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日本で処罰された行為が中国でも処罰されるか 一事不再理の国際的な限界

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日本で処罰された行為が中国でも処罰されるか 一事不再理の国際的な限界

日本で処罰された行為が中国でも処罰されるか 一事不再理の国際的な限界

2026/08/13

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同じ行為について二度処罰されないという一事不再理の原則は、国境を越えては当然には及びません。日本国憲法39条や刑事訴訟法の免訴の規定は、日本の裁判所の確定判決を前提としたものです。日本の刑法は、外国で確定裁判を受けた者について更に処罰することを妨げないとしたうえで、既に外国で刑の執行を受けたときは刑の執行を減軽し、又は免除すると定めています。中国の刑法にも同様の趣旨の規定があります。本稿では、両国の条文を対照し、日本で処罰を受けた後に注意すべき点を整理します。

本記事の要点

  • 憲法39条の一事不再理は、日本の裁判所の確定判決を前提とするものと解されています。
  • 刑法5条は、外国で確定裁判を受けても更に処罰することを妨げないとし、既に刑の執行を受けたときは執行を減軽又は免除すると定めています。
  • 中国の刑法にも、外国で刑罰の執行を受けた場合に処罰を免除し又は軽減できる旨の規定があります。
  • 退去強制は刑罰ではなく行政処分と解されているため、刑事処分に加えて退去強制を受けても二重処罰の問題は生じないとされています。

外国の判決に一事不再理は及びますか

当然には及びません。憲法39条は、同一の犯罪について重ねて刑事上の責任を問われないと定めていますが、これは日本の裁判権の行使を規律する規定と解されています。刑事訴訟法も、確定判決を経たときは免訴の言渡しをするとしていますが、ここでいう確定判決は日本の裁判所によるものを指します。国際人権規約14条7項も、同一の国の法制度の中での重複処罰を禁じたものと理解されるのが一般的です。したがって、ある行為について日本で処罰を受けたとしても、他国が自国の法により処罰することを国際法上当然に禁じられているわけではない、というのが出発点になります。

日本の刑法はどう定めていますか

刑法5条が正面から規定しています。同条は、外国において確定裁判を受けた者であっても、同一の行為について更に処罰することを妨げないとしたうえで、犯人が既に外国において言い渡された刑の全部又は一部の執行を受けたときは、刑の執行を減軽し、又は免除すると定めています。前段は重複処罰を許容する趣旨ですが、後段の減軽又は免除は、裁量的な文言ではなく、必要的な取扱いとして規定されている点に特徴があります。したがって、外国で服役した事実がある場合には、その事実と期間を証明する資料を提出し、刑の執行の減軽又は免除を求めることになります。

中国側ではどう扱われますか

中国の刑法にも対応する規定があります。中国の刑法は、中国の領域外で罪を犯した者について、外国で裁判を受けた場合であってもなお中国の法律により責任を追及することができるとし、外国で既に刑罰の執行を受けたときは、処罰を免除し、又は軽減することができると定めています。日本の刑法5条後段が必要的な減免を定めているのに対し、中国の規定は裁量的な表現である点に違いがあります。したがって、日本で服役を終えたことは、中国での追及を確実に遮断するものではありません。日本での判決書、確定証明、刑の執行に関する証明を確保しておくことが、実際の防御では重要になります。

刑事処分に加えて退去強制されるのは二重処罰ではありませんか

現在の一般的な理解では、二重処罰には当たらないとされています。退去強制は刑罰ではなく行政上の処分と位置付けられており、憲法39条の適用場面ではないと解されているためです。もっとも、実際には、有罪判決を受けたことを理由に生活の基盤を失うという重大な結果が生じますし、退去強制事由の判断において故意や過失といった主観的要素をどこまで問うべきかについては、入管実務上も議論があります。当事務所においても、責任主義の考え方が退去強制の判断にどこまで及ぶかを問う訴訟に取り組んでいます。結論を予断することはできませんが、争う余地のある論点であることは申し上げられます。

よくあるご質問

日本で服役しました。中国でも同じ事件で処罰されますか

中国の刑法は、外国で刑罰の執行を受けた場合に処罰を免除し又は軽減できると定めていますが、いずれも裁量的な規定です。処罰されないとは断定できませんので、日本での判決書と服役に関する証明を確保し、中国側でも弁護人に相談してください。帰国の時期についても慎重な検討が必要です。

外国で服役した期間は日本の刑期から差し引かれますか

刑法5条は、外国で刑の執行を受けたときは刑の執行を減軽し、又は免除すると定めています。適用を受けるには、服役の事実と期間を証明する資料が必要です。判決書や釈放に関する証明を取り寄せ、弁護人を通じて提出してください。翻訳文の準備も忘れないようにしてください。

有罪判決に加えて退去強制されるのは不当ではありませんか

退去強制は行政処分と解されており、二重処罰には当たらないとされています。もっとも、判断の在り方には議論があり、争われている論点もあります。個別の事情によって主張できる点が異なりますので、判決の内容と在留資格を確認のうえ、まずご相談ください。早い段階でのご相談が有効です。

当事務所のご案内

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区・高田馬場駅から徒歩約5分)は、松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)が、中国籍の方を中心とする外国人の刑事弁護と入管手続を主たる注力分野として取り扱っております。刑事事件と在留の問題を別々の専門家に分けて依頼するのではなく、同一の弁護士が最初の接見から入管手続まで一貫して担当いたします。

当事務所には外国人事件専属の中国語通訳が在籍しており、接見、取調べへの立会い、ご家族との打合せに対応いたします。中国国内にいらっしゃるご家族からのご連絡も、微信(WeChat)で直接お受けしております。刑事手続の終了後の在留資格の更新・変更については、提携する行政書士とともに対応いたします。

これまでの解決実績の一部をご紹介いたします。

  • 特殊詐欺の受け子として複数回再逮捕された事案において、取調べへの対応と主張立証を尽くし、全件について不起訴処分を獲得した事例。
  • 在留資格を失って不法残留で逮捕・起訴された依頼者について、婚姻と認知の手続を実現させたうえで、公的書類がほとんど存在しない状況下でも有利な証拠を収集し、一度の申請で在留特別許可を獲得した事例。
  • 覚醒剤取締法違反(営利目的所持)で起訴された依頼者について、証拠の分析と被告人質問・反対尋問を尽くし、無罪判決を獲得した事例。

本記事は一般的な解説であり、個別の事案については弁護士に直接ご相談ください。また、過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

本記事は2026年8月時点の情報です。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)

中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。

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ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
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