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中国国内での捜査協力要請|国際捜査共助の流れと日本の刑事手続・在留への影響

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中国国内での捜査協力要請|国際捜査共助の流れと日本の刑事手続・在留への影響

中国国内での捜査協力要請|国際捜査共助の流れと日本の刑事手続・在留への影響

2026/08/13

この記事の中国語版はこちら(本文的中文版请点击这里)

日本の捜査機関が、中国国内にある証拠や関係者の供述を必要とする場面は少なくありません。指示役が中国におり日本国内に受け子だけがいる事案や、送金の原資が中国の口座にある事案が典型です。この場合、日本の警察官が中国へ渡って直接取り調べることはできず、条約や外交ルートを通じた国際捜査共助の手続を踏むことになります。この手続には相応の時間がかかり、その間に勾留が延び、在留期間の満了が重なって、刑事と入管の両面で不利益が積み重なりやすくなります。本稿では、共助の仕組みと、当事者側で準備できることを整理します。

本記事の要点

  • 中国国内の証拠収集は、日中間の刑事に関する共助条約に基づく中央当局間の要請か、ICPO経由の情報照会という形で行われます。
  • 日本の捜査機関が中国国内で直接強制捜査を行うことはできず、実施の可否と範囲は中国側の判断に委ねられます。
  • 共助の回答には数か月以上を要することがあり、その間に勾留が長期化して在留期間が満了し、在留資格取消(入管法22条の4)の問題も生じます。
  • 不起訴処分を得られれば退去強制事由の多くを回避できるため、共助の結果を待つ間も被害弁償と供述の整理を進めることが重要です。

日本の捜査機関は中国国内で捜査できますか

できません。捜査は主権の作用ですから、日本の警察官が中国の領域内で強制捜査を行うことは国際法上許されません。したがって中国国内の証拠は、第1に日本国と中華人民共和国との間の刑事に関する共助に関する条約に基づく中央当局間の要請、第2にICPO(国際刑事警察機構)を通じた情報交換、第3に関係者が任意に来日して供述する、のいずれかによって収集されます。第1の正式ルートは証拠能力の点で最も安定しますが、要請書の作成・翻訳・双方の審査を経るため時間がかかります。第2は捜査の端緒や参考情報にとどまり、そのままでは公判の証拠になりにくいという限界があります。弁護人としては、検察官が中国側から得た資料について、どのルートで、どのような手続を経て入手されたものかを証拠開示の段階で確認することが出発点になります。

共助の回答を待つ間、勾留が長引くのはやむを得ないのですか

共助の結果待ちそれ自体は、勾留を正当化する理由にはなりません。勾留の要件は刑事訴訟法60条1項の罪証隠滅のおそれと逃亡のおそれであり、海外からの資料が届いていないという捜査側の事情は、被疑者の身体を拘束し続ける根拠とは本来別の問題です。もっとも実務では、共犯者が国外にいる事案について罪証隠滅のおそれが広く認められる傾向があり、勾留が長期化しやすいのが実情です。弁護人は、被疑者本人が中国側の関係者と連絡を取る具体的手段を持たないこと、携帯電話やSNSアカウントが既に押収され解析済みであることなどを、抽象的なおそれに対する反証として提示していきます。あわせて、勾留が続けば在留期間が満了し更新申請すら行えない状態に陥る点も、身柄解放の必要性を裏づける事情として主張します。

中国から届いた供述調書はそのまま証拠になりますか

当然に証拠となるわけではなく、伝聞法則と真正性の審査を通過する必要があります。中国の公安機関が作成した取調べ調書は、日本の刑事訴訟法上は伝聞証拠であり、321条1項3号の要件、すなわち供述者が国外にいるため公判で供述できないこと、その供述が犯罪事実の証明に欠くことができないこと、特に信用すべき情況の下でされたことのすべてを満たさない限り採用されません。中国側の取調べ状況は日本側で検証できないことが多く、特信情況の立証は容易ではありません。弁護人は、通訳人の有無と適格性、取調べの時間帯と長さ、録音録画の有無といった作成経過について求釈明を行い、必要に応じて証拠意見を不同意とし、採否そのものを争います。あわせて中国語文書の日本語訳の正確性も、独立した争点になり得ます。

共助の長期化は在留資格にどう影響しますか

刑事手続の長期化は、それ自体が在留資格の維持を難しくします。勾留中は在留期間更新の申請を自ら行うことが困難で、期間が満了すれば不法残留(入管法24条2号の2・4号ロ)の状態に至ります。また、就労資格の方が長期間その活動を行っていない状態が続けば、入管法22条の4に基づく在留資格取消の対象になり得ます。判決の内容次第では、別表第一の在留資格をお持ちの方が詐欺や窃盗で拘禁刑に処せられた場合、執行猶予が付いても入管法24条4号の2により退去強制事由に該当します。これに対し、永住者・定住者・日本人の配偶者等といった別表第二の在留資格には同号の適用がありません。この差を踏まえると、刑事弁護の目標を執行猶予ではなく不起訴処分の獲得に置くことが、在留を守るうえで最も効果的です。

よくあるご質問

中国にいる家族に日本の警察から直接連絡が来ることはありますか

日本の警察が中国在住のご家族へ直接連絡することは通常ありません。中国国内の関係者への聴取は、条約に基づく共助要請を経て中国側の機関が行うのが原則です。ただし、ご家族が来日された際に空港や自宅で任意の事情聴取を求められることはあり得ますので、応じる前に弁護人にご相談ください。

共助の要請が出ていることを本人が知る方法はありますか

捜査段階では原則として知らされません。起訴後、検察官請求証拠の一覧や証拠開示を通じて判明することが多く、公判前整理手続で類型証拠の開示を求めることにより入手経路を確認できる場合もあります。まずは弁護人を通じて開示を請求することになります。

中国側が協力を拒否した場合、事件は終わりますか

証拠が不足すれば嫌疑不十分による不起訴や訴因の縮小につながることはありますが、自動的に終結するわけではありません。日本国内で収集された防犯カメラ映像や通信記録のみで起訴される例も多いため、国内証拠に対する反論を並行して準備する必要があります。

当事務所のご案内

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区・高田馬場駅から徒歩約5分)は、松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)が、中国籍の方を中心とする外国人の刑事弁護と入管手続を主たる注力分野として取り扱っております。刑事事件と在留の問題を別々の専門家に分けて依頼するのではなく、同一の弁護士が最初の接見から入管手続まで一貫して担当いたします。

当事務所には外国人事件専属の中国語通訳が在籍しており、接見、取調べへの立会い、ご家族との打合せに対応いたします。中国国内にいらっしゃるご家族からのご連絡も、微信(WeChat)で直接お受けしております。刑事手続の終了後の在留資格の更新・変更については、提携する行政書士とともに対応いたします。

これまでの解決実績の一部をご紹介いたします。

  • 特殊詐欺の受け子として複数回再逮捕された事案において、取調べへの対応と主張立証を尽くし、全件について不起訴処分を獲得した事例。
  • 在留資格を失って不法残留で逮捕・起訴された依頼者について、婚姻と認知の手続を実現させたうえで、公的書類がほとんど存在しない状況下でも有利な証拠を収集し、一度の申請で在留特別許可を獲得した事例。
  • 覚醒剤取締法違反(営利目的所持)で起訴された依頼者について、証拠の分析と被告人質問・反対尋問を尽くし、無罪判決を獲得した事例。

本記事は一般的な解説であり、個別の事案については弁護士に直接ご相談ください。また、過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

本記事は2026年8月時点の情報です。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)

中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。

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ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
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