舟渡国際法律事務所

共謀共同正犯とされないために|共同正犯と幇助の分かれ目、離脱の主張

お問い合わせはこちら

共謀共同正犯とされないために|共同正犯と幇助の分かれ目、離脱の主張

共謀共同正犯とされないために|共同正犯と幇助の分かれ目、離脱の主張

2026/08/13

この記事の中国語版はこちら(本文的中文版请点击这里)

特殊詐欺や闇バイトの事件では、実行行為の一部しか担当していない方が、組織全体の犯行について共同正犯として責任を問われることがあります。共謀共同正犯は、意思の連絡と重要な役割の分担があれば、実行を担当しない者にも正犯としての責任を認める考え方です。もっとも、あらゆる関与が正犯となるわけではなく、従属的な関与にとどまれば幇助犯(刑法62条)として刑が減軽されます。また、共謀から離脱していれば、それ以降の犯行について責任を負いません。ここでは、正犯性の判断要素と、離脱を基礎づける事実の整え方を説明します。

本記事の要点

  • 共謀共同正犯の成立には、意思の連絡と、犯行実現に対する重要な役割の分担が必要です。
  • 従属的で代替可能な関与にとどまる場合は、幇助犯として刑が必要的に減軽されます。
  • 共謀からの離脱が認められるには、離脱の意思表示と、自らが与えた影響の除去が求められます。
  • 共同正犯か幇助かは量刑を大きく左右し、拘禁刑の長さを通じて在留にも影響します。

共同正犯と幇助はどこで分かれますか

判断の中心は、自らの意思で犯行に加わり、犯行の実現にとって重要な役割を果たしたかどうかです。考慮されるのは、犯行の計画への関与の有無、利益の分配、他の関与者との対等性、代替の容易さ、そして自らの行為が犯行全体に与えた寄与の大きさです。たとえば、報酬の分配に与らず、上位者の指示に従って一度だけ移動しただけの関与であれば、従属性が強く幇助にとどまるとの主張が成り立ちます。他方、複数回にわたり反復し、他の関与者を差配していれば正犯性が肯定されます。この区別は、幇助犯の刑が必要的に減軽される(刑法63条)ため、宣告される拘禁刑の長さに直結します。

共謀から抜けたと言えるのはどのような場合ですか

結論として、単に連絡を絶っただけでは離脱と認められません。実行の着手前であれば、他の共犯者に離脱の意思を明確に伝え、それまでに自らが与えた影響を取り除くことが必要とされます。たとえば、自分が用意した口座や携帯端末を回収する、紹介した人物に中止を伝えるといった行為が求められます。実行の着手後は、さらに厳格に、犯行の遂行を阻止する行動が必要と解されています。したがって、離脱を主張する場合には、いつ、誰に対し、どのような方法で意思を伝え、どのような措置を取ったかを、通信履歴などの客観資料で示す必要があります。恐怖から連絡を断ったにすぎない場合には、その経緯も併せて説明します。

共犯者の供述にどう対応しますか

共犯者は、自らの責任を軽減するために、他者の役割を大きく述べる動機を持ちます。したがって、供述の信用性は慎重に検討されるべきものです。実務では、供述の変遷、客観証拠との整合、供述に至る取調べの経過が検討されます。防御としては、通信履歴、送金記録、位置情報といった客観証拠を突き合わせ、供述が描く役割分担が物理的に成り立つかを検証します。中国語のグループチャットが証拠となる場合、翻訳の正確性が争点となることがあります。訳文が文脈を離れて断定的に訳されている例もありますので、原文の確認と、必要に応じた訳文の対案の提出が有効です。証拠の精査は、正犯性の評価を左右します。

在留への影響を踏まえた目標設定は何ですか

詐欺や窃盗については、別表第一の在留資格をお持ちの方は、拘禁刑に処せられれば執行猶予でも入管法24条4号の2により退去強制事由に該当します。したがって、幇助への引き下げによって刑が軽くなったとしても、在留の危機は解消しません。この構造がある以上、目標はあくまで起訴前の不起訴処分に置くべきです。他方、永住者や日本人の配偶者等の別表第二の在留資格では同号の適用がなく、1年を超える実刑か否かが分かれ目となる(入管法24条4号リ)ため、正犯性を争って刑期を短縮する意味が大きくなります。在留資格の種類によって弁護方針の重点が変わる点を、初期の段階で確認しておく必要があります。

よくあるご質問

一度だけの関与でも共同正犯になりますか。

回数だけで決まるものではありませんが、一度限りで従属的な関与であれば幇助にとどまるとの主張が成り立ちます。報酬の分配、計画への関与、代替可能性を具体的に示し、役割の限定性を裏付ける資料を整えることが重要です。他の関与者と面識がなく、拠点にも出入りしていない事情は、有力な主張になります。

怖くなって連絡を絶ちました。離脱になりますか。

連絡を絶っただけでは離脱と認められにくいのが実情です。もっとも、脅されて離脱できなかった事情は量刑上考慮されます。連絡を絶った時期と、それ以降に関与していないことを示す資料を保全してください。脅迫の内容が残るやり取りは、被害者としての側面を示す資料として保全してください。

幇助になれば在留は守れますか。

幇助でも拘禁刑に処せられれば、別表第一の在留資格では入管法24条4号の2の問題が残ります。刑の軽減は重要ですが、在留の維持には不起訴処分が必要です。刑事と入管の目標を分けて考える必要があります。まず在留カードで資格の種類を確認し、更新期限とあわせて方針を決めてください。

当事務所のご案内

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区・高田馬場駅から徒歩約5分)は、松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)が、中国籍の方を中心とする外国人の刑事弁護と入管手続を主たる注力分野として取り扱っております。刑事事件と在留の問題を別々の専門家に分けて依頼するのではなく、同一の弁護士が最初の接見から入管手続まで一貫して担当いたします。

当事務所には外国人事件専属の中国語通訳が在籍しており、接見、取調べへの立会い、ご家族との打合せに対応いたします。中国国内にいらっしゃるご家族からのご連絡も、微信(WeChat)で直接お受けしております。刑事手続の終了後の在留資格の更新・変更については、提携する行政書士とともに対応いたします。

これまでの解決実績の一部をご紹介いたします。

  • 特殊詐欺の受け子として複数回再逮捕された事案において、取調べへの対応と主張立証を尽くし、全件について不起訴処分を獲得した事例。
  • 特殊詐欺の出し子とされた20代の依頼者について、指示役からの欺罔的・威圧的状況と犯意の不存在を主張し、不起訴処分を獲得した事例。
  • 在留資格を失って不法残留で逮捕・起訴された依頼者について、婚姻と認知の手続を実現させたうえで、公的書類がほとんど存在しない状況下でも有利な証拠を収集し、一度の申請で在留特別許可を獲得した事例。

本記事は一般的な解説であり、個別の事案については弁護士に直接ご相談ください。また、過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

本記事は2026年8月時点の情報です。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)

中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。

舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
微信ID:matsumura1119

この記事の中国語版はこちら(本文的中文版请点击这里)

----------------------------------------------------------------------
舟渡国際法律事務所
住所 : 東京都豊島区高田3丁目4-10布施ビル本館3階
電話番号 :050-7587-4639


東京にて中国人の方をサポート

東京を中心に刑事事件の弁護

----------------------------------------------------------------------

当店でご利用いただける電子決済のご案内

下記よりお選びいただけます。