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偽装認知の疑いをかけられたとき|刑事責任と国籍・在留資格への影響

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偽装認知の疑いをかけられたとき|刑事責任と国籍・在留資格への影響

偽装認知の疑いをかけられたとき|刑事責任と国籍・在留資格への影響

2026/08/13

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血縁関係がないことを知りながら認知の届出をした場合、刑法157条1項の公正証書原本不実記載罪が問題となり、その認知に基づいて子が日本国籍を取得したときは、国籍法上の罰則も併せて検討されます。認知は子の国籍と、その子を養育する親の在留資格の双方に影響する重要な身分行為であり、虚偽の認知が判明すれば、子の国籍取得の効力と親の在留の基礎が同時に揺らぐことになります。刑事と身分関係、そして入管手続が複雑に絡み合う類型ですので、早い段階での整理が不可欠です。

本記事の要点

  • 虚偽の認知届は刑法157条1項の公正証書原本不実記載罪(5年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金)に当たり得ます。
  • 虚偽の届出により日本国籍を取得した場合、国籍法20条1項により1年以下の拘禁刑または20万円以下の罰金の対象となります。
  • 刑法第17章の罪であるため、別表第一の在留資格者は執行猶予付き拘禁刑でも入管法24条4号の2に該当します。
  • 認知が無効とされれば子の国籍取得の効力が問題となり、親の在留資格の基礎も失われる可能性があります。

偽装認知はどのような犯罪になりますか

戸籍という公正証書の原本に虚偽の記載をさせた点が処罰の対象となります。刑法157条1項は、公務員に対して虚偽の申立てをし、権利義務に関する公正証書の原本に不実の記載をさせた者を5年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金に処すると定めており、血縁関係がないことを知りながら認知届を提出して受理させた場合には、同罪が成立し得ます。さらに、その認知を前提として国籍法3条1項の届出により子が日本国籍を取得した場合、虚偽の届出をしたとして国籍法20条1項により1年以下の拘禁刑または20万円以下の罰金の対象となります。認知に関与した仲介者や、報酬を支払って認知を依頼した者についても、共犯としての責任が問題となります。

子の国籍や親の在留はどうなりますか

認知の効力が否定されれば、それを基礎とする法的地位が連鎖的に影響を受けます。国籍法3条1項は、父または母に認知された子が一定の要件のもとで届出により日本国籍を取得できると定めています。認知が虚偽であって無効と判断された場合、これを前提とする国籍取得の効力が問題となります。また、日本国籍を有する子を養育していることを理由に定住者などの在留資格を得ていた親については、その基礎が失われ、在留資格の取消しや更新不許可が検討されることになります。認知の効力を争う手続としては、認知無効の訴えがあり、令和6年施行の改正民法により出訴期間の定めが整備されました。刑事手続と並行して、身分関係の帰趨を見通した対応が必要となります。

血縁がないことを知らなかった場合はどうなりますか

認識の有無は犯罪の成否を分ける中心的な争点です。刑法157条1項の罪は故意犯ですので、真実に反する認知であることの認識が必要です。交際関係にあった相手から自分の子であると告げられ、これを信じて認知した場合には、故意が否定される余地があります。他方、交際の時期と出生時期が明らかに整合しない、対価の支払いがある、当事者間に面識がほとんどないといった事情があれば、未必の故意が認定されやすくなります。DNA鑑定の結果は身分関係の判断において決定的な意味を持ちますが、鑑定結果が出たことと、届出時点で血縁の不存在を知っていたこととは別問題です。届出に至る経緯を裏付ける通信記録や交際の状況を保全し、時系列で説明できるようにしておくことが重要です。

捜査を受けたときの初動を教えてください

身分関係の資料を確保しつつ、供述の内容を弁護人と検討することが要点です。この類型では、母親、認知した男性、仲介者がそれぞれ取り調べられ、供述の食い違いが共謀の認定に用いられます。とりわけ、認知の目的について、子の将来のためと述べたつもりの説明が、在留資格を得るためという趣旨に整理されてしまうと、目的の不当性が認定される根拠となります。通訳を介する場面では、この種のニュアンスが特に失われやすいため、調書の読み聞かせの際に一文ずつ確認してください。また、子の生活状況、養育の実態、母子と認知者の関係を示す資料は、量刑のみならず在留特別許可の判断にも関わります。子の利益という観点は、入管法50条5項の人道上の配慮とも結びつく重要な要素です。

よくあるご質問

認知を取り消せば刑事責任はなくなりますか

既に成立した犯罪が消滅するわけではありません。もっとも、認知無効の手続を自ら進めたことや、事実関係を早期に明らかにしたことは、反省の姿勢を示す事情として起訴・不起訴の判断や量刑において考慮され得ます。手続の選択は弁護人と相談して決めるべきです。

子どもの国籍はどうなりますか

認知が無効と判断されれば、それを前提とする国籍取得の効力が問題となります。ただし、子の地位に関わる重大な事柄ですので、手続や判断は慎重に行われます。子の生活実態や利益を示す資料を整えたうえで、専門家と対応を検討することが必要です。手続の進行中における子の在留と就学の確保も、重要な課題となります。

母親も処罰されますか

虚偽の認知届を共同して提出したと認められれば、共犯として責任を問われる可能性があります。他方、経緯や関与の程度によって評価は異なります。母子の生活実態、経済状況、仲介者との関係などを具体的に示すことが、処分の判断に影響します。取調べを受ける前に、弁護人と方針を確認しておくことが望まれます。

当事務所のご案内

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区・高田馬場駅から徒歩約5分)は、松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)が、中国籍の方を中心とする外国人の刑事弁護と入管手続を主たる注力分野として取り扱っております。刑事事件と在留の問題を別々の専門家に分けて依頼するのではなく、同一の弁護士が最初の接見から入管手続まで一貫して担当いたします。

当事務所には外国人事件専属の中国語通訳が在籍しており、接見、取調べへの立会い、ご家族との打合せに対応いたします。中国国内にいらっしゃるご家族からのご連絡も、微信(WeChat)で直接お受けしております。刑事手続の終了後の在留資格の更新・変更については、提携する行政書士とともに対応いたします。

これまでの解決実績の一部をご紹介いたします。

  • 在留資格を失って不法残留で逮捕・起訴された依頼者について、婚姻と認知の手続を実現させたうえで、公的書類がほとんど存在しない状況下でも有利な証拠を収集し、一度の申請で在留特別許可を獲得した事例。
  • 不法就労助長罪に問われて退去強制の危機にある依頼者について、「退去強制事由には故意・過失を要しない」とされてきた入管実務に対し、責任主義の射程を問う訴訟を係属中の事例。
  • 特殊詐欺の受け子として複数回再逮捕された事案において、取調べへの対応と主張立証を尽くし、全件について不起訴処分を獲得した事例。

本記事は一般的な解説であり、個別の事案については弁護士に直接ご相談ください。また、過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

本記事は2026年8月時点の情報です。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)

中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。

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ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
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