風営法違反(無許可営業)で立件されたら|罰則と経営者の在留資格
2026/08/13
風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律は、接待飲食等営業や遊技場営業などを行うには都道府県公安委員会の許可を受けなければならないと定めており、許可を受けずに営業した場合は2年以下の拘禁刑もしくは200万円以下の罰金、またはこれらの併科となります。中国籍の方が経営者として立件される場合、刑事処分だけでなく、経営・管理の在留資格の基礎となる事業の適法性そのものが問われます。従業員に外国人がいれば不法就労助長罪が併せて問題となることも多く、刑事と入管の双方を見据えた対応が必要です。
本記事の要点
- 無許可で風俗営業を行った場合、2年以下の拘禁刑もしくは200万円以下の罰金または併科となります。
- 風営法違反は入管法24条4号の2の列挙対象外ですが、1年を超える実刑は同条4号リに該当します。
- 経営・管理の在留資格は事業の適法性・安定性を前提とするため、無許可営業は更新審査で決定的に不利に働きます。
- 外国人従業員を就労させていた場合、入管法73条の2の不法就労助長罪(5年以下の拘禁刑もしくは500万円以下の罰金または併科)が別途成立し得ます。
どのような営業に許可が必要ですか
客に接待をして飲食させる営業や、設備を設けて客に射幸心をそそるおそれのある遊技をさせる営業などが、風営法3条1項により公安委員会の許可を要する風俗営業とされています。いわゆるスナックやクラブであっても、客の隣に座って継続的に会話の相手をするなどの接待行為があれば、深夜酒類提供飲食店営業の届出だけでは足りず、風俗営業の許可が必要になります。この線引きは営業の実態によって判断されるため、届出のみで営業していた店舗が事後に無許可営業として摘発される例が少なくありません。また、性風俗関連特殊営業については許可制ではなく届出制が採られていますが、禁止地域での営業や無届営業には別途罰則が定められています。名義を借りて営業する行為も同法11条の名義貸しの禁止に触れます。
経営・管理の在留資格にはどう影響しますか
刑罰の重さ以上に、事業の適法性が否定されることの影響が大きいといえます。風営法違反は特別法犯ですので、入管法24条4号の2の適用はなく、執行猶予付き判決であれば同号による退去強制はありません。1年を超える実刑であれば同条4号リの対象となります。しかし、経営・管理の在留資格は、日本において適法かつ安定的に事業を経営することを前提としています。無許可営業で有罪となれば、事業継続の適法性が根本から問われ、在留期間の更新審査で不許可となる危険が高まります。更新が認められなければ在留期間の満了により不法残留となり、入管法24条4号ロの退去強制事由に該当してしまいます。営業許可の取得や業態の是正を、刑事手続と並行して進めることが実務上の要点です。
不法就労助長罪との関係を教えてください
外国人従業員を雇用していた場合には、風営法違反よりも重い罪責が問題となります。入管法73条の2は、事業活動に関し外国人に不法就労活動をさせた者などを5年以下の拘禁刑もしくは500万円以下の罰金に処し、またはこれを併科すると定めています。ここでいう不法就労には、不法残留者の就労だけでなく、留学生が資格外活動許可の範囲を超えて働く場合や、技術・人文知識・国際業務の在留資格者が風俗営業の業務に従事する場合も含まれ得ます。同条2項は、知らなかったことに過失がないことを立証しない限り処罰を免れないという趣旨の規定を置いており、在留カードの確認を怠っていた経営者は責任を問われやすい構造となっています。採用時の在留カード確認記録や就労資格証明書の写しを整備しておくことが、事後の防御の要となります。
捜索・取調べの初動では何に注意すべきですか
帳簿とシフト表の押収を前提に、事実関係を正確に把握してから供述することが重要です。この分野の摘発は、内偵を経た店舗への立入りから始まり、売上帳簿、シフト表、防犯カメラ映像、従業員の携帯電話などが一挙に押収されます。取調べでは接待の有無や営業時間、従業員の在留資格の認識について集中的に質問されますが、経営者本人が現場の細部を把握していない場合も多く、記憶に基づかない概括的な自白は避けるべきです。とくに、従業員が資格外活動許可の範囲を超えて働いていた点について、確認していたと述べるか、確認していなかったと述べるかは、不法就労助長罪の成否に直結します。従業員の側についても、雇用主をかばう供述が自らの資格外活動を認める内容になっていないか、注意が必要です。
よくあるご質問
深夜酒類提供飲食店の届出はしています。それでも無許可営業になりますか
届出と許可は別の制度です。客の接待に当たる行為があれば風俗営業に該当し、風営法3条1項の許可が必要となります。接待の有無は座席への同席、会話の継続性、指名の有無などの実態から判断されますので、届出のみでの営業には注意が必要です。業態に不安がある場合は、事前に許可の要否を確認しておくべきです。
従業員の在留カードを確認していれば責任を免れますか
確認していた事実は過失がなかったことを基礎づける重要な事情ですが、在留カードの偽変造が疑われる場面では、在留カード等読取アプリケーションによる確認や就労資格証明書の徴求まで行っていたかが問われます。確認の記録を保存しておくことが実務上有効です。
罰金で終わった場合、経営・管理の更新はできますか
罰金は退去強制事由には当たりませんが、更新審査では事業の適法性と安定性が審査されます。許可の取得、業態の是正、税務・社会保険の履行状況を整えたうえで申請することが必要です。是正が未了のまま申請すると、不許可となる危険が高まります。許可取得の見込みと時期についても、説明できるよう準備してください。
当事務所のご案内
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区・高田馬場駅から徒歩約5分)は、松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)が、中国籍の方を中心とする外国人の刑事弁護と入管手続を主たる注力分野として取り扱っております。刑事事件と在留の問題を別々の専門家に分けて依頼するのではなく、同一の弁護士が最初の接見から入管手続まで一貫して担当いたします。
当事務所には外国人事件専属の中国語通訳が在籍しており、接見、取調べへの立会い、ご家族との打合せに対応いたします。中国国内にいらっしゃるご家族からのご連絡も、微信(WeChat)で直接お受けしております。刑事手続の終了後の在留資格の更新・変更については、提携する行政書士とともに対応いたします。
これまでの解決実績の一部をご紹介いたします。
- 特殊詐欺の受け子として複数回再逮捕された事案において、取調べへの対応と主張立証を尽くし、全件について不起訴処分を獲得した事例。
- 在留資格を失って不法残留で逮捕・起訴された依頼者について、婚姻と認知の手続を実現させたうえで、公的書類がほとんど存在しない状況下でも有利な証拠を収集し、一度の申請で在留特別許可を獲得した事例。
- 覚醒剤取締法違反(営利目的所持)で起訴された依頼者について、証拠の分析と被告人質問・反対尋問を尽くし、無罪判決を獲得した事例。
本記事は一般的な解説であり、個別の事案については弁護士に直接ご相談ください。また、過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。
本記事は2026年8月時点の情報です。
執筆者
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。
舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
微信ID:matsumura1119
----------------------------------------------------------------------
舟渡国際法律事務所
住所 : 東京都豊島区高田3丁目4-10布施ビル本館3階
電話番号 :050-7587-4639
東京にて中国人の方をサポート
東京を中心に刑事事件の弁護
----------------------------------------------------------------------