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刑の消滅(刑法34条の2)は入管審査でどこまで意味を持つか 前科は消えるのか

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刑の消滅(刑法34条の2)は入管審査でどこまで意味を持つか 前科は消えるのか

刑の消滅(刑法34条の2)は入管審査でどこまで意味を持つか 前科は消えるのか

2026/08/13

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拘禁刑以上の刑の執行を終えた方が、その後10年間、罰金以上の刑に処せられなければ、刑の言渡しは効力を失います。罰金以下の刑であれば5年です。これが刑法34条の2の定める刑の消滅で、執行猶予の場合は猶予期間の経過により刑の言渡しが効力を失います。前科が消えたと説明されることの多い制度ですが、入管の審査で同じように扱われるかというと、話は単純ではありません。本稿では、刑の消滅の要件と効果を確認したうえで、上陸拒否事由、在留期間の更新、永住や帰化の審査における実際の扱いを整理します。

本記事の要点

  • 刑法34条の2により、拘禁刑以上は執行終了から10年、罰金以下は5年の経過で刑の言渡しが効力を失います。
  • 執行猶予の場合は、刑法27条により猶予期間の経過によって刑の言渡しが効力を失います。
  • もっとも、退去強制事由への該当性は刑に処せられた時点で発生するため、後の刑の消滅で当然に消えるとは限りません。
  • 永住や帰化の素行要件では、刑の消滅の時期が一つの目安として意識されるのが実務です。

刑の消滅とは何が消える制度ですか

消えるのは刑の言渡しの法律上の効力であって、過去に処罰を受けたという事実そのものではありません。刑法34条の2第1項は、拘禁刑以上の刑の執行を終わり又はその執行の免除を得た者が、罰金以上の刑に処せられないで10年を経過したときは刑の言渡しは効力を失うと定め、罰金以下の刑については5年としています。全部執行猶予の場合は、刑法27条により猶予期間を無事に経過すれば言渡しの効力が失われます。効力が失われれば、資格制限などの法令上の不利益は将来に向かって解消されます。他方で、捜査機関の記録から事実の記載が抹消されるわけではありませんから、質問に対して処罰歴がないと答えてよいことにはなりません。

退去強制事由には影響しますか

既に発生した該当性が事後的に消えるとは限らない、というのが実務の見方です。入管法24条4号の2や4号リは、一定の罪について拘禁刑に処せられたことを退去強制事由としており、その判断は刑が確定した時点の事実を基礎とします。したがって、後年になって刑の言渡しの効力が失われても、退去強制手続の中で既に認定された該当性が当然に否定されるとは限りません。この点については、刑の消滅の趣旨を重視して該当性を否定すべきだという議論もあり、解釈は固まっていません。実務的には、刑の消滅を単独の切り札とせず、在留特別許可(入管法50条)の判断において、更生の実績を示す積極事情として位置付ける組み立てが現実的です。

上陸拒否や在留更新の審査ではどう扱われますか

審査の性質によって重みが変わります。入管法5条1項4号や5号の上陸拒否事由は、刑に処せられたことのある者という過去の事実を要件としており、条文上、年数の経過による解除は定められていません。もっとも、上陸特別許可(入管法12条)や在留期間の更新の判断は裁量的な総合判断ですから、刑の消滅に至るだけの年月が経過し、その間に再犯がないという事実は、有利な事情として正面から主張できます。逆にいえば、刑が消滅したことだけを述べて足りるものではなく、就労状況、納税や社会保険料の納付、家族との同居状況といった生活の実態を、資料に基づいて示すことが求められます。

永住や帰化を目指す場合の目安になりますか

一つの目安として意識されています。永住許可については入管法22条2項が素行が善良であることを要件とし、帰化については国籍法5条1項3号が素行要件を定めています。いずれも法令上、刑の消滅を基準とする明文はありませんが、実務では、拘禁刑であれば執行終了から10年、罰金であれば5年という刑法34条の2の期間が、申請時期を検討する際の現実的な参考にされています。ここから逆算すると、そもそも前科を作らないこと、すなわち起訴前の段階で不起訴処分を得ることが、将来の永住や帰化にとって最も効果の大きい選択であることが分かります。処分の軽重だけでなく、その後の人生設計を見据えた判断が必要です。

よくあるご質問

刑が消滅すれば申請書の賞罰欄に書かなくてよいですか

書式や質問の趣旨によりますが、処罰を受けた事実の有無を尋ねられている場合は、消滅を理由に記載を省くことは危険です。不記載が偽りその他不正の手段と評価されれば、入管法22条の4による在留資格の取消しにつながり得ます。判断に迷う場合は事前にご相談ください。

執行猶予期間が満了すれば前科はなくなりますか

刑法27条により刑の言渡しの効力は失われますが、処罰を受けた事実の記録が消えるわけではありません。入管審査でも過去の事実として説明を求められることがありますので、判決書や猶予期間の満了を示す資料を保管し、必要なときに提示できるようにしておくことをお勧めします。

刑の消滅を待ってから永住申請すべきですか

事案によりますが、素行要件が重視される以上、相応の年月の経過を待つ判断には合理性があります。もっとも、在留資格の安定や家族の状況によっては早期の申請が望ましい場合もありますので、申請時期は、在留状況と資料の準備状況を踏まえて個別に検討する必要があります。

当事務所のご案内

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区・高田馬場駅から徒歩約5分)は、松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)が、中国籍の方を中心とする外国人の刑事弁護と入管手続を主たる注力分野として取り扱っております。刑事事件と在留の問題を別々の専門家に分けて依頼するのではなく、同一の弁護士が最初の接見から入管手続まで一貫して担当いたします。

当事務所には外国人事件専属の中国語通訳が在籍しており、接見、取調べへの立会い、ご家族との打合せに対応いたします。中国国内にいらっしゃるご家族からのご連絡も、微信(WeChat)で直接お受けしております。刑事手続の終了後の在留資格の更新・変更については、提携する行政書士とともに対応いたします。

これまでの解決実績の一部をご紹介いたします。

  • 在留資格を失って不法残留で逮捕・起訴された依頼者について、婚姻と認知の手続を実現させたうえで、公的書類がほとんど存在しない状況下でも有利な証拠を収集し、一度の申請で在留特別許可を獲得した事例。
  • 不法就労助長罪に問われて退去強制の危機にある依頼者について、「退去強制事由には故意・過失を要しない」とされてきた入管実務に対し、責任主義の射程を問う訴訟を係属中の事例。
  • 特殊詐欺の受け子として複数回再逮捕された事案において、取調べへの対応と主張立証を尽くし、全件について不起訴処分を獲得した事例。

本記事は一般的な解説であり、個別の事案については弁護士に直接ご相談ください。また、過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

本記事は2026年8月時点の情報です。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)

中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。

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ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
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