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示談ができないときに取りうる手段。供託・贖罪寄付と検察官への意見書

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示談ができないときに取りうる手段。供託・贖罪寄付と検察官への意見書

示談ができないときに取りうる手段。供託・贖罪寄付と検察官への意見書

2026/08/13

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被害者が連絡先の開示を拒む、示談金の受領を拒否する、そもそも被害者のいない類型である、といった理由で示談ができない事件は少なくありません。示談が成立しないことは不利ではありますが、そこで打つ手がなくなるわけではありません。被害弁償の意思と資力を客観的に示す方法、社会的な償いを形にする方法、再発防止の環境を整える方法があり、これらを組み合わせて検察官の判断に働きかけます。外国籍の方では、あわせて在留への影響を見据えた準備が必要です。

本記事の要点

  • 被害者が受領を拒む場合、弁済供託(民法494条)により被害弁償の意思と資力を客観的に示せます。
  • 被害者が想定されない類型では、贖罪寄付が反省を形にする方法として用いられます。
  • 再発防止の環境調整(監督者の確保、生活状況の変更、治療の開始)は示談に代わる重要な資料です。
  • 起訴された場合でも、別表第一の在留資格では執行猶予でも入管法24条4号の2に該当し得るため、量刑と在留の両面で準備します。

被害者が受け取りを拒む場合、供託は有効ですか

被害弁償の意思と資力を客観化する手段として有効です。債権者が受領を拒み、または受領できないときは、弁済の目的物を供託することができます(民法494条)。供託書は、金銭を現実に準備し、被害者に交付しようとした事実を公的に裏付けますので、検察官への意見書に添えることで、単なる口約束との違いを示せます。もっとも、供託は被害者の宥恕を得るものではありませんから、示談と同等の評価を受けるわけではありません。また、被害者の氏名や住所が判明していない場合には供託の手続自体が難しく、その場合は、弁護人が受領の打診を行った経過を報告書にまとめ、いつでも支払える資金を保管している旨を示す方法をとります。

贖罪寄付はどのような場面で用いますか

被害者が存在しない類型や、被害者が一切の接触を拒む場合に用います。贖罪寄付は、弁護士会や犯罪被害者を支援する団体に対して行う寄付で、受領証が発行されます。薬物事犯や無免許運転のように直接の被害者が観念できない事件では、反省の具体的な行動として提出されることがあります。ただし、金銭を支払えば有利になるという性質のものではなく、寄付の動機と再発防止の取組みが伴っていなければ評価されません。寄付額についても、本人の資力に見合わない高額の寄付は、かえって不自然に映ることがあります。弁護人が意見書の中で、寄付に至った経緯と本人の反省の内容を具体的に説明することが前提になります。

示談以外に、処分に影響する事情は何がありますか

再発防止の環境が整っているかどうかが重要です。具体的には、日本国内に監督者がいること、住居と就労が安定していること、事件の原因となった交友関係や生活習慣を断つ具体的な措置がとられていること、依存の問題があれば治療や通院が開始されていることが挙げられます。これらは身元引受書、雇用主の上申書、医療機関の診断書といった書面で裏付けます。外国籍の方の場合は、在留資格の状況、家族の在留状況、帰国後の生活の見込みも説明の対象になります。示談ができないからこそ、これらの資料を厚く積み上げ、起訴猶予(刑事訴訟法248条)の判断に必要な材料を提供する姿勢が求められます。

起訴された場合、在留の準備はどう進めますか

判決の内容によって進路が分かれますので、両にらみの準備をします。別表第一の在留資格の方は、窃盗や傷害等で拘禁刑に処せられれば、執行猶予が付いても入管法24条4号の2の退去強制事由に該当します。したがって、公判では執行猶予の獲得を目指しつつ、並行して在留特別許可(同法50条)を求める資料の準備を始めます。家族関係、在留期間、生活の定着、被害弁償の履行状況が中心的な資料です。収容を避けるための監理措置(同法44条の2以下)の検討も必要です。なお、退去強制事由の判断における故意や過失の要否については入管実務上議論があり、当事務所も責任主義の射程を問う訴訟を係属中です。

よくあるご質問

被害者の連絡先を教えてもらえないときはどうしますか

検察官を通じて、弁護人限りという条件での開示を打診します。被害者が開示を拒む場合は、検察官に対し、弁護人が謝罪と弁償の意思を有していることを伝えてもらうよう求め、その経過を記録に残します。無理に所在を調べる行為は、かえって不利益な評価を招きますので避けてください。

贖罪寄付はいくらすればよいですか

一律の基準はありません。本人の資力、事案の性質、被害の程度を踏まえて決めます。資力を超える金額を家族が用意した場合は、その事情も含めて説明します。金額の多寡よりも、寄付に至る動機と再発防止の取組みを具体的に説明できるかが評価を左右します。寄付先の受領証は必ず保管してください。

示談できないまま在留期限が来たらどうなりますか

捜査中であっても在留期間の更新申請は可能ですが、処分が未定であることは審査に影響します。期限を過ぎれば不法残留となり、入管法24条2号の2や4号ロの退去強制事由に該当し得ますので、期限管理は最優先です。速やかに弁護人と在留の状況を確認してください。

当事務所のご案内

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区・高田馬場駅から徒歩約5分)は、松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)が、中国籍の方を中心とする外国人の刑事弁護と入管手続を主たる注力分野として取り扱っております。刑事事件と在留の問題を別々の専門家に分けて依頼するのではなく、同一の弁護士が最初の接見から入管手続まで一貫して担当いたします。

当事務所には外国人事件専属の中国語通訳が在籍しており、接見、取調べへの立会い、ご家族との打合せに対応いたします。中国国内にいらっしゃるご家族からのご連絡も、微信(WeChat)で直接お受けしております。刑事手続の終了後の在留資格の更新・変更については、提携する行政書士とともに対応いたします。

これまでの解決実績の一部をご紹介いたします。

  • 盗撮被害の事案において、刑事告訴と示談交渉を担当し、300万円の慰謝料の支払を内容とする示談を成立させた事例(被害者代理人)。
  • 特殊詐欺の受け子として複数回再逮捕された事案において、取調べへの対応と主張立証を尽くし、全件について不起訴処分を獲得した事例。
  • 在留資格を失って不法残留で逮捕・起訴された依頼者について、婚姻と認知の手続を実現させたうえで、公的書類がほとんど存在しない状況下でも有利な証拠を収集し、一度の申請で在留特別許可を獲得した事例。

本記事は一般的な解説であり、個別の事案については弁護士に直接ご相談ください。また、過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

本記事は2026年8月時点の情報です。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)

中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。

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ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
微信ID:matsumura1119

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