再逮捕が繰り返される事件への備え|身柄拘束の長期化と在留手続の進み方
2026/08/13
同じ人が短期間に何度も逮捕されるのは、日本の刑事手続が事件ごとに身柄の判断を行う仕組みだからです。被害者が複数いる詐欺や窃盗、覚醒剤の使用と譲渡といった類型では、勾留の満期に合わせて別の事実で再び逮捕され、身柄拘束が数か月に及ぶことがあります。外国籍の方の場合、この間に在留期間が満了し、釈放後ただちに入管の手続へ移ることも珍しくありません。ここでは、再逮捕の見通しの立て方と、家族が今できる準備を整理します。
本記事の要点
- 逮捕・勾留は事件単位で判断されるため、別の事実による再逮捕が繰り返されることがある。
- 勾留は原則10日、延長でさらに10日までで、事実の数だけ期間が積み上がる。
- 起訴後は保釈請求が可能になるが、余罪の捜査中は身柄が続く場合がある。
- 刑事手続の終了時に在留期間が切れていれば、釈放と同時に入管法39条の収容へ移ることがある。
なぜ何度も逮捕されるのですか
日本の手続では、逮捕と勾留の要否が犯罪事実ごとに判断されるためです。捜査機関は、まず立証が固まった一件で逮捕し、勾留期間中に取調べと証拠収集を進めます。その満期が近づくと、別の被害者に対する事実や別の日時の事実で改めて逮捕状を得て、再逮捕することがあります。勾留は原則10日、やむを得ない事由があるときはさらに10日まで延長されるため、事実が三つあれば、単純計算で二か月近い身柄拘束となり得ます。この運用自体には批判もありますが、現実には広く行われています。したがって、最初の勾留段階から、想定される余罪の全体像を把握し、どの順序で対応するかを設計しておく必要があります。
身柄が長引くと生活面でどのような影響がありますか
在留と就労の基盤が、刑事手続の結論を待たずに失われていきます。就労資格の方は、長期欠勤により解雇されれば、在留資格に応じた活動を継続できなくなり、入管法22条の4第1項5号による在留資格の取消しが問題となります。留学生であれば出席不足による除籍が生じ得ます。また、在留期間の満了日が拘束中に到来すると、更新申請ができないまま不法残留の状態となり、入管法24条2号の2または4号ロの退去強制事由が加わります。家賃の滞納や携帯電話の停止といった生活基盤の崩壊も、釈放後の身元引受けの説得力に影響します。家族や勤務先との連絡は、弁護人を通じて早期に確保してください。
家族は何を準備しておくべきですか
身元引受けと弁償の資金計画を、早い段階で具体化しておくことが有効です。再逮捕が続く事件では、いずれかの段階で釈放や保釈の機会が訪れます。その際に、住居の確保、就労先または監督者の存在、渡航文書やパスポートの保管状況、逃亡を防ぐ具体的な体制を書面で示せるかどうかが判断を左右します。あわせて、被害弁償に充てられる資金の総額と調達方法を整理しておくと、示談交渉の順序を決めやすくなります。差入れや面会は、接見禁止が付いていると弁護人以外は制限されますが、衣類や書籍の差入れは可能な場合があります。まず弁護人に、接見禁止の有無と可能な支援の範囲を確認してください。
刑事手続が終わった後、入管手続はどう進みますか
釈放されても、そのまま帰宅できるとは限りません。在留期間が満了している場合や、退去強制事由に該当する疑いがある場合には、釈放と同時に入国警備官による収容が行われることがあります。実刑となったときは、刑期の満了に合わせて入管へ引き渡される流れとなります。収容後は違反調査、入国審査官の審査、口頭審理、異議の申出という順に進み、最終段階で入管法50条の在留特別許可の可否が判断されます。近年は監理措置(入管法44条の2以下)により収容によらず手続を進める運用も導入されています。刑事弁護の段階から、この先の入管手続を見据えて資料を蓄積しておくことが望まれます。
よくあるご質問
再逮捕は何回まで繰り返されるのですか
回数に一律の上限はなく、立件される事実の数によります。もっとも、同一の事実で繰り返し逮捕することは許されず、実務上も一定の歯止めがあります。想定される事実の範囲を弁護人が検察官に確認し、見通しを立てることが現実的な対応です。見通しが立てば、示談や資料準備の順序も具体的に組み立てられます。
勾留中に在留期間が切れそうです
身柄拘束中は更新申請が困難で、満了すれば不法残留の状態となります。弁護人から入管へ状況を説明し、釈放後速やかに手続をとれるよう準備することが重要です。放置すると退去強制事由が積み重なり、在留特別許可の判断でも不利に働きます。在留カードや旅券の所在も、あわせて確認しておいてください。
保釈はいつから請求できますか
起訴された事件について請求が可能となります。ただし、余罪で勾留が続いている間は、保釈が認められても釈放されません。全事実の起訴時期を見据え、住居や身元引受人、逃亡防止策を整えたうえで請求時期を検討します。住居や監督者の準備は、時間がかかるため早めに着手することが望まれます。
当事務所のご案内
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区・高田馬場駅から徒歩約5分)は、松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)が、中国籍の方を中心とする外国人の刑事弁護と入管手続を主たる注力分野として取り扱っております。刑事事件と在留の問題を別々の専門家に分けて依頼するのではなく、同一の弁護士が最初の接見から入管手続まで一貫して担当いたします。
当事務所には外国人事件専属の中国語通訳が在籍しており、接見、取調べへの立会い、ご家族との打合せに対応いたします。中国国内にいらっしゃるご家族からのご連絡も、微信(WeChat)で直接お受けしております。刑事手続の終了後の在留資格の更新・変更については、提携する行政書士とともに対応いたします。
これまでの解決実績の一部をご紹介いたします。
- 特殊詐欺の受け子として複数回再逮捕された事案において、取調べへの対応と主張立証を尽くし、全件について不起訴処分を獲得した事例。
- 在留資格を失って不法残留で逮捕・起訴された依頼者について、婚姻と認知の手続を実現させたうえで、公的書類がほとんど存在しない状況下でも有利な証拠を収集し、一度の申請で在留特別許可を獲得した事例。
- 覚醒剤取締法違反(営利目的所持)で起訴された依頼者について、証拠の分析と被告人質問・反対尋問を尽くし、無罪判決を獲得した事例。
本記事は一般的な解説であり、個別の事案については弁護士に直接ご相談ください。また、過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。
本記事は2026年8月時点の情報です。
執筆者
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。
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ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
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