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名義貸しの危険|会社役員・銀行口座の名義提供と刑事責任・在留リスク

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名義貸しの危険|会社役員・銀行口座の名義提供と刑事責任・在留リスク

名義貸しの危険|会社役員・銀行口座の名義提供と刑事責任・在留リスク

2026/08/13

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報酬を受けて会社の役員に名前を貸したり、銀行口座を他人に渡したりする行為は、単なる貸し借りでは済みません。役員名義の提供は、登記という公正証書の原本に不実の記載をさせたとして刑法157条1項の対象となり得ますし、口座の譲渡は犯罪による収益の移転防止に関する法律違反や、特殊詐欺の幇助として立件されることがあります。いずれも刑法第17章または第37章に関わる場面があり、別表第一の在留資格をお持ちの中国籍の方にとっては、執行猶予でも在留を失う危険がある類型です。

本記事の要点

  • 役員名義の提供は、登記への不実記載として刑法157条1項(5年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金)の対象となり得ます。
  • 預貯金口座の譲渡は犯罪による収益の移転防止に関する法律違反に当たり、業として行えば法定刑が加重されます。
  • 口座が特殊詐欺に使われた場合、詐欺罪の幇助や共同正犯として立件されることがあります。
  • 刑法第17章・第37章はいずれも入管法24条4号の2の列挙対象であり、別表第一の在留資格者は執行猶予でも退去強制事由に該当します。

会社役員の名義を貸すとどうなりますか

実体を伴わない役員登記は、公正証書原本不実記載罪の問題を生じます。刑法157条1項は、公務員に対し虚偽の申立てをして権利義務に関する公正証書の原本に不実の記載をさせた者を5年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金に処すると定めており、商業登記簿はこれに当たると解されています。実際には経営に一切関与しないにもかかわらず、報酬を受けて代表取締役として登記された場合、この罪が問題となります。加えて、その会社が詐欺や不法就労助長、無許可営業などに用いられていた場合には、名義人であることを手がかりに共犯としての嫌疑が向けられます。会社の実印や通帳、法人口座のキャッシュカードを預けていた場合、関与の程度がより重く評価される傾向にありますので、注意が必要です。

銀行口座を渡した場合の責任はどうなりますか

口座の譲渡自体が法律で禁止されており、それだけで処罰の対象となります。犯罪による収益の移転防止に関する法律は、正当な理由なく預貯金通帳やキャッシュカードを譲り渡し、または譲り受ける行為などを処罰しており、業として行った場合には法定刑が加重されます。さらに、譲渡した口座が特殊詐欺の振込先として使用された場合には、詐欺罪の幇助または共同正犯として立件されることがあります。詐欺罪は刑法第37章の罪ですので、拘禁刑に処せられれば、別表第一の在留資格者は執行猶予であっても入管法24条4号の2の退去強制事由に該当します。口座開設の時点で第三者に渡す意図があったと認められれば、金融機関に対する詐欺罪が別途成立する可能性もあります。

軽い気持ちで応じた場合でも責任を問われますか

認識の程度は争点になりますが、安易な弁解は通りにくいのが実情です。友人に頼まれた、報酬が少額だった、使途を知らなかったという説明は、それ自体で責任を免れる理由にはなりません。とりわけ、通常の取引では考えられない報酬を受け取っていた場合や、身分証の写しまで渡していた場合には、不正な目的を推知し得たと評価されやすくなります。他方で、勤務先の指示により形式的に登記されただけの方、日本語の書面の意味を理解できないまま署名した方も現実には存在します。こうした場合には、指示の経緯、報酬の有無、実際の業務内容、日本語の理解の程度を具体的に示し、故意や共謀の不存在を主張することになります。関係者とのやり取りの記録は、早期に保全すべき重要な資料です。

在留資格を守るためには何が必要ですか

拘禁刑を避けること、すなわち不起訴処分または罰金による処理を目指すことが最重要です。前述のとおり、刑法第17章の公正証書原本不実記載罪も、第37章の詐欺罪も、いずれも入管法24条4号の2の列挙対象です。同号は執行猶予を除外していませんので、社会内で生活を続けられる判決であっても、別表第一の在留資格をお持ちの方は退去強制手続に付されることになります。したがって、公判で執行猶予を得ることを目標とするのでは足りず、起訴そのものを回避する必要があります。具体的には、被害弁償、口座の凍結や登記の是正への協力、関与の経緯の説明、再発防止の体制などを早期に整えることが求められます。永住者などの別表第二の在留資格には同号の適用がありません。

よくあるご質問

使われ方を知らずに口座を渡した場合も処罰されますか

口座の譲渡自体が禁止されていますので、使途を知らなかったとしても、譲渡の事実があれば処罰の対象となり得ます。他方、詐欺の幇助が成立するかは、詐欺に用いられることの認識の有無によりますので、依頼の経緯や報酬の内容を具体的に説明することが重要です。

既に登記されている役員名義を外すことはできますか

辞任の意思表示と登記手続により役員から外れることは可能ですが、会社側の協力が得られない場合もあります。過去の登記が消えるわけではありませんので、名義提供の経緯を記録し、是正に向けた行動をとったことを示せるようにしておくことが有効です。登記事項証明書を取り寄せ、現在の記載内容を確認してください。

被害弁償をすれば不起訴になりますか

被害弁償は起訴猶予に向けた重要な事情ですが、それのみで不起訴が確約されるものではありません。関与の程度、報酬の有無、常習性、被害の規模などが総合的に判断されます。弁償の履行と併せて、関与の経緯を裏付ける資料を提出することが有効です。口座の凍結手続に協力した経緯も、有利な事情となり得ます。

当事務所のご案内

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区・高田馬場駅から徒歩約5分)は、松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)が、中国籍の方を中心とする外国人の刑事弁護と入管手続を主たる注力分野として取り扱っております。刑事事件と在留の問題を別々の専門家に分けて依頼するのではなく、同一の弁護士が最初の接見から入管手続まで一貫して担当いたします。

当事務所には外国人事件専属の中国語通訳が在籍しており、接見、取調べへの立会い、ご家族との打合せに対応いたします。中国国内にいらっしゃるご家族からのご連絡も、微信(WeChat)で直接お受けしております。刑事手続の終了後の在留資格の更新・変更については、提携する行政書士とともに対応いたします。

これまでの解決実績の一部をご紹介いたします。

  • 特殊詐欺の受け子として複数回再逮捕された事案において、取調べへの対応と主張立証を尽くし、全件について不起訴処分を獲得した事例。
  • 特殊詐欺の出し子とされた20代の依頼者について、指示役からの欺罔的・威圧的状況と犯意の不存在を主張し、不起訴処分を獲得した事例。
  • 在留資格を失って不法残留で逮捕・起訴された依頼者について、婚姻と認知の手続を実現させたうえで、公的書類がほとんど存在しない状況下でも有利な証拠を収集し、一度の申請で在留特別許可を獲得した事例。

本記事は一般的な解説であり、個別の事案については弁護士に直接ご相談ください。また、過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

本記事は2026年8月時点の情報です。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)

中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。

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ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
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