舟渡国際法律事務所

組織的犯罪処罰法が適用される場合|加重要件と没収・追徴、在留への影響

お問い合わせはこちら

組織的犯罪処罰法が適用される場合|加重要件と没収・追徴、在留への影響

組織的犯罪処罰法が適用される場合|加重要件と没収・追徴、在留への影響

2026/08/13

この記事の中国語版はこちら(本文的中文版请点击这里)

特殊詐欺の事件では、通常の詐欺罪ではなく組織的犯罪処罰法が適用されることがあります。同法3条1項は、団体の活動として、当該行為を実行するための組織により詐欺が行われた場合に、法定刑を1年以上20年以下の拘禁刑へ加重しています。適用の有無は、拠点の存在、役割分担の固定性、指揮命令系統の継続性といった実態によって決まります。適用されれば、量刑の水準が上がるだけでなく、犯罪収益の没収・追徴の対象も広がります。ここでは、加重要件の考え方、争い方、そして在留手続への影響を整理します。

本記事の要点

  • 組織的犯罪処罰法3条1項の組織的詐欺は、法定刑が1年以上20年以下の拘禁刑に加重されます。
  • 加重の要件は、団体の活動として、罪に当たる行為を実行するための組織により行われたことです。
  • 同法は犯罪収益の没収・追徴を広く認めており、費消済みでも追徴の対象となり得ます。
  • 加重により実刑1年超となれば入管法24条4号リに、詐欺として同条4号の2にも当たり得ます。

どのような場合に組織的詐欺となりますか

適用の中心的要件は、団体の活動として、詐欺を実行するための組織により行われたことです。具体的には、継続的な結合体が存在し、その意思決定に基づいて、あらかじめ定められた役割分担に従って犯行が実行された実態が必要です。実務では、拠点の賃借、名簿やマニュアルの共有、勤務時間や報酬体系の存在、上位者からの継続的な指揮が認定の根拠となります。逆に、その場限りの寄せ集めで、役割分担も流動的であった場合には、加重要件を満たさないとの主張が成り立ち得ます。したがって、弁護方針としては、単に関与を否定するのではなく、組織性の実態そのものを検証し、自らが継続的な役割分担の一部であったかを具体的に争う視点が必要です。

末端の関与者にも加重が及びますか

結論として、組織の一部として役割を担っていれば、末端であっても加重規定の適用を受け得ます。もっとも、量刑では組織内の地位が明確に区別されますので、加重の適用自体を争う余地と、量刑上の位置付けを争う余地の双方を検討することになります。特に、一日限りの参加で、拠点の実態も知らず、他の関与者の役割も認識していなかった場合には、組織による犯行への加功といえるかを具体的に検討すべきです。実務では、勤務表への記載、支給された端末の有無、報酬体系の説明を受けていたかといった事情が判断材料となります。抽象的に末端であると述べるのではなく、組織との接点の乏しさを客観資料で示すことが有効です。

没収・追徴はどこまで及びますか

組織的犯罪処罰法は、犯罪収益等の没収・追徴について広い規定を置いています。詐欺により得られた金銭そのものが特定できる場合は没収の対象となり、既に費消していれば、その価額の追徴が命じられ得ます。したがって、受け取った報酬を生活費に使っていた場合でも、追徴を免れるわけではありません。追徴の判断は、実際に取得した範囲を基礎とするため、共犯者間でどのように分配されたかの認定が重要となります。自らの取得額を超える追徴が命じられることのないよう、送金記録や現金授受の状況を具体的に主張する必要があります。加えて、被害者への弁償を行った場合には、その事実を明らかにして、二重の負担とならないよう整理することが求められます。

在留手続にはどう影響しますか

組織的詐欺として起訴されると、実刑が言い渡される可能性が高まります。1年を超える拘禁刑の実刑となれば入管法24条4号リの退去強制事由に該当し、加えて詐欺は刑法第37章の罪であるため、別表第一の在留資格をお持ちの方は同条4号の2の対象ともなります。刑の執行を終えた後は入管の収容手続へ移り、退去強制令書が発付されれば、入管法5条1項9号により原則5年、2回目以降は10年の上陸拒否期間が生じます。日本に配偶者や子がいる場合には、入管法50条の在留特別許可を求める余地がありますが、組織性の認定は不利に働きます。刑事段階から、家族関係や生活実態に関する資料を蓄積しておく意義は大きいといえます。

よくあるご質問

組織的詐欺でも執行猶予はあり得ますか。

法定刑の下限が1年に引き上げられるため、執行猶予の余地は狭まりますが、酌量減軽が認められれば可能性は残ります。関与の期間、被害額、弁償状況が判断を左右しますので、早期の被害弁償が現実的に重要です。共犯者間の量刑の均衡も考慮されるため、自らの役割の限定性を示す必要があります。

拠点に行ったことがなくても組織的とされますか。

拠点への出入りは有力な事情ですが、必須ではありません。継続的な指示関係や役割の固定性が認められれば組織性が肯定され得ます。逆に、単発の関与にとどまる事情があれば、その点を具体的に主張すべきです。支給された端末や勤務表への記載の有無は、組織性を判断する具体的な資料となります。

追徴金を支払えない場合はどうなりますか。

追徴が確定すれば、納付できない場合に労役場留置に付されることがあります。分割納付の相談が可能な場合もありますので、判決前から資金の見通しを整理し、被害弁償との優先順位を弁護人と協議してください。被害弁償を優先した場合は、その事実を明らかにして二重の負担を避ける必要があります。

当事務所のご案内

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区・高田馬場駅から徒歩約5分)は、松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)が、中国籍の方を中心とする外国人の刑事弁護と入管手続を主たる注力分野として取り扱っております。刑事事件と在留の問題を別々の専門家に分けて依頼するのではなく、同一の弁護士が最初の接見から入管手続まで一貫して担当いたします。

当事務所には外国人事件専属の中国語通訳が在籍しており、接見、取調べへの立会い、ご家族との打合せに対応いたします。中国国内にいらっしゃるご家族からのご連絡も、微信(WeChat)で直接お受けしております。刑事手続の終了後の在留資格の更新・変更については、提携する行政書士とともに対応いたします。

これまでの解決実績の一部をご紹介いたします。

  • 特殊詐欺の受け子として複数回再逮捕された事案において、取調べへの対応と主張立証を尽くし、全件について不起訴処分を獲得した事例。
  • 特殊詐欺の出し子とされた20代の依頼者について、指示役からの欺罔的・威圧的状況と犯意の不存在を主張し、不起訴処分を獲得した事例。
  • 在留資格を失って不法残留で逮捕・起訴された依頼者について、婚姻と認知の手続を実現させたうえで、公的書類がほとんど存在しない状況下でも有利な証拠を収集し、一度の申請で在留特別許可を獲得した事例。

本記事は一般的な解説であり、個別の事案については弁護士に直接ご相談ください。また、過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

本記事は2026年8月時点の情報です。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)

中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。

舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
微信ID:matsumura1119

この記事の中国語版はこちら(本文的中文版请点击这里)

----------------------------------------------------------------------
舟渡国際法律事務所
住所 : 東京都豊島区高田3丁目4-10布施ビル本館3階
電話番号 :050-7587-4639


東京にて中国人の方をサポート

東京を中心に刑事事件の弁護

----------------------------------------------------------------------

当店でご利用いただける電子決済のご案内

下記よりお選びいただけます。