著作権法違反で捜査を受けたら|非親告罪化された範囲と在留資格への波及
2026/08/13
動画やマンガ、ソフトウェアの無断アップロード、海賊版サイトの運営や誘導は、著作権法119条の侵害罪として10年以下の拘禁刑もしくは1000万円以下の罰金、またはこれらの併科の対象となります。中国語圏向けの配信サイトや翻訳投稿をめぐる摘発も現に行われており、日本国内に居住する方が運営や翻訳の一部を担っていた場合には、日本の捜査機関が捜査を行います。従来は親告罪が原則でしたが、一定の範囲で非親告罪化されており、権利者の告訴がなくても立件され得ます。ここでは、成立範囲、権利者対応、在留への影響を整理します。
本記事の要点
- 著作権侵害罪の法定刑は10年以下の拘禁刑または1000万円以下の罰金で、併科もあり得ます。
- 原作のまま複製・公衆送信し対価を得るなど一定の類型は非親告罪であり、告訴がなくても捜査が進みます。
- リーチサイトによる誘導行為も独立の処罰対象とされており、自らアップロードしていなくても責任を問われ得ます。
- 特別法犯であるため入管法24条4号の2には当たりませんが、収益を得ていた場合は資格外活動(入管法19条)が並行して問題になります。
どこまでが刑事責任の対象ですか
無断で複製する行為に加え、インターネット上で送信可能な状態に置く公衆送信(アップロード)が主要な処罰対象です。加えて、侵害コンテンツへ誘導するいわゆるリーチサイト・リーチアプリの運営や、当該サイトへのリンク提供も独立の類型として処罰され得ます。したがって、自らファイルを保有していなくても、収集したリンクを整理して掲示していた行為が立件の対象となり得ます。翻訳して字幕を付す行為は翻案に当たり、原著作物の権利者の許諾がなければ侵害となります。摘発の端緒は、権利者団体による通報、広告収益の資金の流れ、サーバー事業者への照会など多岐にわたり、匿名で運営していても特定される例が現に存在します。
権利者の告訴がなければ立件されませんか
結論として、そうとは限りません。著作権侵害罪は原則として親告罪ですが、有償で公衆に提供されている著作物を、原作のまま複製・公衆送信し、権利者の得べかりし利益を不当に害する類型については非親告罪とされています。したがって、海賊版の配信で広告収入や会員料金を得ていた事案では、告訴がなくても捜査が進行します。もっとも、権利者との示談が意味を失うわけではありません。損害額の算定、収益の返還、サイトの閉鎖と再発防止措置を具体化することは、起訴猶予の判断において重視されます。民事の損害賠償請求が並行することも多いため、刑事と民事を切り離さずに交渉方針を立てる必要があります。
運営を手伝っただけの人はどうなりますか
役割が限定的であっても、共同正犯または幇助として責任を問われる可能性があります。実務では、報酬の受領の有無と金額、作業の継続期間、運営全体の中での位置付け、収益構造の認識といった要素で軽重が判断されます。翻訳や画像加工のみを担当し、収益の分配を受けていなかった場合には、幇助にとどまるとの主張や、そもそも侵害の認識が不十分であったとの主張が成り立つ余地があります。他方、運営者との連絡に用いたSNSのやり取りは網羅的に解析されますので、削除や退会といった対応は、罪証隠滅と評価され身柄拘束が長期化する要因になります。押収前の自主的な資料整理は、必ず弁護人と相談してから行うべきです。
在留資格にはどう影響しますか
著作権法違反は特別法犯であるため、入管法24条4号の2の対象とはなりません。したがって、別表第一の在留資格をお持ちの方が執行猶予付き判決を受けた場合でも、直ちに同号による退去強制の対象となるわけではありません。ただし、1年を超える実刑となれば同条4号リの問題が生じます。より現実的なリスクは、在留期間更新の不許可と資格外活動です。留学や家族滞在の在留資格で、サイト運営により継続的な収益を得ていた場合には、入管法19条違反として在留資格取消(同22条の4)の検討対象になり得ます。刑事処分の軽重にかかわらず、収益の規模と就労実態の説明を早期に整理しておく必要があります。
よくあるご質問
中国語字幕を付けて投稿しただけでも罪になりますか。
翻訳は翻案に当たり、無断で字幕を付して公開すれば著作権侵害となり得ます。営利性がなくても違法性は否定されませんが、収益の有無や公開範囲は起訴・不起訴の判断で考慮されます。投稿履歴と収益の有無を整理して説明することが重要です。削除依頼への対応状況や、投稿を継続していた期間も判断の要素として扱われます。
サイトを閉鎖すれば処罰を免れますか。
閉鎖は有利な事情として考慮されますが、それだけで処罰を免れるものではありません。むしろ捜査開始後の一方的な証拠の削除は不利に評価される場合があります。閉鎖の方法と時期は弁護人と協議して決めてください。閉鎖の記録とアクセス数の資料は、被害規模を示すものとして保全しておいてください。
海外のサーバーを使っていれば日本の法律は適用されませんか。
行為の一部が日本国内で行われていれば、日本の刑罰法規が適用され得ます。国内から管理・投稿していた場合は当然に捜査対象となります。サーバーの所在地のみを理由に責任を免れると考えるのは危険です。広告収益の受領口座や運営者との連絡経路も、国内での関与を示す事情となります。
当事務所のご案内
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区・高田馬場駅から徒歩約5分)は、松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)が、中国籍の方を中心とする外国人の刑事弁護と入管手続を主たる注力分野として取り扱っております。刑事事件と在留の問題を別々の専門家に分けて依頼するのではなく、同一の弁護士が最初の接見から入管手続まで一貫して担当いたします。
当事務所には外国人事件専属の中国語通訳が在籍しており、接見、取調べへの立会い、ご家族との打合せに対応いたします。中国国内にいらっしゃるご家族からのご連絡も、微信(WeChat)で直接お受けしております。刑事手続の終了後の在留資格の更新・変更については、提携する行政書士とともに対応いたします。
これまでの解決実績の一部をご紹介いたします。
- 特殊詐欺の受け子として複数回再逮捕された事案において、取調べへの対応と主張立証を尽くし、全件について不起訴処分を獲得した事例。
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- 覚醒剤取締法違反(営利目的所持)で起訴された依頼者について、証拠の分析と被告人質問・反対尋問を尽くし、無罪判決を獲得した事例。
本記事は一般的な解説であり、個別の事案については弁護士に直接ご相談ください。また、過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。
本記事は2026年8月時点の情報です。
執筆者
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。
舟渡国際法律事務所
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