再犯防止計画はどう作るか|量刑と在留特別許可の双方で評価される具体的な内容
2026/08/13
反省していますという言葉だけでは、裁判所にも入管にも届きません。求められているのは、同じことが二度と起きない仕組みが、生活の中に実際に組み込まれているかどうかです。再犯防止計画とは、その仕組みを、誰が、いつ、何をするのかというレベルまで具体化した文書です。刑事の量刑審理では更生環境として、退去強制手続では入管法50条5項の考慮事情の一つとして、いずれの場面でも評価の対象になります。本稿では、事案の類型に応じた計画の作り方と、裏づけとなる資料の整え方を整理します。
本記事の要点
- 再犯防止計画は、原因の分析、環境の変更、監督の担い手、点検の方法という四つの要素で構成すると実効性が伝わります。
- 計画は本人が作成し、家族や勤務先が署名して裏づけることで、実行可能性が具体的に示されます。
- 類型ごとに内容が異なり、財産犯では金銭管理、薬物事犯では医療的支援、交通事犯では運転環境の整理が中心になります。
- 計画は判決後も入管手続で用いられるため、提出後の実行状況を記録に残しておくことが重要です。
再犯防止計画には何を書けばよいですか
原因の分析から始め、環境の変更、監督の担い手、点検の方法へと進める構成が分かりやすいといえます。原因の分析では、なぜその行為に至ったのかを、借入の残高、収入の変動、交友関係の変化といった具体的事実で説明します。環境の変更では、その原因に対応する措置を書きます。たとえば、収入不足が背景にあるのであれば、勤務先の確保と勤務時間、月々の収入見込みを記載します。監督の担い手では、同居家族や勤務先の上司が、いつ、どのように関与するのかを書きます。点検の方法では、月に一度の面談、家計簿の共有、通院の記録といった、実行の有無を後から確認できる方法を定めます。抽象的な決意ではなく、確認可能な事実を並べることが要点です。
事案の類型によって内容は変わりますか
大きく変わります。窃盗や詐欺といった財産犯では、金銭管理が中心になります。給与の受取口座を家族と共有する、生活費を週単位で管理する、借入を整理して返済計画を立てるといった内容を、金額と期日を伴って記載します。薬物に関する事犯では、医療的な支援と交友関係の遮断が中心となり、通院先、受診の頻度、支援団体への参加、連絡先の削除といった措置を具体的に書きます。傷害等の暴力を伴う事案では、飲酒との関係や、対立関係にある相手との接触回避の方法を明記します。交通事犯であれば、車両の処分や運転を要しない職種への転換が現実的な選択となります。類型に応じて、実際に効果のある措置を選ぶことが重要です。
誰が作成し、どのように提出しますか
本人が作成し、関係者が裏づける形が最も説得力を持ちます。弁護人が代わりに整えた文書は、体裁は整っていても、本人の言葉としての具体性を欠くことがあります。まずはご本人に、事実の経過と今後の生活を書き出していただき、それを弁護人が構成の面から整理します。そのうえで、同居家族の陳述書、勤務先の受入れを示す書面、医療機関の診断書などを添付します。中国籍の方の場合は、中国語で書いていただいたものに日本語訳を付す方法が実際的で、訳の過程で意味が変わらないよう、弁護人が用語を確認します。提出の時期は、量刑審理の前が基本ですが、起訴前の段階で検察官に示すことができれば、不起訴処分の判断材料としても機能します。
入管手続でも同じ計画を使えますか
使えますが、視点を補う必要があります。刑事では再犯の防止が中心ですが、入管法50条5項の考慮事情では、素行に加えて、家族関係、在留の状況、人道上の配慮といった要素が総合的に評価されます。したがって、入管に提出する際には、再犯防止の措置に加えて、生活の安定、納税と社会保険の履行、地域や職場との関係といった定着性を示す事実を補充します。また、提出しただけで終わらせず、計画に沿って実行してきた記録、たとえば通院の履歴、面談の記録、返済の領収書などを積み重ねておくことが有効です。判決から入管手続までには一定の時間がありますので、その期間の実行状況こそが、計画の実効性を裏づける最も強い資料になります。
よくあるご質問
計画書はどのくらいの分量が適切ですか
分量よりも具体性が重要です。実務上は、原因、対策、監督、点検の四点を整理して数枚程度にまとめ、裏づけ資料を別途添付する形が読みやすいといえます。長文であっても抽象的な記述が続くと、評価は高まりません。
家族が日本にいない場合、監督者はどうしますか
勤務先の上司、長年の知人、支援団体の担当者などが候補となります。国外の家族については、連絡の頻度や送金の状況を示すことで関与を説明できますが、日常の監督を担う方を国内に確保することが望まれます。
計画どおりに実行できなかった場合はどうなりますか
事情を隠さず説明し、修正した計画を示すことが重要です。実行できなかった理由と、代わりに講じた措置を記録に残せば、誠実な取組みとして評価され得ます。放置して報告しないことが最も不利に働きます。
当事務所のご案内
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区・高田馬場駅から徒歩約5分)は、松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)が、中国籍の方を中心とする外国人の刑事弁護と入管手続を主たる注力分野として取り扱っております。刑事事件と在留の問題を別々の専門家に分けて依頼するのではなく、同一の弁護士が最初の接見から入管手続まで一貫して担当いたします。
当事務所には外国人事件専属の中国語通訳が在籍しており、接見、取調べへの立会い、ご家族との打合せに対応いたします。中国国内にいらっしゃるご家族からのご連絡も、微信(WeChat)で直接お受けしております。刑事手続の終了後の在留資格の更新・変更については、提携する行政書士とともに対応いたします。
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- 特殊詐欺の受け子として複数回再逮捕された事案において、取調べへの対応と主張立証を尽くし、全件について不起訴処分を獲得した事例。
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本記事は一般的な解説であり、個別の事案については弁護士に直接ご相談ください。また、過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。
本記事は2026年8月時点の情報です。
執筆者
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
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