舟渡国際法律事務所

「荷物を受け取るだけ」と頼まれた場合の罪名|中身次第で在留への影響が変わります

お問い合わせはこちら

「荷物を受け取るだけ」と頼まれた場合の罪名|中身次第で在留への影響が変わります

「荷物を受け取るだけ」と頼まれた場合の罪名|中身次第で在留への影響が変わります

2026/08/13

この記事の中国語版はこちら(本文的中文版请点击这里)

知人やSNSで知り合った相手から、荷物を受け取って別の人に渡すだけの仕事と説明され、指定された場所へ向かったところで職務質問を受けた、というご相談は少なくありません。この類型で重要なのは、荷物の中身によって適用される罪名が変わり、在留への影響も大きく異なる点です。中身が現金やカードであれば詐欺や窃盗、覚醒剤や大麻であれば薬物法規と関税法、盗品であれば盗品等関与罪が問題となります。ここでは、罪名ごとの違い、認識の争い方、そして退去強制事由の当てはめを整理します。

本記事の要点

  • 同じ「荷物の受取」でも、中身が現金・カードか、薬物か、盗品かで適用条文と量刑が大きく異なります。
  • 薬物であった場合は入管法24条4号チに該当し、執行猶予付き判決でも退去強制事由となります。
  • 現金やカードの受取は詐欺・窃盗となり、別表第一の在留資格者は24条4号の2の対象になります。
  • 受取場所の指定方法、報酬の支払形態、依頼者の匿名性は、いずれも認識の有無を推認する事情として扱われます。

中身によって何が変わるのですか

適用条文と刑の重さ、そして在留への影響が変わります。中身が被害者から交付された現金やキャッシュカードであれば詐欺罪(刑法246条)または窃盗罪(同235条)となり、覚醒剤や大麻であれば覚醒剤取締法・大麻取締法の所持や譲受け、国外から届いた荷物であれば関税法違反も加わります。盗まれた物品の受取であれば盗品等関与罪(刑法256条)が成立し得ます。薬物事犯は在留への影響が最も重く、執行猶予でも入管法24条4号チに該当し、退去強制された場合の上陸拒否には期間の定めがありません。まず、押収された物が何であり、どの法令で立件されているかを確認することが、方針決定の前提となります。

本当に中身を知らなかった場合はどうなりますか

結論として、中身の認識がなければ、その物に対応する罪の故意を欠くと主張できます。もっとも、実務では、依頼の不自然さから未必の故意が推認されるため、単に知らなかったと述べるだけでは足りません。検討されるのは、報酬が作業内容に比して高額でないか、依頼者の氏名や連絡先を知らされていたか、受渡し場所が路上や駅前など不自然に指定されていなかったか、通話履歴が消える設定のアプリを使っていなかったか、といった点です。これらの事情に合理的な説明ができる場合は、認識の欠如を裏付ける材料となります。依頼時のやり取り、報酬の相場感、受渡しに至る移動の経路を、時系列で具体的に整理する作業が不可欠です。

職務質問の場面で気を付けることは何ですか

所持品検査は任意処分が原則であり、その場での承諾の有無が後に争点となる場合があります。もっとも、実際の場面で拒否を貫くことは容易ではなく、押し問答の末に自らバッグを開けたという経過をたどることが多くあります。重要なのは、その場で中身について推測を交えた説明をしないことです。「たぶん書類だと思う」といった発言が、後に認識の程度を示す供述として扱われる例があります。また、通訳が呼ばれないまま日本語で説明を求められた場合、正確な意思疎通が確保されていないことを後日主張できるよう、状況を記憶しておくべきです。逮捕に至った場合は、速やかに弁護人を選任し、押収物と鑑定の内容を確認します。

在留を守るために何を優先すべきですか

中身が薬物であった事案では、執行猶予を得ても入管法24条4号チにより退去強制事由に該当するため、起訴前の不起訴処分の獲得が最優先となります。中身が現金やカードであった場合も、別表第一の在留資格をお持ちの方は24条4号の2の対象となり、結論は同じです。したがって、弁護活動は、認識の欠如を裏付ける客観資料の収集と、被害弁償や身元引受体制の整備を、勾留期間内に並行して進めることになります。なお、退去強制事由の判断にあたり故意や過失をどの程度要するかについては入管実務上争いがあり、当事務所は責任主義の射程を問う訴訟を係属させています。結果を予断することはできませんが、事実関係を精密に記録に残しておく意義は大きいといえます。

よくあるご質問

中身を確認しなかったこと自体が責められますか。

確認しなかった経緯が問われます。通常なら中身を尋ねる場面で尋ねなかった場合、あえて確認を避けたと評価されることがあります。他方、封をされた荷物で確認する立場になかった事情があれば、認識を否定する方向で主張できます。依頼者に中身を尋ねた際の返答が記録に残っていれば、有力な資料となります。

荷物を渡す前に逮捕されました。未遂ですか。

罪名によって異なります。薬物の所持は受け取った時点で既遂となり、詐欺は被害者から交付があれば既遂です。渡す相手に届いていないことは既遂・未遂の判断とは別に、関与の程度を示す情状として考慮されます。押収物の内容と数量は鑑定書で確認し、前提となる事実を早期に固める必要があります。

依頼者と連絡が取れません。証明のしようがありますか。

連絡が取れない事情自体が、依頼の不自然さを示す一方で、匿名の依頼者に指示されていた実態を示す資料にもなります。アプリの履歴、送金記録、移動履歴を保全し、弁護人に提出して客観的な裏付けを組み立ててください。アカウント名や表示名の変更履歴も、匿名性を示す事情として意味を持ちます。

当事務所のご案内

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区・高田馬場駅から徒歩約5分)は、松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)が、中国籍の方を中心とする外国人の刑事弁護と入管手続を主たる注力分野として取り扱っております。刑事事件と在留の問題を別々の専門家に分けて依頼するのではなく、同一の弁護士が最初の接見から入管手続まで一貫して担当いたします。

当事務所には外国人事件専属の中国語通訳が在籍しており、接見、取調べへの立会い、ご家族との打合せに対応いたします。中国国内にいらっしゃるご家族からのご連絡も、微信(WeChat)で直接お受けしております。刑事手続の終了後の在留資格の更新・変更については、提携する行政書士とともに対応いたします。

これまでの解決実績の一部をご紹介いたします。

  • 特殊詐欺の受け子として複数回再逮捕された事案において、取調べへの対応と主張立証を尽くし、全件について不起訴処分を獲得した事例。
  • 在留資格を失って不法残留で逮捕・起訴された依頼者について、婚姻と認知の手続を実現させたうえで、公的書類がほとんど存在しない状況下でも有利な証拠を収集し、一度の申請で在留特別許可を獲得した事例。
  • 覚醒剤取締法違反(営利目的所持)で起訴された依頼者について、証拠の分析と被告人質問・反対尋問を尽くし、無罪判決を獲得した事例。

本記事は一般的な解説であり、個別の事案については弁護士に直接ご相談ください。また、過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

本記事は2026年8月時点の情報です。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)

中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。

舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
微信ID:matsumura1119

この記事の中国語版はこちら(本文的中文版请点击这里)

----------------------------------------------------------------------
舟渡国際法律事務所
住所 : 東京都豊島区高田3丁目4-10布施ビル本館3階
電話番号 :050-7587-4639


東京にて中国人の方をサポート

東京を中心に刑事事件の弁護

----------------------------------------------------------------------

当店でご利用いただける電子決済のご案内

下記よりお選びいただけます。