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退去強制令書とは|発付の効果、収容と送還、執行停止の申立てを弁護士が解説

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退去強制令書とは|発付の効果、収容と送還、執行停止の申立てを弁護士が解説

退去強制令書とは|発付の効果、収容と送還、執行停止の申立てを弁護士が解説

2026/09/10

退去強制令書とは、退去強制事由に該当すると認定された外国人を本邦の外に送還するため、主任審査官が発付する文書をいう。(入管法51条から53条まで)

  • 執行は入国警備官が行い、収容と送還が内容となる
  • 令書が発付された後は在留特別許可を申請できない
  • 効力を争うには取消訴訟と執行停止の申立てによる
  • 送還先は原則として国籍の属する国である

退去強制令書が発付されるとどうなるのか

本邦から退去させられる地位に置かれ、収容と送還という2つの執行を受ける。令書は入国警備官に交付され、その執行にあたる。令書が示された時点で在留資格は失われ、就労も認められない。令和5年改正で在留特別許可の申請手続が法定化された際、退去強制令書が発付された後は申請ができないと定められた(入管法50条3項)。在留を求める主張は、令書が出る前に尽くしておかなければならない。

令書に基づく収容はいつまで続くのか

直ちに送還できない場合に、送還が可能となるときまで続くのが原則である。収容の場所は入国者収容所や地方出入国在留管理局の収容場となる。もっとも令和6年6月10日施行の改正で、収容に代えて監理人の監理のもとに置く監理措置が設けられ、令書が発付された後の段階でも用いることができる。

出入国在留管理庁の公表によれば、令和6年6月10日から同年末までの監理措置決定は1,123件で、うち令書発付前が647件、発付後が476件である。同じ期間の仮放免は127件、監理人の9割以上は親族または知人で、所在不明となった者はいなかったとされる。

送還先はどのように決まるのか

原則として、その外国人の国籍または市民権の属する国である(入管法53条)。これによれないときは、入国する直前に居住していた国や出生地の属する国など、法の定める国へ送還される。難民条約が迫害のおそれのある領域への送還を禁じていることを受け、そうした領域の属する国は送還先に含まれない。迫害を主張する事案では、送還先の指定自体が争点になりうる。

令書の効力を止める方法はあるのか

裁決および令書発付処分の取消訴訟を提起したうえで、行政事件訴訟法25条2項に基づく執行停止を申し立てる方法がある。送還されれば訴訟の実益が大きく損なわれるため、収容部分と送還部分を分けて停止を求めるのが通例である。

執行停止では、重大な損害を避けるための緊急の必要があるかどうかが中心的な争点となる。家族との分離、治療の中断、迫害のおそれ、訴訟追行が不可能になることを、具体的な資料で示す必要がある。難民認定の申請中は送還が停止される仕組みもあるが、令和5年改正により一定の場合には対象から外れるため、申請の回数や経緯を踏まえた検討が要る。

項目令書の発付前発付後
身柄の根拠収容令書による収容退去強制令書による収容
在留特別許可申請できる申請できない
監理措置用いることができる用いることができる
争い方口頭審理、異議の申出取消訴訟と執行停止

令書が出た後でも在留を求める道は残っているのか

在留特別許可の申請という形では残っていないが、裁決と令書発付処分の違法を訴訟で争う道はある。争点は、在留を特別に許可しなかった判断が裁量の範囲を逸脱し、または裁量を濫用したといえるかどうかである。令和5年改正で考慮事情が入管法50条5項に明示され、在留を希望する理由、家族関係、素行、入国の経緯、在留の期間、法的地位、退去強制の理由、人道的な配慮の必要性が判断の枠組みとなった。訴訟では、これらが現実に検討されたかを記録に即して問うことになる。

送還を拒み続けるとどうなるのか

収容が長期化するほか、令和5年改正で設けられた仕組みにより不利益を受けることがある。同改正は、退去すべきことが確定した者について退去を命じる制度を設け、これに従わない場合の罰則を定めた。事実上の抵抗を続けることは、監理措置や在留を求める主張の場面でも不利に働きやすい。とるべきは、送還そのものを止める法的手段を選び、期限を意識して申し立てることである。

令書が執行された後、再び日本へ入国できるのか

一定の期間は上陸を拒否される。退去強制を受けた者は入管法5条1項の上陸拒否事由に当たり、過去に退去強制歴がなければ退去の日から5年、あれば10年の間、上陸を拒否されるのが原則である。出国命令により自ら出国した場合の1年との差は大きい。薬物法令に違反して刑に処せられた者については、年限の定めのない上陸拒否事由が別に定められており(入管法5条1項5号)、期間の経過では解消されない。再び入国するには上陸特別許可(入管法12条1項)を得るほかない。

よくある質問

退去強制令書に不服がある場合、まず何をすべきですか。

取消訴訟の提起と執行停止の申立てを、できる限り早く準備することです。送還は令書の発付後に速やかに行われることがあり、時間的な余裕は限られています。裁決書と令書の写し、家族関係や治療状況の資料、口頭審理の経過が分かるものを揃えて、弁護士に相談してください。

令書が出た後でも収容から出られますか。

監理措置の決定を受ければ、収容されずに監理人の監理のもとで生活することができます。公表された運用状況では、令書の発付後に監理措置が決定された例も相当数あります。監理人となる親族や知人の協力、住居の確保、出頭の確約を具体的に示すことが重要です。

難民認定を申請すれば送還は止まりますか。

申請中は送還が停止される仕組みが設けられていますが、令和5年改正により、一定の場合には停止の対象から外れることとなりました。申請の回数や、新たな事情を示す資料があるかどうかで扱いが変わります。申請の可否と併せて、執行停止の申立ても検討する必要があります。

令書が発付されると在留カードはどうなりますか。

在留資格を失うため、在留カードは返納の対象となり、就労も認められません。生活の基盤が一度に失われることになりますので、令書が出る前の段階、すなわち口頭審理や異議の申出の段階で、在留を求める主張と資料を尽くしておくことが重要です。

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最終更新日:2026年9月10日/執筆 弁護士 松村大介(第一東京弁護士会・登録番号59077)

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