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出し子(ATM引出役)で逮捕されたら|窃盗罪の適用と在留資格喪失のリスク

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出し子(ATM引出役)で逮捕されたら|窃盗罪の適用と在留資格喪失のリスク

出し子(ATM引出役)で逮捕されたら|窃盗罪の適用と在留資格喪失のリスク

2026/08/13

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他人名義のキャッシュカードを使ってATMから現金を引き出す、いわゆる出し子の事案では、多くの場合、詐欺ではなく窃盗罪(刑法235条)が適用されます。金融機関の管理する現金を、管理者の意思に反して自らの支配下に移す行為と評価されるためです。法定刑は10年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金です。窃盗は刑法第36章の罪ですから、別表第一の在留資格をお持ちの方が拘禁刑に処せられれば、執行猶予付きであっても入管法24条4号の2の退去強制事由に該当します。ここでは、罪名の構成、防犯カメラ証拠への対応、在留対策を整理します。

本記事の要点

  • ATMからの引出しは、通常、被害者に対する詐欺ではなく金融機関に対する窃盗罪として構成されます。
  • 引出し回数と金額が犯情の中心となり、複数回にわたる場合は併合罪として重く扱われます。
  • 窃盗は刑法第36章の罪であり、別表第一の在留資格者は執行猶予でも入管法24条4号の2の対象となります。
  • 防犯カメラ映像と携帯端末の位置情報が主要証拠となるため、否認の可否は初期の証拠構造の把握で決まります。

なぜ詐欺ではなく窃盗になるのですか

ATMからの引出しは、機械を相手にした行為であり、人を欺いて財物を交付させる詐欺の構造をとりません。そのため、金融機関が管理する現金を管理者の意思に反して取得したものとして、窃盗罪が成立します。もっとも、窓口で行員を欺いて払い戻しを受けた場合や、インターネットバンキングで不正送金した場合には、詐欺罪や電子計算機使用詐欺罪(刑法246条の2)が適用され、罪名が変わります。加えて、他人名義のカードを預かって所持していた点について、犯罪収益等収受や、事案によっては口座の不正利用に関する法令違反が問題となることもあります。どの構成をとるかで併合罪の範囲と量刑が変わるため、罪名の確認は初動の重要事項です。

防犯カメラに写っていたら争えませんか

映像があることは、その人物が引き出したという事実を強く裏付けますが、争点はそこだけではありません。実務上の中心は、詐欺グループの一員としての認識、すなわち、そのカードが犯罪により取得されたものであると認識していたかという点です。したがって、映像による行為者の特定が動かない事案でも、依頼された経緯、報酬の受領方法、指示の内容、引出しの回数と間隔といった事情を精査し、認識の程度を争う余地があります。他方、映像と併せて携帯端末の位置情報、SNSの指示履歴、交通系ICカードの利用履歴が総合されるため、事実に反する弁解は容易に破綻します。初期の段階で証拠構造を把握し、争う点と認める点を切り分ける作業が不可欠です。

被害弁償は誰に対して行うのですか

結論として、事案によって相手方が異なります。カードの名義人が被害を回復されている場合には金融機関が実質的な被害者となり、名義人が損失を負っている場合には名義人が被害者となります。したがって、弁償先の確定は、捜査機関を通じた確認を要します。特殊詐欺では複数の被害者が関係するため、自らが引き出した金額のうち、どの被害に対応するかを整理して弁償額を提示することが必要です。弁償は不起訴処分や量刑判断で重視される事情ですが、資金の出所についても説明を求められます。家族からの援助による場合には、送金経路を明確にし、犯罪収益の還流ではないことを示す資料を準備しておくべきです。

在留資格を守るためにどう動くべきですか

窃盗は入管法24条4号の2の対象となるため、別表第一の在留資格をお持ちの方にとっては、執行猶予判決では在留が守れません。したがって、起訴前の不起訴処分の獲得に全力を注ぐことになります。具体的には、早期の被害弁償、関与の限定性を示す客観資料の収集、身元引受体制の構築を、勾留期間内に完了させる必要があります。留学生の場合、勾留により授業に出席できず除籍となれば、在留資格の基礎を失い、在留資格取消(入管法22条の4)の対象にもなり得ます。学校との連絡、休学手続の検討も弁護活動の一部です。仮に退去強制手続に進んだ場合には、入管法50条の在留特別許可の可能性を検討し、監理措置(同44条の2以下)の申立ても視野に入れます。

よくあるご質問

引き出した金額が少額なら起訴されませんか。

金額は重要な要素ですが、特殊詐欺の一環と評価される場合は、少額でも組織性を理由に起訴されることがあります。回数、指示への従属の度合い、被害弁償の状況が判断を左右します。金額のみを理由に楽観することは避けるべきです。引出しに用いた口座の数と、犯行の間隔も、組織性を示す事情として検討されます。

カードを渡されただけで、犯罪と知りませんでした。

他人名義のカードを預かること自体が不自然であるため、報酬額、依頼者との関係、指示の秘匿性から未必の故意が推認されます。依頼時の説明内容とやり取りの記録を保全し、認識の程度を具体的に説明する準備が必要です。暗証番号を伝えられていた事実は、通常の預かりとは異なる事情として重視されます。

勾留が長引くと学校を除籍されそうです。

除籍は在留資格の基礎を失わせ、在留資格取消の検討対象となり得ます。弁護人を通じて学校へ状況を説明し、休学等の手続を検討するとともに、準抗告や保釈により早期の身柄解放を目指す必要があります。在留期間の満了が近い場合は、入管への対応方針も同時に検討する必要があります。

当事務所のご案内

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区・高田馬場駅から徒歩約5分)は、松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)が、中国籍の方を中心とする外国人の刑事弁護と入管手続を主たる注力分野として取り扱っております。刑事事件と在留の問題を別々の専門家に分けて依頼するのではなく、同一の弁護士が最初の接見から入管手続まで一貫して担当いたします。

当事務所には外国人事件専属の中国語通訳が在籍しており、接見、取調べへの立会い、ご家族との打合せに対応いたします。中国国内にいらっしゃるご家族からのご連絡も、微信(WeChat)で直接お受けしております。刑事手続の終了後の在留資格の更新・変更については、提携する行政書士とともに対応いたします。

これまでの解決実績の一部をご紹介いたします。

  • 特殊詐欺の受け子として複数回再逮捕された事案において、取調べへの対応と主張立証を尽くし、全件について不起訴処分を獲得した事例。
  • 特殊詐欺の出し子とされた20代の依頼者について、指示役からの欺罔的・威圧的状況と犯意の不存在を主張し、不起訴処分を獲得した事例。
  • 在留資格を失って不法残留で逮捕・起訴された依頼者について、婚姻と認知の手続を実現させたうえで、公的書類がほとんど存在しない状況下でも有利な証拠を収集し、一度の申請で在留特別許可を獲得した事例。

本記事は一般的な解説であり、個別の事案については弁護士に直接ご相談ください。また、過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

本記事は2026年8月時点の情報です。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)

中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。

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ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
微信ID:matsumura1119

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