舟渡国際法律事務所

中国語SNSの「高収入・日払い」求人に応募しただけで罪になるのか|身分証・口座・携帯を渡した段階の刑事責任と、実行前に離脱する方法

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中国語SNSの「高収入・日払い」求人に応募しただけで罪になるのか|身分証・口座・携帯を渡した段階の刑事責任と、実行前に離脱する方法

中国語SNSの「高収入・日払い」求人に応募しただけで罪になるのか|身分証・口座・携帯を渡した段階の刑事責任と、実行前に離脱する方法

2026/09/12

微信のグループや小紅書の投稿、Telegramのチャンネルで「日給3万円、簡単な受け取り業務、身分証の写真を送るだけで即日採用」という募集を見かけ、在留カードの画像を送ってしまった。あるいは面接と称する音声通話で「まず銀行口座を用意してほしい」「携帯を1回線契約して送ってほしい」と言われ、言われるまま手続をした。しかしまだ現金を受け取ってもいないし、誰かをだましたわけでもない。この段階で自分は犯罪者なのか、警察に行くべきなのか。当事務所には、留学生やそのご家族から、まさにこの段階でのご相談が寄せられます。本記事は、受け子や出し子として実行に及んだ後ではなく、「応募した」「身分証だけ送った」「口座や携帯だけ渡した」という実行前の段階に絞って、何が罪になり得るのか、どうすれば離脱できるのかを整理いたします。

本記事の要点

  • 求人に応募し、面接を受けただけの段階では、刑法に詐欺の予備を罰する規定がないため、詐欺罪そのものは成立しません。
  • 自分名義の銀行口座やキャッシュカードを他人に渡す行為は、犯罪による収益の移転防止に関する法律により、口座を使う実行行為がなくても独立の罪として処罰され得ます。
  • 自分名義で携帯電話を契約して渡す行為は、携帯音声通信事業者による契約者等の本人確認等及び携帯音声通信役務の不正な利用の防止に関する法律の規制を受け、契約時の事情によっては詐欺罪の問題も生じます。
  • 共謀に加わった後でも、実行の着手前に離脱の意思を明確に伝え、提供したものを回収すれば、その後の犯罪について共犯の責任を免れる余地があります。
  • 在留への影響は罪名ごとに異なり、別表第一の在留資格の方は詐欺罪で拘禁刑に処せられれば執行猶予が付いても入管法24条4号の2に該当し得るため、不起訴処分を最優先の目標に置くべき類型です。

応募して面接を受けただけの段階で、詐欺罪は成立しますか

成立しません。刑法246条の詐欺罪は、人を欺いて財物を交付させた場合に成立し、同法250条により未遂も処罰されますが、未遂が成立するには実行の着手が必要です。そして刑法には、殺人や強盗と異なり、詐欺の予備を処罰する規定は置かれていません。したがって、求人に応募し、指示役と音声通話で面接を受け、報酬や仕事の内容について説明を聞いたという段階にとどまる限り、詐欺罪やその未遂罪に問われることはありません。

注意していただきたいのは、実行の着手が思ったより早い時点で認められることです。最高裁は、平成30年3月22日の判決で、被害者に対して警察官を装って現金を準備させる嘘の電話をかけた段階で、まだ受け取りに向かう前であっても詐欺罪の実行の着手があるとしました。つまり、グループの誰かが被害者に電話をかけ始めた時点で、そのグループの共謀に加わっている者は未遂罪の共同正犯となり得ます。

もう1つの注意点は、共謀の成立です。刑法60条の共同正犯は、実行行為を分担していなくても、犯罪の計画に加わり、自らの役割を引き受けた者に及ぶと解されています。面接で「荷物を受け取って指定の場所に届ける」「高齢者から書類を預かる」という説明を受け、それが詐欺の一部であることをうすうす理解したうえで「やります」と答えたのであれば、その時点で共謀が成立したと評価される可能性があります。

在留カードやパスポートの画像を送ってしまいました。それ自体は罪になりますか

自分の身分証の画像を他人に送ること自体を直接処罰する規定はありません。しかし、この段階で安心してよいわけではありません。送った画像は、あなた名義の銀行口座の開設、携帯電話の契約、暗号資産の口座開設、転売サイトのアカウント作成などに使われる可能性があります。そのいずれかが実現すると、あなたの知らないところで、あなたの名義の口座や回線が犯罪に使われ、警察の捜査が最初にたどり着くのはあなたになります。

また、身分証の画像を求める目的の1つは、離脱を防ぐことにあります。「辞めるなら在留カードを晒す」「学校と入管に通報する」という脅しの材料として使われるのが典型です。脅迫の材料にされたからといって、あなたが罪に問われる根拠が増えるわけではありません。

この段階で取るべき行動は、送信した画像、相手のアカウント名、やり取りの日時と内容を、削除せずにスクリーンショットで保存することです。手元に残った記録は、後に「知らずに巻き込まれた」ことを示す最も重要な資料になります。

銀行口座やキャッシュカードを渡してしまった場合

この段階になると、実行行為がなくても独立の罪が問題になります。犯罪による収益の移転防止に関する法律は、他人になりすまして預貯金の取引をさせる目的があることを知りながら、預貯金通帳、キャッシュカード、暗証番号などを他人に譲り渡し、又は提供する行為を処罰しています。相手の目的を知らなかった場合でも、通常の商取引や金融取引として行われるものであることその他の正当な理由がないのに、有償で譲り渡した場合は同様に処罰されます。「口座を貸してくれれば1万円」という取引は、まさにこの後段に当たります。法定刑には拘禁刑と罰金が定められており、業として行った場合は加重されます。

さらに重い問題が2つあります。第1に、他人に渡す目的を隠して銀行に口座開設を申し込んだ場合、銀行をだまして通帳やカードを交付させたものとして、詐欺罪が成立するとされています。最高裁は平成19年7月17日の決定で、第三者に譲渡する意図を秘して口座を開設し通帳等の交付を受けた行為につき、詐欺罪の成立を認めました。「求人のために新しく口座を作った」という事案は、この決定の射程に入ります。第2に、渡した口座が被害者からの振込先に使われた場合、あなたは詐欺の実行を助けた者として、刑法62条の幇助犯や、事情によっては共同正犯として扱われる可能性があります。

口座を渡した後にできることは、ためらわず銀行に連絡し、口座の利用停止とカードの再発行を求めることです。あなたから先に申し出た事実は、犯罪への協力の意思がなかったことを示す事情として働きます。

自分名義で携帯電話やSIMを契約して渡した場合

携帯電話については、携帯音声通信事業者による契約者等の本人確認等及び携帯音声通信役務の不正な利用の防止に関する法律が規制しています。契約者が、自分名義の回線に係る端末やSIMを親族や生計を同じくする者以外の他人に譲渡するには、あらかじめ事業者の承諾を得なければならないとされ(同法7条1項)、業として有償で譲渡した者や、業として譲り受けた者は、2年以下の拘禁刑若しくは300万円以下の罰金又はその併科の対象となります(同法20条)。また、契約の際に本人特定事項を隠ぺいする目的で虚偽の氏名や住所を申告した場合は、50万円以下の罰金が定められています(同法19条)。

1回線だけ、無償で渡したという場合には、これらの罰則に直接当たらないこともあります。しかし、契約時から他人に渡すつもりで、そのことを隠して事業者に契約を申し込んだのであれば、口座開設の場合と同じ構造で、事業者をだましてSIMや端末の交付を受けた詐欺罪が問題となり得ます。また、渡した回線が被害者への電話に使われれば、幇助の問題が生じる点も口座と同じです。事業者に連絡して回線の利用を止め、契約を解除することが、被害の拡大と自らの責任の拡大を防ぐ最初の手段です。

まだ実行に加わっていません。どうすれば離脱できますか

共謀に加わった後、実行の着手前であれば、離脱によりその後の犯罪について共犯の責任を負わない余地があります。実務上、離脱が認められるためには、単に連絡を絶つだけでは足りず、他の関与者に対して離脱の意思を明確に表示し、それが了承されること、加えて自分がそれまでに果たした役割の影響を取り除くことが求められると解されています。口座や回線を提供している場合は、その利用を止めることが「影響の除去」に当たります。

具体的には、次の順序で動くことをお勧めします。第1に、やり取りの記録と提供したものの一覧を保存する。第2に、銀行と携帯事業者に連絡し、口座と回線を止める。第3に、相手に対して、書面の形で残る方法により参加しない旨を伝える。相手が音声通話やビデオ通話だけを求めてくる場合は、こちらからテキストで送る。第4に、弁護人を選任したうえで、警察への相談や自首の要否を検討する。刑法42条1項は、捜査機関に発覚する前に自首した場合に刑を減軽することができると定めていますが、何をどの順序で申告するかは、共犯者の存在や提供物の使用状況によって判断が分かれますので、弁護人と相談してから行うべきです。

離脱の時期が遅れ、既に誰かが被害者に電話をかけ、あるいはあなたの口座に振込があった後であれば、離脱によってそれ以前の行為の責任を免れることはできません。それでも、その時点で協力を止めた事実は、量刑や起訴・不起訴の判断において考慮されます。早ければ早いほど法律上の意味は大きくなります。

「辞めるなら身分証を晒す」「家族に危害を加える」と脅されたら

このような告知は、それ自体が刑法222条の脅迫罪であり、脅して義務のないことを行わせようとすれば同法223条の強要罪に当たります。脅されている側が犯罪者になるわけではありません。むしろ、あなたは脅迫の被害者であり、その記録は、あなたが自らの意思で犯罪に参加したのではないことを示す資料になります。

当事務所が担当した事案でも、特殊詐欺の出し子とされた20代の女性について、指示役から欺罔や脅迫的な状況に置かれていた経緯を丁寧に主張し、犯意の不存在を立証して不起訴処分を獲得しています。脅迫のメッセージは消さずに保存し、送金や訪問の要求には応じず、可能であれば居場所を変えたうえで、弁護人と警察への相談の段取りを決めてください。

想定される刑事手続の流れ

この類型で逮捕に至るのは、あなた名義の口座や回線が被害者との接点に使われ、被害届から捜査が始まったときです。警察は逮捕から48時間以内に事件を検察官に送り、検察官は24時間以内に勾留を請求するかどうかを決めます。裁判官が勾留を認めれば原則10日、延長でさらに10日、合計で最長23日間の身柄拘束のうちに起訴か不起訴かが決まります。

実行前の段階で自ら弁護人を通じて相談していれば、逮捕ではなく在宅での事情聴取から始まる可能性が高まります。逆に、口座を渡したまま放置し、振込が繰り返された後に発覚した場合、指示役との共謀が疑われ、証拠隠滅や逃亡のおそれを理由とする勾留に至りやすくなります。

在留資格への影響

この類型で問題となる罪名は複数あり、それぞれ入管法24条の該当号が異なります。詐欺罪や詐欺未遂罪で有罪となった場合、無期又は1年を超える拘禁刑に処せられた者は同条4号リに該当しますが、刑の全部の執行猶予の言渡しを受けた者は除かれます。

しかし、留学、技術・人文知識・国際業務、技能、特定技能、家族滞在など別表第一の在留資格で在留する方については、同条4号の2が別に置かれています。刑法第2編第37章の詐欺罪を含む一定の罪により拘禁刑に処せられた者を退去強制事由とするもので、4号リと異なり執行猶予を除外する文言がありません。つまり、別表第一の在留資格の方は、詐欺罪で執行猶予付きの拘禁刑判決を受けた場合でも退去強制の対象となり得ます。口座や携帯を渡した段階で共謀が認定され、詐欺の共同正犯や幇助として有罪となれば、この規定が直接に問題となります。

他方、犯罪による収益の移転防止に関する法律や携帯電話の不正利用防止に関する法律の罪のみで処理された場合、罰金刑にとどまれば4号リにも4号の2にも該当しません。ただし、退去強制事由に当たらなくても、在留期間の更新は入管法21条3項により法務大臣が相当の理由があると認める場合に限り許可されるものであり、更新のガイドラインが求める素行善良の評価に有罪の事実は影響します。留学生の場合は、勾留中に出席日数が不足し、学校を除籍されれば、在留資格の取消し(同法22条の4第1項6号)が別の入口として問題となることも見落とせません。

不起訴処分を最優先の目標とする理由

上に述べたとおり、別表第一の在留資格の方が詐欺罪で有罪となれば、執行猶予が付いても在留を失う可能性があります。したがって当事務所は、この類型において、執行猶予判決の獲得ではなく、起訴前の段階で不起訴処分を得ることを最優先の目標に据えます。実行前の段階で相談に至った方については、そもそも被疑者として扱われないための整理を先行させ、既に口座や回線が使われてしまった方については、共謀の不存在、離脱の事実、脅迫の存在、被害の回復への協力を柱に、起訴猶予を含む不起訴の獲得を目指します。

この類型の特徴は、罪名の選択に幅があることです。同じ事実関係でも、詐欺の共犯として立件されるのか、口座譲渡の罪として処理されるのかで、在留への影響は大きく異なります。弁護人は、事実の正確な整理を通じて、検察官の罪名選択と処分の判断に働きかけます。

逮捕された、あるいは呼出しを受けたら、まず何をすべきか

第1に、黙秘権です。憲法38条1項が保障し、刑事訴訟法198条2項が取調べに先立つ告知を求めている権利であり、行使しても不利益に扱われません。この類型では、応募時の会話の内容、仕事の説明をどこまで理解していたか、報酬の額といった事実が共謀の認定を左右します。記憶が曖昧なまま「詐欺だと思っていた」という趣旨の調書に署名してしまうと、後から覆すのは容易ではありません。

第2に、できる限り早く私選の弁護人を選任することです。実行前の段階であれば、弁護人が先に事実関係を整理し、離脱の手順と警察への相談を設計できます。逮捕後であれば、勾留が決まるまでのおよそ72時間に、ご家族は面会できず、接することができるのは弁護人だけです。

第3に、通訳の質です。捜査機関が手配する通訳は、捜査のための通訳です。「知っていた」と「聞いたことがある」の違い、「思った」と「疑った」の違いが訳し方ひとつで変わる場面は少なくありません。当事務所には、外国人事件に精通した中国語の専属通訳が常駐しており、依頼者ご本人のために動く通訳を接見から公判まで一貫してご利用いただけます。

当事務所のご案内と解決事例

舟渡国際法律事務所では、接見の初動から公判の結審まで、松村大介弁護士が全工程を直接担当いたします。実行前の段階でのご相談についても、弁護士本人が事実関係を聴き取り、離脱と警察対応の方針を組み立てます。刑事手続と並行して、提携する行政書士とともに在留資格に関するサポートも行っております。

特殊詐欺の出し子とされた20代の女性の事案では、指示役からの欺罔や脅迫的な状況に置かれていたこと、犯意が存在しなかったことを主張し、不起訴処分を獲得いたしました。

特殊詐欺の受け子として複数回にわたり再逮捕された方の事案では、不当な取調べに対して抗議を重ね、主張と立証を尽くした結果、全件について不起訴処分となりました。

在留資格を失い不法滞在で起訴された方の事案では、刑事手続と並行して婚姻と認知の手続を実現させ、入管が公表する過去の許可事例を分析して主張を組み立て、在留特別許可を一度の申請で獲得いたしました。

結語

「高収入・日払い」の求人に応募し、身分証を送り、口座や携帯を渡してしまった段階は、まだ引き返すことができる段階です。しかし、引き返し方を誤ると、渡したものが誰かの被害と結び付き、共犯として扱われる入口になります。詐欺の予備が処罰されないという原則、口座や回線の譲渡が独立の罪となる仕組み、別表第一の在留資格に固有の退去強制事由。この3つを知ったうえで、記録を残し、提供したものを止め、弁護人と一緒に離脱の手順を踏んでいただければ、道は残ります。ご本人が言い出しにくい場合は、ご家族からのご相談でも構いません。

本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。

過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

本記事は2026年9月時点の情報です。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士

第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)

中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。

覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。

舟渡国際法律事務所

ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/

微信ID:matsumura1119

中文版(简体字):在中文社交平台应聘“高薪日结”工作,仅此就会构成犯罪吗|交出身份证、银行账户、手机之后的刑事责任与在实行之前脱离的方法

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