仮放免とは|入管の収容を一時的に解く措置と監理措置との違いを弁護士が解説
2026/09/10
仮放免とは、収容令書または退去強制令書により入管に収容されている外国人について、健康上、人道上その他これらに準ずる理由により収容を続けることが相当でないと認められるときに、期間を定め、住居や行動範囲の制限、呼出しに対する出頭義務などの条件を付したうえで、その収容を一時的に解く措置をいう。(入管法54条2項)
- 収容そのものを取り消す制度ではなく、一時的に解くにとどまる。
- 本人のほか、配偶者や直系の親族なども請求できる。
- 期間を定め、住居・行動範囲・出頭義務などの条件付きで許可される。令和6年6月10日施行の改正で、仮放免の保証金の仕組みは廃止された。
- 在留資格が回復するわけではなく、就労は認められない。
- 令和6年6月10日からは、収容によらない手続として監理措置が併存する。
- 不許可のときは理由を付した書面で通知される(入管法54条4項)
- 健康上の理由による請求には、医師の意見を聴くなどの配慮が求められる(同条第8項)
※収容に代わる新しい制度については「監理措置とは」と「監理措置の総合ガイド」を、退去強制令書そのものを争う方法は「退去強制令書の取消訴訟とは」をご覧ください。
仮放免はどのような場合に認められるのか
健康上または人道上の理由など、収容を続けることが相当でないと認められる事情がある場合に許可される。令和5年の入管法改正により、収容しないまま手続を進める仕組みとして監理措置が新設されたため、仮放免は、いったん収容された人の収容を一時的に解く必要が生じた場合の措置として位置づけられている。治療を要する疾病、高齢、出産や育児の必要などが考慮され、逃亡のおそれや身元を引き受ける人の有無も併せて判断される。
仮放免を請求できるのは誰か
収容されている本人だけでなく、その代理人、保佐人、配偶者、直系の親族、兄弟姉妹も請求することができる。請求がなくても、入国者収容所長または主任審査官の職権で許可されることがある。請求書には、収容を一時的に解くべき理由と、これを裏づける診断書、家族関係の資料、住居を用意できることを示す資料などを添える。
保証金は必要なのか
現行法では、仮放免に保証金の納付は求められない。令和6年6月10日施行の改正前は、300万円以下の保証金を納付させる仕組みがあり、条件違反があれば没取されていたが、改正により54条から保証金の規定は削除された。保証金の仕組みは、新設された監理措置の側に置かれている(44条の2第2項・52条の2第2項、300万円以下)。仮放免では、逃亡したり、逃亡すると疑うに足りる相当の理由があったり、正当な理由なく呼出しに応じなかったり、その他の条件に違反したときは、仮放免が取り消され、再び収容される(55条)。
仮放免にはどのような条件が付くのか
住居の指定、行動範囲の制限、呼出しに対する出頭義務が基本的な条件となる。指定された住居を無断で離れることはできず、あらかじめ許可を受けずに指定された区域外へ出ることもできない。定期的に入管へ出頭して状況を報告する義務が課され、期間が満了するたびに更新の手続が必要になる。条件違反は、それ自体が仮放免取消しの理由となるだけでなく、その後の在留を求める手続でも不利に働く。
仮放免と監理措置はどう違うのか
監理措置は収容しないで手続を進める措置であるのに対し、仮放免は収容された人の収容を一時的に解く措置である。監理措置では、本人を監督する監理人が選任される点が大きく異なる。
| 項目 | 仮放免 | 監理措置 |
|---|---|---|
| 位置づけ | 収容を一時的に解く | 収容しないで手続を進める |
| 根拠 | 入管法54条 | 入管法44条の2ほか |
| 監理人 | 不要 | 必要(親族や知人などから選任) |
| 保証金 | なし(改正前の仕組みは廃止) | 300万円以下の範囲で納付を求められることがある |
| 就労 | 認められない | 退去強制令書の発付前は認められる場合がある |
出入国在留管理庁が公表した施行後の運用状況によると、令和6年6月10日から同年末までの監理措置決定は1,123件(退去強制令書の発付前が647件、発付後が476件)、同じ期間の仮放免は127件である。監理人の9割以上は親族または知人であり、この期間に所在不明となった者はいなかったとされている。
仮放免中に働くことはできるのか
できない。仮放免は収容を一時的に解くだけの措置であり、在留資格を与えるものではないためである。在留資格がない以上、資格外活動の許可を受けることもできない。仮放免許可書には就労を禁ずる条件が明記されるのが通例であり、これに反して働けば、仮放免が取り消されて再収容される可能性がある。雇った側も不法就労助長罪に問われうる。
在留資格にはどのような影響があるのか
仮放免それ自体は在留資格に影響しないが、その先の手続の見通しは大きく異なる。令和5年の改正により在留特別許可の申請手続が法定化され、考慮事情も入管法50条5項に明示された。もっとも、申請できるのは収容令書により収容されている者と監理措置の決定を受けた者であり、退去強制令書が発付された後は申請することができない。したがって、令書が発付される前の段階で在留を求める資料をどこまで整えられるかが結論を分ける。不許可の場合には理由を付した書面が交付される。
仮放免が不許可になったとき、どう争うのか
仮放免の請求に対して不許可とされたときは、理由を付した書面によって通知される(入管法54条4項)。仮放免の期間の延長を請求して不許可とされた場合にも、同項が準用される(同条第7項)。争うための出発点は、この理由書の記載を確認することである。
仮放免の要件は、健康上、人道上その他これらに準ずる理由により、収容を一時的に解除することを相当と認めるときとされている(入管法54条2項)。請求できるのは、収容されている本人のほか、その代理人、保佐人、配偶者、直系の親族、兄弟姉妹である(同条第1項)。
とりわけ重要なのが同条第8項である。請求の理由が健康上の理由である場合には、入国者収容所長又は主任審査官は、医師の意見を聴くなどして、収容されている者の治療の必要性その他その者の健康状態に十分配慮して判断するよう努めなければならないとされている。
したがって、健康上の理由を挙げて請求したにもかかわらず、医師の意見を聴いた形跡がなく、理由書にも健康状態への言及がない場合には、法が求める配慮を尽くしていないという主張が成り立ちうる。請求の段階で、診断書、投薬の記録、収容前後の症状の変化を具体的に示しておくことが、後に争う際の資料にもなる。
仮放免と監理措置は、請求と不服の扱いがどう違うのか
要件の立て方が異なる。仮放免は収容されていることを前提に、健康上、人道上の理由からその収容を一時的に解除するものである。これに対して監理措置は、そもそも収容しないで手続を進めることが相当かどうかを、逃亡や証拠の隠滅のおそれの程度と収容による不利益の程度とを比較して判断するものである。
| 比較の観点 | 仮放免 | 監理措置 |
|---|---|---|
| 根拠条文 | 入管法54条 | 入管法44条の2、52条の2 |
| 判断する者 | 入国者収容所長又は主任審査官 | 主任審査官 |
| 要件 | 健康上、人道上その他これらに準ずる理由により収容を一時的に解除することを相当と認めるとき | 逃亡、証拠の隠滅又は不法就労活動のおそれの程度、収容による不利益の程度その他の事情 |
| 請求できる人 | 本人、代理人、保佐人、配偶者、直系の親族、兄弟姉妹 | 本人。一定の場合は同居する配偶者、子、父母、その他の親族 |
| 監理人 | 不要 | 必要 |
| 不許可の理由付記 | 入管法54条4項、第7項 | 入管法44条の2第9項、52条の2第7項 |
不服の争い方そのものは共通する。取消訴訟、義務付けの訴えとこれに伴う仮の義務付けの申立て(行政事件訴訟法37条の5第1項)、国家賠償請求(国家賠償法1条1項)が考えられる。仮の義務付けは「償うことのできない損害を避けるため緊急の必要」があることを要し、執行停止の「重大な損害」(行政事件訴訟法25条2項)より厳格に解されている。健康状態の悪化を資料によって具体的に疎明できるかどうかが実務上の分かれ目になる。
なお、収容されている者は、仮放免を請求することも、監理措置に付することを請求することもできる(入管法44条の2第4項、52条の2第4項、54条1項)。どちらを求めるか、あるいは双方を求めるかは、収容の段階、監理人となる方がいるかどうか、健康状態の切迫の度合いによって変わる。
よくある質問
仮放免はどのくらいの期間で許可されますか。
事案により異なり、一律の目安はありません。請求から判断までに一定の期間を要するのが通例で、資料が不足していれば追加提出を求められ、その分だけ長くなります。診断書や身元保証に関する資料を最初からそろえて請求することが、結果としていちばんの近道になります。
仮放免が不許可になった場合、再度請求できますか。
できます。回数の制限はありません。ただし、前回と同じ資料を出し直しても判断は変わりにくいため、健康状態の変化、住居や身元保証人の確保、家族の状況の変化など、新たな事情を具体的な資料とともに示すことが必要です。不許可の理由を分析したうえで組み立て直すことになります。
仮放免中に引っ越すことはできますか。
あらかじめ入管の許可を受ける必要があります。指定された住居を無断で離れることは条件違反に当たり、仮放免の取消しと再収容につながります。転居の必要が生じたときは、転居先と理由を示して事前に申し出てください。指定された区域外への移動も同様に事前の許可が必要です。
保証金は必要ですか。
必要ありません。令和6年6月10日施行の改正前は300万円以下の保証金を納付する仕組みがありましたが、改正で廃止されました。保証金の納付を求められることがあるのは、収容に代わる監理措置の方です。仮放免では、住居・行動範囲・出頭義務などの条件を守ることが求められます。
仮放免と監理措置のどちらを求めるべきですか。
手続がどの段階にあるかによって決まります。まだ収容されていない段階であれば監理措置が中心になり、すでに収容されている場合は仮放免の請求と併せて監理措置への移行も検討します。監理人となる人がいるかどうかが分かれ目になりますので、早めに家族や知人と相談しておくとよいでしょう。
健康上の理由で仮放免を求めたのに認められませんでした
請求の理由が健康上の理由である場合、入国者収容所長又は主任審査官は、医師の意見を聴くなどして、治療の必要性その他の健康状態に十分配慮して判断するよう努めなければならないとされています(入管法54条8項)。この配慮が尽くされていないと考えられる場合には、その点を含めて争う余地があります。診断書や投薬の記録は早い段階で確保しておいてください。
仮放免の期間が延長されなかった場合も争えますか
期間の延長を請求して不許可とされた場合にも、理由を付した書面による通知が必要です(入管法54条7項による同条第4項の準用)。不許可の理由を確認したうえで、取消訴訟や義務付けの訴え、国家賠償請求を検討することになります。
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最終更新日:2026年10月21日/執筆 弁護士 松村大介(第一東京弁護士会・登録番号59077)
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