件です。
出頭したらその場で収容されますか。
出国命令の対象となる場合は、原則として収容されずに手続が進みます。対象とならない場合は、退去強制の手続に移り、収容または監理措置の判断がされます。
日本人の配偶者がいれば、必ず在留特別許可が認められますか。
必ず認められるわけではありません。家族関係の実態、在留の経緯、素行などを総合して判断されます。資料を整えて申請することが重要です。
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最終更新日:2026年9月10日/執筆 弁護士 松村大介(第一東京弁護士会・登録番号59077)
舟渡国際法律事務所 https://matsumura-lawoffice.jp/ 微信ID:matsumura1119