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示談金を分割払いにできるか。不起訴を目指す場合の条件設計と履行の担保

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示談金を分割払いにできるか。不起訴を目指す場合の条件設計と履行の担保

示談金を分割払いにできるか。不起訴を目指す場合の条件設計と履行の担保

2026/08/13

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示談金の全額を一度に用意できないというご相談は少なくありません。分割払いの示談は法律上可能ですが、刑事処分との関係では弱点があります。検察官は処分の時点で被害が回復しているかを見ますので、支払が将来に残っていると、その分だけ評価が下がるためです。さらに外国籍の方の場合、退去強制により日本を離れれば支払が滞るのではないか、という懸念を被害者が抱くことも現実にあります。ここでは、分割払いを選ぶ場合の条件の組み立て方を説明します。

本記事の要点

  • 分割払いの示談は可能ですが、処分の時点で未払が残ることは起訴猶予の判断で不利に働きます。
  • 頭金を厚くし、残額の支払期間を短く設定することで、被害回復の実質を示すことができます。
  • 期限の利益喪失条項、連帯保証人、公正証書化により、履行の確実性を補強します。
  • 退去強制や出国により履行が困難になるという懸念には、日本に居住する保証人の設定で対応します。

分割払いだと不起訴は難しくなりますか

一括払いに比べて不利にはなりますが、不可能ではありません。検察官は処分の時点における被害回復の程度を見ますので、未払が残っていれば、その限度で評価は下がります。もっとも、被害者が分割に同意し、宥恕文言まで得られている場合には、被害者の意思が尊重される場面もあります。実務的な工夫としては、処分までに支払える範囲で頭金を厚くし、残額の支払期間を数か月程度に抑え、遅滞なく履行することを担保する条項を置くことが挙げられます。加えて、本人の収入と支出を示す資料を提出し、無理のない返済計画であることを説明すると、約束が守られる見込みが具体的に伝わります。

分割払いの示談書にはどのような条項が必要ですか

支払方法の明確化と、不履行に備えた条項が中心になります。まず、支払総額、頭金の額と支払日、残額の分割回数と各回の金額、支払期日、振込先を特定します。次に、支払を怠り、その額が一定の回数分に達したときは、催告なく期限の利益を失い、残額を直ちに支払う旨の条項を置きます。さらに、連帯保証人を立てる場合は、その氏名、住所、連帯保証の趣旨を明記します。加えて、支払が完了したときに清算が完了する旨と、それまでの間も被害者が処罰を求めない意思に変わりがないことを確認する条項を入れておくと、後の紛争を避けやすくなります。

公正証書にする意味はありますか

支払が滞った場合に、訴訟を経ずに強制執行ができる点に意味があります。金銭の支払を目的とし、債務者が直ちに強制執行に服する旨の陳述が記載された公正証書は、執行力を持ちます(民事執行法22条5号)。被害者にとっては、分割払いに応じることへの不安を減らす材料になりますので、交渉を前に進める効果も期待できます。他方、公証役場での手続には日程調整が必要で、本人が身柄拘束中の場合は代理人による作成となるなど、時間と手間がかかります。勾留期間の締切が迫っている場合は、まず示談書を調印して検察官に提出し、公正証書の作成は後日行うという順序も現実的です。

帰国の可能性がある場合、支払はどう担保しますか

日本に居住する連帯保証人を立てることが最も実効的です。退去強制や自主的な出国により本人が日本を離れると、事実上の回収が難しくなりますので、被害者の不安は正当なものです。そこで、日本に生活基盤のある親族や知人に連帯保証人となってもらい、支払の窓口を日本国内に確保します。弁護士の預り金口座を用い、まとまった額をあらかじめ預けたうえで、分割で被害者に支払う方法をとることもあります。なお、収容によらない監理措置(入管法44条の2以下)が認められれば、生活を維持しながら支払を続けられる可能性が高まりますので、入管手続と支払計画は連動させて考える必要があります。

よくあるご質問

頭金はどのくらい用意すべきですか

一律の基準はありませんが、被害額の相当部分をまかなえる水準を目標にします。処分の時点で被害の主要部分が回復していると評価できれば、残額があっても起訴猶予の判断に届く場合があります。用意できる額と時期を早めに確定させ、被害者に対して現実的な提案を行うことが交渉を前に進めます。

分割払い中に起訴された場合、支払は続けるべきですか

続けるべきです。公判では被害弁償の履行状況が量刑上の情状として考慮されますので、判決までに完済できれば有利な事情になります。支払を止めると、示談書の効力や誠実性が争われ、被害者から改めて民事上の請求を受ける可能性もあります。入金の記録は毎回保存しておいてください。

支払が終わらないうちに在留期限が来る場合はどうしますか

更新申請の際に、示談の内容と支払の履行状況を示す資料を提出し、事件が解決に向かっていることを説明します。支払を継続していることは素行の評価で積極的な事情になります。就労が制限される状態では履行が難しくなりますので、在留手続と支払計画は同時に組み立ててください。

当事務所のご案内

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区・高田馬場駅から徒歩約5分)は、松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)が、中国籍の方を中心とする外国人の刑事弁護と入管手続を主たる注力分野として取り扱っております。刑事事件と在留の問題を別々の専門家に分けて依頼するのではなく、同一の弁護士が最初の接見から入管手続まで一貫して担当いたします。

当事務所には外国人事件専属の中国語通訳が在籍しており、接見、取調べへの立会い、ご家族との打合せに対応いたします。中国国内にいらっしゃるご家族からのご連絡も、微信(WeChat)で直接お受けしております。刑事手続の終了後の在留資格の更新・変更については、提携する行政書士とともに対応いたします。

これまでの解決実績の一部をご紹介いたします。

  • 盗撮被害の事案において、刑事告訴と示談交渉を担当し、300万円の慰謝料の支払を内容とする示談を成立させた事例(被害者代理人)。
  • 特殊詐欺の受け子として複数回再逮捕された事案において、取調べへの対応と主張立証を尽くし、全件について不起訴処分を獲得した事例。
  • 在留資格を失って不法残留で逮捕・起訴された依頼者について、婚姻と認知の手続を実現させたうえで、公的書類がほとんど存在しない状況下でも有利な証拠を収集し、一度の申請で在留特別許可を獲得した事例。

本記事は一般的な解説であり、個別の事案については弁護士に直接ご相談ください。また、過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

本記事は2026年8月時点の情報です。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)

中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。

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ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
微信ID:matsumura1119

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