資格外活動(週28時間超)で調査を受けたら|刑事罰と在留資格取消し
2026/08/13
留学の在留資格で在留する方に与えられる資格外活動許可は、原則として1週について28時間以内という条件が付されています。この範囲を超えて就労した場合、入管法19条1項に違反する活動として、在留資格の取消しや退去強制の検討対象となり得るほか、刑事罰の対象にもなります。専ら資格外活動を行っていたと認められれば同法70条1項4号により3年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金またはその併科、そうでない場合も同法73条により1年以下の拘禁刑または200万円以下の罰金が定められています。
本記事の要点
- 留学生の包括的な資格外活動許可は1週28時間以内が原則で、在籍校の長期休業期間中は1日8時間以内とされています。
- 専ら資格外活動を行っていた場合は入管法70条1項4号(3年以下の拘禁刑等)、それ以外は同法73条(1年以下の拘禁刑等)の対象です。
- 本来の活動を継続して3月以上行っていないときは、入管法22条の4第1項5号による在留資格取消しの検討対象となります。
- 風俗営業関係の業務は資格外活動許可の対象外であり、許可があっても就労できません。
週28時間はどのように計算しますか
いずれの曜日から起算しても1週について28時間以内であることが求められる、というのが入管の運用です。したがって、月曜から日曜までの合計が28時間以内であっても、水曜から翌週の火曜までの区切りで29時間になっていれば違反と評価され得ます。複数のアルバイトを掛け持ちしている場合は、その合計時間で判断されますので、勤務先ごとに28時間ずつという理解は誤りです。また、在籍する教育機関の長期休業期間中に限り、1日について8時間以内という扱いが認められています。なお、この時間制限は資格外活動許可に付された条件であり、許可自体を受けていなければ、就労時間の長短にかかわらず入管法19条1項違反となります。給与明細やタイムカードが調査で参照されますので、勤務実績の記録は正確に保管しておくべきです。
どのような場合に刑事罰の対象になりますか
専従性の程度によって適用条文が分かれ、法定刑が大きく異なります。入管法70条1項4号は、在留資格に応じた活動を行わずに専ら資格外活動を行っていると明らかに認められる者について、3年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金またはその併科と定めています。これに該当する場合、同法24条4号イにより退去強制事由にも該当します。他方、学業を継続しながら許可の範囲を超えて就労していたにとどまる場合は、同法73条により1年以下の拘禁刑または200万円以下の罰金が適用されます。実務では、授業への出席状況、単位の取得状況、就労時間の程度、収入の額などから専従性が判断されます。したがって、在籍校の出席証明や成績証明は、専従性を否定するための重要な資料となります。
在留資格の取消しはどのような場合に行われますか
本来の活動を行っていない状態が続いた場合に、取消しが検討されます。入管法22条の4第1項5号は、別表第一の在留資格をもって在留する方が、その在留資格に係る活動を継続して3月以上行っておらず、かつ正当な理由がない場合を、在留資格の取消事由と定めています。留学の在留資格で在留しながら、実際には就労が中心となり通学していない状態が3月以上続けば、この規定の適用が問題となります。取消しに際しては意見聴取の手続が設けられており、正当な理由の有無について説明する機会が与えられます。病気による休学、家族の事情による一時帰国、教育機関側の事情など、通学できなかった具体的な理由がある場合は、診断書や在籍校の証明といった資料を準備して臨むことが重要です。
時間を超えたことに気付いていなかった場合はどうなりますか
故意の有無は刑事責任の成否に関わる重要な争点です。刑事罰については故意が必要ですので、勤務先が労働時間を過少に申告していた、シフトの変更が本人の関与しないところで行われていたといった事情があれば、故意を欠くという主張の余地があります。他方、入管実務では、退去強制事由や在留資格取消しの判断において、本人の認識や落ち度をどこまで要求するかについて明確な基準が示されているとはいえず、争いのあるところです。当事務所でも、行政処分の場面において責任主義の考え方がどこまで及ぶのかを問う訴訟に取り組んでいます。結論を予断することはできませんが、勤務実態の記録、雇用主とのやり取り、シフト表といった資料を保全し、認識の有無を具体的に主張できるようにしておくことが有益です。
よくあるご質問
アルバイトを2か所掛け持ちしている場合、それぞれ28時間まで働けますか
できません。資格外活動許可に付される時間制限は、就労先ごとではなく、すべての就労を合計した時間について判断されます。掛け持ちの場合は合計で1週28時間以内に収める必要がありますので、各勤務先のシフトを合算して管理してください。勤務先にも合計時間を伝え、記録を共有しておくことが有効です。
卒業後、就職先が決まるまでアルバイトを続けられますか
留学の在留資格は在籍を前提としますので、卒業により本来の活動が失われます。就職活動を継続する場合は特定活動への在留資格変更が必要となり、その際の資格外活動許可の条件も改めて確認する必要があります。無資格のまま就労を続けると違反となります。在籍していた教育機関や支援機関にも、早めに相談してください。
超過が発覚した場合、必ず退去強制になりますか
必ずしもそうではありません。超過の程度、期間、専従性の有無、学業の継続状況によって扱いは異なり、指導にとどまる場合もあります。もっとも、更新申請の際に不許可となる危険はありますので、就労時間の是正と出席状況の回復を早期に図ることが重要です。
当事務所のご案内
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区・高田馬場駅から徒歩約5分)は、松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)が、中国籍の方を中心とする外国人の刑事弁護と入管手続を主たる注力分野として取り扱っております。刑事事件と在留の問題を別々の専門家に分けて依頼するのではなく、同一の弁護士が最初の接見から入管手続まで一貫して担当いたします。
当事務所には外国人事件専属の中国語通訳が在籍しており、接見、取調べへの立会い、ご家族との打合せに対応いたします。中国国内にいらっしゃるご家族からのご連絡も、微信(WeChat)で直接お受けしております。刑事手続の終了後の在留資格の更新・変更については、提携する行政書士とともに対応いたします。
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本記事は一般的な解説であり、個別の事案については弁護士に直接ご相談ください。また、過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。
本記事は2026年8月時点の情報です。
執筆者
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。
舟渡国際法律事務所
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