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特殊詐欺の受け子で逮捕されたら|詐欺罪の成立と入管法24条4号の2の危険

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特殊詐欺の受け子で逮捕されたら|詐欺罪の成立と入管法24条4号の2の危険

特殊詐欺の受け子で逮捕されたら|詐欺罪の成立と入管法24条4号の2の危険

2026/08/13

この記事の中国語版はこちら(本文的中文版请点击这里)

被害者宅を訪ねて現金やカードを受け取る、いわゆる受け子として逮捕される事案が続いています。受け取り行為は詐欺罪(刑法246条)の実行行為の一部と評価され、法定刑は10年以下の拘禁刑で、罰金刑の定めがありません。中国籍の方の場合、刑事処分に加えて在留への影響が決定的です。詐欺は刑法第37章の罪であり、別表第一の在留資格をお持ちの方が拘禁刑に処せられれば、執行猶予付き判決であっても入管法24条4号の2の退去強制事由に当たります。ここでは、起訴前の弁護活動と在留の見通しを整理します。

本記事の要点

  • 受け子の受領行為は詐欺の実行行為の一部と評価され、たとえ1回の受領でも詐欺罪が成立し得ます。
  • 詐欺罪には罰金刑がなく、起訴されれば拘禁刑の判断になるため、起訴前の不起訴獲得が最優先の目標です。
  • 別表第一の在留資格者は、執行猶予付き判決でも入管法24条4号の2により退去強制事由に該当します。
  • 永住者・定住者・日本人の配偶者等の別表第二の在留資格には24条4号の2の適用がなく、判断枠組みが異なります。

受け取っただけでも詐欺罪になりますか

結論として、受領行為は詐欺の実行行為の一部と評価されるため、金銭を受け取っただけでも詐欺罪が成立し得ます。特殊詐欺は、電話で欺く役、現金を受け取る役、口座から引き出す役が分業しますが、刑法上は全体が一個の詐欺として捉えられ、分担者は共同正犯として扱われるのが通例です。被害金が実際に交付されなければ未遂となりますが、未遂も処罰されます。また、キャッシュカードをすり替えて持ち去る手口では、詐欺ではなく窃盗罪(刑法235条)が適用されることがあり、いずれも刑法第36章・第37章の罪として、後述の在留への影響は同じ構造になります。まず捜査機関がどの罪名で構成しているかを確認することが出発点です。

なぜ執行猶予でも在留が危ういのですか

入管法24条4号の2は、別表第一の在留資格をもって在留する者が、住居侵入、偽造、傷害、窃盗、詐欺等の刑法各章の罪により拘禁刑に処せられた場合を退去強制事由としています。この規定は、実刑か執行猶予かを区別していません。したがって、技術・人文知識・国際業務、留学、家族滞在、経営・管理といった別表第一の在留資格をお持ちの方は、執行猶予付きの判決を得ても、その後の退去強制手続を避けられない可能性があります。この点が、刑事弁護の目標設定を根本的に変えます。すなわち、執行猶予を目指すのではなく、起訴前に不起訴処分を得ることこそが、在留を守る唯一に近い道筋となります。他方、永住者や日本人の配偶者等の別表第二の在留資格には同号の適用がありません。

起訴前にすべきことは何ですか

第一に、被害者との示談を可能な限り早期に進めることです。特殊詐欺では被害者が複数にわたることが多く、担当検察官に対して弁済の意思と資金の裏付けを具体的に示す必要があります。第二に、関与の程度を正確に説明することです。募集された経緯、受領した報酬、指示の受け方、認識していた事情を時系列で整理し、組織の中核ではないことを客観資料で裏付けます。第三に、身柄の解放です。共犯者が多数の事件では罪証隠滅のおそれを理由に勾留が長期化しやすく、在籍する学校や勤務先との関係が切れることが在留活動そのものを失わせます。勾留理由開示や準抗告の活用を含め、初期から身柄の方針を立てる必要があります。

取調べでは何に注意すべきですか

自分の認識について曖昧なまま供述しないことが最も重要です。受け子とされる方の多くは、当初「荷物の受け取り」と説明され、途中で違和感を持ちながら継続したという経過をたどります。この「途中で気づいたかどうか」が未必の故意の認定を左右するため、記憶に忠実な説明を、弁護人と方針を確認したうえで行う必要があります。また、中国語通訳を介する取調べでは、「わかっていた」と「そうかもしれないと思った」の差が調書に反映されないことがあります。読み聞かせの際に違和感があれば、署名を留保する権利があります。なお、退去強制事由の判断において故意や過失をどこまで要するかは入管実務上争いがあり、当事務所は責任主義の射程を問う訴訟を係属させています。

よくあるご質問

報酬を受け取る前に逮捕されました。未遂ですか。

報酬の受領は詐欺罪の成否と直接には関係しません。被害者から現金が交付されていれば既遂となり、交付前に発覚していれば未遂です。報酬の有無や金額は、関与の程度を示す情状として、起訴・不起訴や量刑の判断で考慮されます。受け取る予定であった金額と支払方法も、組織内での位置付けを示す事情となります。

示談ができれば在留は維持できますか。

示談により不起訴処分を得られれば、有罪判決を前提とする退去強制事由には当たりません。逆に、起訴されて執行猶予となった場合、別表第一の在留資格では入管法24条4号の2の問題が残ります。示談は在留を守る手段として最重要です。被害者が複数の場合は、弁済の順序と資金の原資について説明を準備してください。

永住者ですが同じように退去強制されますか。

永住者は別表第二の在留資格であり、入管法24条4号の2の適用はありません。ただし、1年を超える実刑となれば同条4号リが問題となります。判断枠組みが異なりますので、在留資格の種類を前提に方針を立てる必要があります。永住者であっても、退去強制に至れば永住許可の効力を失う点に留意が必要です。

当事務所のご案内

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区・高田馬場駅から徒歩約5分)は、松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)が、中国籍の方を中心とする外国人の刑事弁護と入管手続を主たる注力分野として取り扱っております。刑事事件と在留の問題を別々の専門家に分けて依頼するのではなく、同一の弁護士が最初の接見から入管手続まで一貫して担当いたします。

当事務所には外国人事件専属の中国語通訳が在籍しており、接見、取調べへの立会い、ご家族との打合せに対応いたします。中国国内にいらっしゃるご家族からのご連絡も、微信(WeChat)で直接お受けしております。刑事手続の終了後の在留資格の更新・変更については、提携する行政書士とともに対応いたします。

これまでの解決実績の一部をご紹介いたします。

  • 特殊詐欺の受け子として複数回再逮捕された事案において、取調べへの対応と主張立証を尽くし、全件について不起訴処分を獲得した事例。
  • 特殊詐欺の出し子とされた20代の依頼者について、指示役からの欺罔的・威圧的状況と犯意の不存在を主張し、不起訴処分を獲得した事例。
  • 在留資格を失って不法残留で逮捕・起訴された依頼者について、婚姻と認知の手続を実現させたうえで、公的書類がほとんど存在しない状況下でも有利な証拠を収集し、一度の申請で在留特別許可を獲得した事例。

本記事は一般的な解説であり、個別の事案については弁護士に直接ご相談ください。また、過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

本記事は2026年8月時点の情報です。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)

中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。

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ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
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