出資法違反(高金利)で逮捕されたら|法定刑・立件の流れと在留資格への影響
2026/08/13
知人間の融通のつもりで始めた貸付けでも、利息の定め方によっては出資法(出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律)違反として立件されます。とくに在日外国人コミュニティ内での少額・短期の高利貸付けは、返済が滞った借主からの相談を端緒に捜査が始まる例が少なくありません。出資法違反は法定刑が重く、無登録営業(貸金業法違反)と併せて起訴されることも通例です。本稿では、利率ごとの法定刑と捜査の流れ、在留資格への具体的な影響を整理します。
本記事の要点
- 業として年20%を超える利息の契約・受領・要求は、出資法5条2項により5年以下の拘禁刑もしくは1000万円以下の罰金またはその併科の対象です。
- 業として年109.5%を超える場合は同条3項により10年以下の拘禁刑もしくは3000万円以下の罰金またはその併科となり、実刑の可能性が現実味を帯びます。
- 出資法違反は入管法24条4号の2の列挙罪ではありませんが、1年を超える実刑は同条4号リの退去強制事由に直結します。
- 受け取った利息は組織的犯罪処罰法等により没収・追徴の対象となり得るため、刑事処分と資産の問題を同時に検討する必要があります。
何%から出資法違反になるのですか
上限は、貸主が業として行うかどうかで分かれます。業として金銭の貸付けを行う者が年20%を超える利息の契約をし、またはこれを受領し、もしくは要求したときは、出資法5条2項により5年以下の拘禁刑もしくは1000万円以下の罰金、またはその併科となります。業として行う者が年109.5%を超える利息に及んだ場合は同条3項が適用され、10年以下の拘禁刑もしくは3000万円以下の罰金、またはその併科と、格段に重くなります。業としてでない一回限りの貸付けであっても、年109.5%を超えれば同条1項により処罰されます。保証料を利息とみなす規定もあり、名目を手数料や謝礼に変えても実質で判断されます。なお利息制限法は民事上の上限(元本額に応じ年15%から20%)を定めるものであり、これを超えても直ちに犯罪となるわけではない点で、出資法とは役割が異なります。
どのような端緒で捜査が始まりますか
端緒の多くは、借主側からの相談や被害申告です。返済が滞った後の督促が強引になり、勤務先や同居家族への連絡に及んだ段階で、借主が警察や弁護士に相談し、送金記録やメッセージ履歴が提出されるという流れが典型です。近年は、送金アプリやメッセージアプリの履歴がそのまま証拠となるため、利率、貸付日、返済日、受領額が客観的に再現されやすくなっています。捜査機関は、複数の借主に対する貸付けを積み上げて業としての反復継続性を立証し、併せて貸金業法11条1項の無登録営業として構成します。摘発時には携帯端末や通帳が押収され、口座の取引履歴から貸付総額と受領利息が算定されますので、断片的な弁解を重ねることは得策ではありません。
出資法違反は在留資格にどう影響しますか
出資法違反は、入管法24条4号の2が列挙する刑法犯や暴力行為等処罰法の罪に含まれていません。したがって、別表第一の在留資格をもって在留する方が執行猶予付きの拘禁刑を受けても、そのことから直ちに退去強制事由に当たるわけではありません。他方、1年を超える拘禁刑の実刑となれば同条4号リに該当し、退去強制手続に移行します。業として年109.5%を超える類型では実刑も想定されるため、量刑の一線が在留の可否を分けることになります。また、就労資格の方の場合、届け出た所属機関での活動実態が失われていないか、収入の主要部分が違法な貸付けによるものではないかという点が在留資格該当性の審査で問われ、更新の場面では素行の善良性も評価されます。永住者等の別表第二の在留資格には4号の2の適用がなく、4号リの成否が中心となります。
不起訴を目指すための初動と、供述の注意点
最優先は不起訴処分の獲得です。取調べでは、貸付けの経緯、利率の合意内容、受領額といった事実の細部が問われますが、記憶があいまいなまま概括的に認める供述をすると、実際より高い利率や長い期間で処断される危険があります。まず弁護人を選任し、送金記録や帳簿と突き合わせてから供述方針を決めるべきです。通訳を介する取調べでは、元本、利息、遅延損害金、手数料といった語が正確に訳し分けられているかを確認する必要があります。弁護活動としては、受領した利息のうち利息制限法の上限を超える部分の返還、借主との示談、貸付事業の完全な清算と口座の解約、生活基盤に関する疎明を積み上げ、起訴猶予の判断材料をそろえます。併せて、判決後の在留手続を見据えた資料も同時に準備します。
よくあるご質問
友人に少額を貸して利息を取っただけでも罪になりますか
一回限りの貸付けであっても、年109.5%を超える利息の契約や受領があれば出資法5条1項により処罰され得ます。反復継続していれば業として行ったと評価され、年20%超で同条2項が適用されます。少額であること自体は不処罰の理由になりませんので、早期にご相談ください。
手数料や謝礼という名目なら利息にならないのではありませんか
名目にかかわらず、貸付けに関して受け取る金銭は原則として利息として計算されます。礼金、割引料、調査料、保証料といった名称でも、実質が貸付けの対価であれば利率に算入されます。契約書の文言よりも実際の授受の内容が重視されますので、資料を整理したうえでご相談ください。
執行猶予がつけば日本に残れますか
出資法違反は入管法24条4号の2の列挙罪ではないため、執行猶予付きの拘禁刑であれば直ちに退去強制事由には当たりません。ただし在留期間の更新では素行が審査され、不許可となる可能性は残ります。判決の内容だけで安心せず、更新に備えた説明資料を準備することが必要です。
当事務所のご案内
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区・高田馬場駅から徒歩約5分)は、松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)が、中国籍の方を中心とする外国人の刑事弁護と入管手続を主たる注力分野として取り扱っております。刑事事件と在留の問題を別々の専門家に分けて依頼するのではなく、同一の弁護士が最初の接見から入管手続まで一貫して担当いたします。
当事務所には外国人事件専属の中国語通訳が在籍しており、接見、取調べへの立会い、ご家族との打合せに対応いたします。中国国内にいらっしゃるご家族からのご連絡も、微信(WeChat)で直接お受けしております。刑事手続の終了後の在留資格の更新・変更については、提携する行政書士とともに対応いたします。
これまでの解決実績の一部をご紹介いたします。
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- 覚醒剤取締法違反(営利目的所持)で起訴された依頼者について、証拠の分析と被告人質問・反対尋問を尽くし、無罪判決を獲得した事例。
本記事は一般的な解説であり、個別の事案については弁護士に直接ご相談ください。また、過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。
本記事は2026年8月時点の情報です。
執筆者
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。
舟渡国際法律事務所
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