舟渡国際法律事務所

脅迫罪で立件されたら|害悪の告知の意味と恐喝罪との違い、在留資格への影響

お問い合わせはこちら

脅迫罪で立件されたら|害悪の告知の意味と恐喝罪との違い、在留資格への影響

脅迫罪で立件されたら|害悪の告知の意味と恐喝罪との違い、在留資格への影響

2026/08/13

この記事の中国語版はこちら(本文的中文版请点击这里)

口論の中で発した一言や、返済を求める過程で送ったメッセージが、脅迫罪(刑法222条)として立件されることがあります。相手が現実に畏怖したかどうかを問わず、害を加える旨を告知した時点で成立し得るのが本罪の特徴です。同じやり取りでも、金銭の交付を求めれば恐喝罪となり、在留資格への影響は大きく変わります。本稿では、害悪の告知の範囲、恐喝罪や強要罪との区別、そして退去強制事由との関係を、条文に即して整理します。

本記事の要点

  • 脅迫罪の法定刑は2年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金で、親告罪ではありません。
  • 告知の対象は、本人または親族の生命、身体、自由、名誉または財産に対する害悪に限られます。
  • 脅迫罪は刑法第32章の罪であり入管法24条4号の2の列挙罪ではありませんが、恐喝罪は第37章の罪として同号に含まれます。
  • 同じやり取りでも、金銭の交付を求めたかどうかで罪名と在留への影響が大きく変わります。

どのような言動が脅迫にあたりますか

成立の中心は害悪の告知です。刑法222条1項は、生命、身体、自由、名誉または財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者を、2年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金に処すると定め、同条2項は親族のこれらに対する害悪の告知も同様としています。告知の方法は口頭に限られず、メッセージ、通話、書面、身振りでも足ります。害悪の内容は、一般人を畏怖させるに足りる程度である必要がありますが、相手が現実に恐怖したかどうかは要件ではありません。他方、単なる不満の表明や、実現の可能性がおよそない誇張は、害悪の告知に当たらないと判断される余地があります。列挙されている五つの法益以外、たとえば取引の打切りを告げる行為は、それ自体としては本罪の対象外です。

恐喝罪や強要罪とはどう区別されますか

区別の基準は、脅迫に何を結び付けたかです。脅迫にとどまるのが刑法222条、脅迫や暴行によって義務のないことを行わせ、または権利の行使を妨害したのが強要罪(同法223条、3年以下の拘禁刑)、財物の交付や財産上の利益を得たのが恐喝罪(同法249条、10年以下の拘禁刑)です。この区別は、在留の観点からきわめて重要です。恐喝罪は刑法第37章の詐欺及び恐喝の罪に属し、入管法24条4号の2の列挙罪に含まれますので、別表第一の在留資格の方が拘禁刑に処せられれば、執行猶予付きであっても退去強制事由に当たります。これに対し、第32章の脅迫罪や強要罪は同号に含まれません。返済を求める過程での強い言葉が、単なる脅迫にとどまるのか、金銭要求と結び付いた恐喝と評価されるのかは、決定的な分岐点となります。

外国人の事件でとくに問題となる場面

実務でよく問題となるのは、在留資格に関わる事柄を持ち出した場合です。たとえば、金銭トラブルの相手に対し、入管に通報すると告げる行為が問題となります。不法就労等の事実を関係機関に申告すること自体は、必ずしも違法な行為ではありません。しかし、これを相手の意思を制圧する手段として用い、義務のない金銭の支払や書面の作成をさせれば、強要罪や恐喝罪が成立し得ます。また、雇用主が労働条件の是正を求める労働者に対し、在留資格の更新に協力しないと告げる場面も同様です。逆に、こうした告知を受けた側は被害者となり得ますので、記録を保全して相談すべきです。当事務所は、退去強制事由の判断における故意や過失の要否について責任主義の射程を問う訴訟に取り組んでおり、こうした場面の法的評価にも関心をもって対応しています。

初動対応と、不起訴を目指す活動

最初にすべきは、やり取りの全体を保全することです。脅迫の事案では、切り取られた一文のみが証拠として提出されることが少なくありません。前後の文脈、相手方の発言、そこに至る経緯を示す資料があれば、告知の内容や害悪性の評価が変わり得ます。次に、被害者との接触は弁護人を通じて行います。直接連絡すれば、それ自体が新たな脅迫や証人威迫と評価されるおそれがあるためです。本罪は親告罪ではありませんが、示談が成立し被害者が処罰を求めない意向を示せば、起訴猶予の可能性が高まります。取調べでは、言ってはいないという全面否認と、言ったが趣旨は違うという説明とで、必要な立証活動が異なります。通訳を介する取調べでは語気や比喩の訳出が結論を左右するため、弁護人の確認が欠かせません。

よくあるご質問

冗談のつもりでも脅迫になりますか

本人の意図よりも、告知の内容と当時の状況から、一般人を畏怖させるに足りるかどうかで判断されます。冗談であったという説明は、前後のやり取りや両者の関係、これまでの言葉遣いによって裏付けられて初めて意味をもちますので、記録を保全したうえで主張することが重要です。

お金を返せと強く言っただけでも罪になりますか

正当な債権の請求であっても、害悪の告知を伴えば脅迫罪となり、金銭の交付に結び付けば恐喝罪となり得ます。恐喝罪は入管法24条4号の2の列挙罪であり、別表第一の在留資格の方は執行猶予でも退去強制事由に当たりますので、請求の方法は慎重に検討する必要があります。

相手に直接謝りに行ってもよいですか

お勧めできません。被害者に直接接触すれば、それ自体が新たな威迫と評価され、勾留や保釈の判断で不利に働くおそれがあります。謝罪や示談の申入れは弁護人を通じて行い、接触の方法と範囲をあらかじめ明確にしたうえで進めるべきです。接触の記録を残しておくことも有用です。

当事務所のご案内

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区・高田馬場駅から徒歩約5分)は、松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)が、中国籍の方を中心とする外国人の刑事弁護と入管手続を主たる注力分野として取り扱っております。刑事事件と在留の問題を別々の専門家に分けて依頼するのではなく、同一の弁護士が最初の接見から入管手続まで一貫して担当いたします。

当事務所には外国人事件専属の中国語通訳が在籍しており、接見、取調べへの立会い、ご家族との打合せに対応いたします。中国国内にいらっしゃるご家族からのご連絡も、微信(WeChat)で直接お受けしております。刑事手続の終了後の在留資格の更新・変更については、提携する行政書士とともに対応いたします。

これまでの解決実績の一部をご紹介いたします。

  • 特殊詐欺の受け子として複数回再逮捕された事案において、取調べへの対応と主張立証を尽くし、全件について不起訴処分を獲得した事例。
  • 在留資格を失って不法残留で逮捕・起訴された依頼者について、婚姻と認知の手続を実現させたうえで、公的書類がほとんど存在しない状況下でも有利な証拠を収集し、一度の申請で在留特別許可を獲得した事例。
  • 覚醒剤取締法違反(営利目的所持)で起訴された依頼者について、証拠の分析と被告人質問・反対尋問を尽くし、無罪判決を獲得した事例。

本記事は一般的な解説であり、個別の事案については弁護士に直接ご相談ください。また、過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

本記事は2026年8月時点の情報です。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)

中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。

舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
微信ID:matsumura1119

この記事の中国語版はこちら(本文的中文版请点击这里)

----------------------------------------------------------------------
舟渡国際法律事務所
住所 : 東京都豊島区高田3丁目4-10布施ビル本館3階
電話番号 :050-7587-4639


東京にて中国人の方をサポート

東京を中心に刑事事件の弁護

----------------------------------------------------------------------

当店でご利用いただける電子決済のご案内

下記よりお選びいただけます。