中国の家族への連絡と送金の注意点|接見禁止・領事通報と資金の扱い
2026/08/13
身柄を拘束された方のご家族から、まず寄せられるのは「本人と連絡が取れない」「お金を送りたいがどうすればよいか」というご相談です。日本の手続では、接見禁止が付されると弁護人以外は面会も手紙のやり取りもできなくなるため、家族が状況を把握できない期間が生じます。また、送金についても、目的と出所を明確にしないと後の手続で疑義を招きます。ここでは、家族が取り得る連絡手段、領事機関への通報、送金の実務上の注意点を整理します。
本記事の要点
- 接見禁止が付されると、弁護人以外との面会・信書のやり取りが制限される。
- 領事機関への通報を求めることができ、領事による面会が行われる場合がある。
- 送金は使途と出所を明確にし、弁護人の預り金口座を経由するのが通例である。
- 身柄拘束中に在留期間が満了すると、不法残留として入管法上の問題が生じる。
家族は本人と連絡を取れますか
接見禁止が付いている場合、弁護人以外との連絡は制限されます。共犯者がいる事件や否認事件では、罪証隠滅のおそれを理由に接見等禁止の決定がされることが多く、この場合、家族は面会も手紙のやり取りもできません。もっとも、弁護人には接見が認められていますので、本人の状況や意向は弁護人を通じて確認することができます。また、衣類や現金の差入れは、接見禁止の場合でも認められることがあります。接見禁止の一部解除を求める申立てを行い、家族との面会のみ認められる例もありますので、まず弁護人に、現在どのような制限が付されているかを確認してください。
中国の領事館に連絡してもらえますか
本人が希望すれば、領事機関への通報を求めることができます。外国人が身柄を拘束された場合、本人の要請があれば、その本国の領事機関へ通報される取扱いとなっており、領事による面会が行われることがあります。領事は、通訳の手配や本国の家族との連絡、処遇に関する申入れなどについて支援を行う場合があります。もっとも、領事は弁護活動を行うわけではなく、刑事手続における主張や示談交渉は弁護人の役割です。両者の役割は異なりますので、混同せずに、それぞれの窓口を活用することが現実的です。通報を希望するかどうかは、本人の意思に基づいて判断されます。
送金する際に気をつけることは何ですか
使途と出所を明確にし、記録が残る形で行うことが重要です。弁護士費用や被害弁償に充てる資金は、通常、弁護人の預り金口座で受け入れ、そこから支払います。個人間の現金授受や、目的を明示しない送金は、後に資金の性質が問題となった際に説明が困難になります。また、送金の名目を実際と異なる内容で申告することは避けてください。事件が資金の流れに関わるものである場合、家族の送金が捜査の対象となることもあり得ます。中国からの対外送金には手続上の制約があり、着金まで日数を要することがありますので、示談の期限を見据えて早めに準備を始める必要があります。
家族が日本でできる準備は何ですか
在留手続に関する期限の管理と、生活基盤の維持が中心となります。身柄拘束が続くと、在留期間の満了日が到来しても更新申請ができず、不法残留の状態が生じます。この点は退去強制事由に関わりますので、弁護人を通じて入管へ状況を説明し、釈放後直ちに手続を取れるよう準備しておくことが必要です。あわせて、住居の確保、家賃や公共料金の支払、勤務先や学校への連絡、旅券や在留カードの保管状況の確認も重要です。これらは、後に身元引受けや在留特別許可を求める際の資料にもなります。不用意に本人の携帯やパソコンのデータを削除することは避けてください。
よくあるご質問
手紙も渡せないのですか
接見禁止が付されている場合、弁護人以外との信書のやり取りは制限されます。ただし、弁護人を通じて本人の様子を伝えてもらうことは可能です。制限の範囲は決定内容により異なりますので、弁護人に確認してください。本人の健康状態や必要な物品も、弁護人を通じて確認することができます。
差入れはどこまでできますか
施設ごとに取扱いが異なりますが、衣類や現金、書籍などは認められることがあります。品目や数量に制限があり、食品は原則として不可とされることが多いため、事前に施設または弁護人へ確認してください。現金の差入れは限度額が定められている場合がありますので、事前の確認が必要です。
家族が中国から来日して面会できますか
接見禁止がなければ面会は可能ですが、時間や人数に制限があります。渡航には査証が必要となる場合があり、日程調整も要しますので、面会の可否と手続を弁護人に確認したうえで計画を立ててください。面会には身分証明書が必要となりますので、忘れずにお持ちください。
当事務所のご案内
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区・高田馬場駅から徒歩約5分)は、松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)が、中国籍の方を中心とする外国人の刑事弁護と入管手続を主たる注力分野として取り扱っております。刑事事件と在留の問題を別々の専門家に分けて依頼するのではなく、同一の弁護士が最初の接見から入管手続まで一貫して担当いたします。
当事務所には外国人事件専属の中国語通訳が在籍しており、接見、取調べへの立会い、ご家族との打合せに対応いたします。中国国内にいらっしゃるご家族からのご連絡も、微信(WeChat)で直接お受けしております。刑事手続の終了後の在留資格の更新・変更については、提携する行政書士とともに対応いたします。
これまでの解決実績の一部をご紹介いたします。
- 特殊詐欺の受け子として複数回再逮捕された事案において、取調べへの対応と主張立証を尽くし、全件について不起訴処分を獲得した事例。
- 在留資格を失って不法残留で逮捕・起訴された依頼者について、婚姻と認知の手続を実現させたうえで、公的書類がほとんど存在しない状況下でも有利な証拠を収集し、一度の申請で在留特別許可を獲得した事例。
- 覚醒剤取締法違反(営利目的所持)で起訴された依頼者について、証拠の分析と被告人質問・反対尋問を尽くし、無罪判決を獲得した事例。
本記事は一般的な解説であり、個別の事案については弁護士に直接ご相談ください。また、過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。
本記事は2026年8月時点の情報です。
執筆者
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。
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