盗撮で摘発されたら|性的姿態撮影等処罰法違反と外国人の在留資格
2026/08/13
令和5年に施行された性的姿態等撮影等処罰法により、いわゆる盗撮は各都道府県の迷惑防止条例ではなく国の法律で処罰されることになりました。同法2条の性的姿態等撮影罪の法定刑は3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金で、撮影した画像の提供、保管、公然陳列も独立の犯罪として処罰されます。中国籍の方の場合、罰金で終わるか拘禁刑となるか、そして建造物侵入罪が併せて立件されるかどうかによって、在留資格への影響が大きく変わります。ここでは、構成要件、併合罪となる場合の入管法上の危険、不起訴を目指す弁護活動、初動の注意点を整理します。
本記事の要点
- 性的姿態等撮影罪の法定刑は3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金です(同法2条)。
- 駅施設や店舗に立ち入って撮影した場合、建造物侵入罪(刑法130条)が併せて成立することがあります。
- 建造物侵入罪は刑法第12章の罪であり、別表第一の在留資格者が拘禁刑に処せられれば執行猶予でも入管法24条4号の2に該当します。
- 撮影データを保存した端末の任意提出とパスワードの開示を求められる場面が多く、初動での判断が結果を左右します。
性的姿態等撮影等処罰法はどのような行為を処罰しますか
正当な理由がないのに、ひそかに人の性的な部位や下着、わいせつな行為をされている姿態などを撮影する行為を処罰します。同法2条の性的姿態等撮影罪の法定刑は3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金です。従来、盗撮は各都道府県の迷惑防止条例で処罰されており、構成要件や法定刑が地域ごとに異なるという問題がありましたが、同法により全国一律の規律となりました。同法は撮影行為のみならず、撮影して得られた記録の提供、不特定多数への提供や公然陳列、記録の保管、さらには撮影された影像の送信についても処罰対象としており、撮影後にデータを他人に渡した場合には別個の犯罪が成立し得ます。撮影対象が16歳未満の場合には、同意の有無を問わず処罰される点も、条例時代との大きな違いです。
建造物侵入罪が付くと何が変わりますか
在留資格への影響が決定的に変わります。撮影の目的で商業施設や駅構内、他人の住居に立ち入った場合、管理権者の意思に反する立入りとして刑法130条の住居侵入・建造物侵入罪が成立し得ます。住居を侵す罪は刑法第12章に置かれており、入管法24条4号の2が列挙する章に含まれています。したがって、別表第一の在留資格(技術・人文知識・国際業務、留学、技能実習、経営・管理など)で在留している方が、建造物侵入を含む事件で拘禁刑に処せられた場合、執行猶予が付いていても退去強制事由に該当してしまいます。撮影罪だけであれば罰金で処理される見込みがあった事案でも、侵入の点が加わることで一気に在留の危機に直結します。なお、永住者や日本人の配偶者等といった別表第二の在留資格には、この規定の適用はありません。
不起訴を目指すには何をすべきですか
被害者の特定と示談、そして再犯防止の体制構築を並行して進めることが要点です。盗撮事件では被害者が特定できていない場合や、複数の被害者が想定される場合があり、示談の可否は捜査の進捗と密接に関わります。弁護人を通じて検察官と協議し、示談が可能な被害者については早期に謝罪と被害弁償を行うことが、起訴猶予の判断に向けた基礎となります。加えて、この類型は常習性が問題とされやすいため、専門の医療機関やプログラムへの通院実績、家族による監督体制、勤務先の理解といった具体的な再発防止策を資料化することが有効です。前記のとおり、執行猶予判決であっても建造物侵入が絡めば退去強制事由となり得る以上、公判で執行猶予を得ることではなく、起訴そのものを回避することを目標に据える必要があります。
スマートフォンの提出を求められたらどうすればよいですか
任意提出とパスワードの開示は義務ではないという点を、まず正確に理解してください。捜査機関は端末内のデータを重要な証拠と位置付けるため、その場での任意提出を強く求めてくることがあります。しかし任意提出はあくまで任意であり、応じるかどうかは弁護人と相談してから決めることができます。もっとも、拒否すれば差押許可状による捜索が行われることも多く、単に拒否すれば済むという話でもありません。過去の撮影データが多数残っていれば余罪が発覚し、事件が拡大する可能性がある一方で、早期に全容を明らかにして反省の姿勢を示すことが有利に働く場面もあります。日本語での説明が不十分なまま同意書に署名してしまう例が少なくありませんので、内容が理解できないときは署名を留保し、通訳と弁護人の立会いを求めるべきです。
よくあるご質問
撮影に失敗して画像が残っていない場合も犯罪になりますか
撮影行為に着手していれば未遂として処罰される場合があります。また、画像が残っていなくても、端末の操作履歴や目撃者の供述から撮影行為が認定されることがあります。画像の不存在は有利な事情ではありますが、それだけで嫌疑が晴れるとは限りません。捜査段階では、削除済みデータの復元が行われることもあります。
罰金で済めば在留資格に影響はありませんか
罰金は拘禁刑ではありませんので、入管法24条4号の2にも同条4号リにも該当しません。ただし、在留期間の更新や在留資格の変更では素行が審査され、前科の存在は不利に働きます。更新時期を見据えた資料の準備が重要です。更新申請では賞罰欄に正確に記載し、経緯と再発防止策を説明することが望まれます。
会社に知られずに解決できますか
身柄拘束を受けなければ勤務を継続できる場合もありますが、逮捕・勾留が長引けば事実上知られることになります。早期の身柄解放を目指すこと、勤務先への説明が必要な場合の方法を弁護人と検討することが現実的な対応となります。勤務先への説明が避けられない場合の伝え方も、あらかじめ整理しておくと混乱を防げます。
当事務所のご案内
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区・高田馬場駅から徒歩約5分)は、松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)が、中国籍の方を中心とする外国人の刑事弁護と入管手続を主たる注力分野として取り扱っております。刑事事件と在留の問題を別々の専門家に分けて依頼するのではなく、同一の弁護士が最初の接見から入管手続まで一貫して担当いたします。
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これまでの解決実績の一部をご紹介いたします。
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本記事は一般的な解説であり、個別の事案については弁護士に直接ご相談ください。また、過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。
本記事は2026年8月時点の情報です。
執筆者
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。
舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
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