留学生が事件に関与した場合の在留への影響|資格外活動・除籍と退去強制
2026/08/13
留学生の場合、刑事処分そのものだけでなく、身柄拘束によって学業が中断し、除籍や退学に至ることが、在留資格を失う直接の原因となります。あわせて、アルバイトが週28時間の上限を超えていた事実が判明すると、資格外活動として別個の問題が生じます。刑事事件が不起訴で終わっても、学校に在籍できなければ在留資格の基礎が失われるため、刑事と学籍と入管の三方向を同時に管理する必要があります。ここでは、留学生に特有の論点を順に整理します。
本記事の要点
- 資格外活動許可の上限は原則として週28時間で、超過は入管法19条違反となる。
- 除籍・退学により在留資格に応じた活動を3か月以上行わない状態が続くと、入管法22条の4第1項5号による取消しの対象となり得る。
- 詐欺・窃盗等で拘禁刑に処せられた場合、執行猶予でも入管法24条4号の2に該当し得る。
- 所属機関の変更等については、入管法19条の16による届出義務がある。
アルバイトの時間超過はどう扱われますか
資格外活動許可の範囲を超える就労は、それ自体が入管法上の違反です。留学の在留資格で就労するには資格外活動許可が必要であり、その範囲は原則として週28時間以内とされています。これを超えて稼働していた事実は、給与明細、シフト表、勤務先への照会などから把握されます。専ら資格外活動を行っていると認められる場合には、入管法24条4号イの退去強制事由が問題となり、悪質な場合には同法73条による処罰の対象ともなり得ます。刑事事件の捜査の過程で就労状況が明らかになる例も多いため、超過の有無と程度、その理由を早い段階で整理しておくことが重要です。
逮捕されると学校はどうなりますか
長期の身柄拘束は、出席不足による除籍という形で在留の基礎を失わせます。多くの教育機関は一定の出席率を在籍の要件としており、勾留が数週間に及べば、それだけで基準を下回ることがあります。学校側が事件を把握した場合、内部規則により退学処分となることもあります。除籍・退学に至れば、留学の在留資格に応じた活動を行っていない状態となり、その状態が3か月以上継続すると、入管法22条の4第1項5号により在留資格の取消しの対象となり得ます。したがって、弁護人を通じて学校へ状況を説明し、休学の取扱いや復学の可能性を確認しておくことが、実務上の重要な作業となります。
不起訴になれば在留は維持できますか
不起訴は必要条件ですが、それだけで在留が確保されるわけではありません。不起訴であれば拘禁刑に処せられていない以上、入管法24条4号の2の退去強制事由には該当しません。しかし、資格外活動の超過や除籍という別の事由が残っていれば、在留資格の取消しや更新不許可の問題は続きます。復学または他校への入学が実現できるか、学費と生活費の裏付けがあるか、超過就労の理由が是正されたかといった点を、資料をもって示す必要があります。更新申請の際には、事件の経過と処分結果、再発防止の体制を説明する書面を添えることで、審査における理解を得やすくなります。
有罪になった場合はどうなりますか
罪名によっては、執行猶予でも退去強制の対象となります。留学は別表第一の在留資格ですから、窃盗、詐欺、住居侵入、傷害、偽造といった罪で拘禁刑に処せられれば、入管法24条4号の2に該当し得ます。薬物事犯であれば24条4号チにより、やはり執行猶予でも該当します。1年を超える実刑であれば24条4号リの問題ともなります。この構造から、留学生の刑事弁護では、起訴前の段階で不起訴を得ることが最優先の目標となります。あわせて、退去強制手続に進んだ場合に備え、在留期間、学業成績、家族の状況、将来の計画を示す資料を蓄積しておくことが望まれます。
よくあるご質問
週28時間を少し超えただけでも問題になりますか
超過の程度と継続性によって評価は異なります。わずかな超過が直ちに退去強制につながるわけではありませんが、更新審査で不利に働きます。是正の経緯と今後の管理方法を説明できるよう、勤務記録を整理してください。勤務先が複数ある場合は、合算した時間で判断される点にも注意してください。
退学になったらすぐに帰国しなければなりませんか
直ちに帰国が求められるわけではありませんが、活動を行わない状態が続けば在留資格取消しの対象となり得ます。復学や他校への入学、あるいは在留資格の変更の可能性を、早期に検討する必要があります。学費や生活費の裏付けも、あわせて説明できるよう準備しておいてください。
在留期間の更新は事件があってもできますか
不可能ではありません。不起訴となり、学籍が維持され、生活の基盤が示せる場合には許可された例もあります。事件の経過、処分結果、再発防止の体制を説明する資料を添えて申請することが実務上重要です。申請の際に事実を秘することは、後の取消しの問題を生じさせるため避けるべきです。
当事務所のご案内
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区・高田馬場駅から徒歩約5分)は、松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)が、中国籍の方を中心とする外国人の刑事弁護と入管手続を主たる注力分野として取り扱っております。刑事事件と在留の問題を別々の専門家に分けて依頼するのではなく、同一の弁護士が最初の接見から入管手続まで一貫して担当いたします。
当事務所には外国人事件専属の中国語通訳が在籍しており、接見、取調べへの立会い、ご家族との打合せに対応いたします。中国国内にいらっしゃるご家族からのご連絡も、微信(WeChat)で直接お受けしております。刑事手続の終了後の在留資格の更新・変更については、提携する行政書士とともに対応いたします。
これまでの解決実績の一部をご紹介いたします。
- 在留資格を失って不法残留で逮捕・起訴された依頼者について、婚姻と認知の手続を実現させたうえで、公的書類がほとんど存在しない状況下でも有利な証拠を収集し、一度の申請で在留特別許可を獲得した事例。
- 不法就労助長罪に問われて退去強制の危機にある依頼者について、「退去強制事由には故意・過失を要しない」とされてきた入管実務に対し、責任主義の射程を問う訴訟を係属中の事例。
- 特殊詐欺の受け子として複数回再逮捕された事案において、取調べへの対応と主張立証を尽くし、全件について不起訴処分を獲得した事例。
本記事は一般的な解説であり、個別の事案については弁護士に直接ご相談ください。また、過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。
本記事は2026年8月時点の情報です。
執筆者
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。
舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
微信ID:matsumura1119
----------------------------------------------------------------------
舟渡国際法律事務所
住所 : 東京都豊島区高田3丁目4-10布施ビル本館3階
電話番号 :050-7587-4639
東京にて中国人の方をサポート
東京を中心に刑事事件の弁護
----------------------------------------------------------------------