公然わいせつで逮捕された外国人の刑事処分と在留資格への実際の影響
2026/08/13
公然わいせつ罪は刑法174条に定められ、法定刑は6月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金、拘留もしくは科料です。公園や路上での行為、酩酊時の放尿と誤解されやすい行為、インターネット配信を通じた行為など、場面は多様です。中国籍の方の在留については、公然わいせつ罪が入管法24条4号の2の列挙罪に含まれていないため、有罪となっても直ちに退去強制事由とはならない点が重要です。もっとも、更新審査での素行評価や、勤務先への影響は軽視できません。
本記事の要点
- 公然わいせつ罪の法定刑は6月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金、拘留もしくは科料です。
- 入管法24条4号の2の列挙罪には含まれないため、執行猶予や罰金で退去強制事由とはなりません。
- わいせつな動画の配信は刑法175条のわいせつ物頒布等罪となり、2年以下の拘禁刑等が定められています。
- 在留期間更新は裁量判断であり、性的な事案は素行面で不利に評価されるおそれがあります。
公然わいせつ罪はどのような場合に成立しますか
公然わいせつ罪は、不特定または多数の人が認識し得る状態で、性的な羞恥心を害する行為を行った場合に成立します。実際に見た人がいなくても、見られる可能性があれば公然性が認められ得ます。法定刑は6月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金、拘留もしくは科料であり、刑法犯としては軽い部類ですが、行為態様によっては強制わいせつに当たる他の罪や、都道府県の迷惑防止条例違反、性的姿態の撮影に関する法律違反が問題となる場合もあります。インターネットを通じてわいせつな動画を不特定多数に配信した場合は、刑法175条のわいせつ物頒布等罪となり、2年以下の拘禁刑もしくは250万円以下の罰金もしくは科料またはその併科となります。
酩酊状態や誤解による摘発にどう対応しますか
この類型では、行為の外形と意図の評価が分かれることがあります。飲酒後に路上で用を足していた場面が通報されたようなケースでは、性的な意図がなかったことをどう示すかが問題となります。目撃者の位置と視認状況、周囲の明るさ、行為の継続時間、防犯カメラの映像が判断材料です。酩酊により記憶が断片的な場合、取調べで曖昧な供述をすると、後の主張が困難になります。中国籍の方の場合、通訳を通じた説明で意図に関する微妙な表現が誤って伝わることがありますので、調書の訳し戻しを求めてください。目撃者が特定されている事案では、示談によって処分が軽くなる可能性があります。
公然わいせつは在留の維持を妨げますか
結論として、この罪のみで退去強制となる可能性は低いといえます。入管法24条4号の2は、住居侵入、傷害、窃盗、詐欺、偽造など刑法上の特定の章の罪を列挙していますが、公然わいせつ罪が属するわいせつ関係の章は含まれていません。したがって、別表第一の在留資格の方が執行猶予付き判決を受けても、同号による退去強制はありません。同条4号リは1年を超える拘禁刑の実刑を要件としますが、本罪の法定刑の上限は6月ですので、単独では該当しません。もっとも、在留期間更新は入管法21条3項の裁量判断であり、性的な事案は素行面で慎重に審査されます。永住許可申請への影響も想定されます。
不起訴を得るためにどのような活動をしますか
目撃者や被害を訴える方がいる事案では、謝罪と示談が最も有効です。示談が成立し、宥恕の意思が示されれば、起訴猶予となる例が多くあります。示談交渉は本人が直接行うと二次的な問題を生じやすいため、弁護人を通じて進めることが望まれます。あわせて、飲酒習慣の見直し、専門医療機関での相談、勤務先や家族による監督体制を示します。事実関係を争う事案では、行為の外形が性的な意図を示すものか、公然性の要件を満たすかを検討します。在留面では、退去強制に直結しない類型であることを前提に、更新申請の際に説明できるよう、処分の内容と再発防止の状況を記録しておくことが有用です。
よくあるご質問
公然わいせつで有罪になると強制送還されますか
公然わいせつ罪は入管法24条4号の2の列挙罪に含まれておらず、法定刑の上限も6月の拘禁刑ですので、同条4号リにも該当しません。したがって、この罪のみで退去強制となる可能性は低いといえますが、更新審査では素行が考慮されます。もっとも、勤務先や学校への影響は別途生じ得ます。
酔って路上で用を足した場合も公然わいせつですか
性的な意図がなく、態様も限定的であれば、公然わいせつ罪ではなく軽犯罪法違反や条例違反として扱われることがあります。判断は目撃状況や行為態様によりますので、現場の状況を示す資料を早期に確保することが重要です。現場付近の防犯カメラの映像は、早期でなければ確認できません。
示談すれば不起訴になりますか
目撃者や被害を訴える方との間で示談が成立し、宥恕の意思が示されれば、起訴猶予となる例が多くあります。ただし、同種前科がある場合や態様が悪質な場合は起訴されることもありますので、再発防止の体制も併せて示す必要があります。再発防止の体制を示すことも、判断に影響します。
当事務所のご案内
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区・高田馬場駅から徒歩約5分)は、松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)が、中国籍の方を中心とする外国人の刑事弁護と入管手続を主たる注力分野として取り扱っております。刑事事件と在留の問題を別々の専門家に分けて依頼するのではなく、同一の弁護士が最初の接見から入管手続まで一貫して担当いたします。
当事務所には外国人事件専属の中国語通訳が在籍しており、接見、取調べへの立会い、ご家族との打合せに対応いたします。中国国内にいらっしゃるご家族からのご連絡も、微信(WeChat)で直接お受けしております。刑事手続の終了後の在留資格の更新・変更については、提携する行政書士とともに対応いたします。
これまでの解決実績の一部をご紹介いたします。
- 特殊詐欺の受け子として複数回再逮捕された事案において、取調べへの対応と主張立証を尽くし、全件について不起訴処分を獲得した事例。
- 在留資格を失って不法残留で逮捕・起訴された依頼者について、婚姻と認知の手続を実現させたうえで、公的書類がほとんど存在しない状況下でも有利な証拠を収集し、一度の申請で在留特別許可を獲得した事例。
- 覚醒剤取締法違反(営利目的所持)で起訴された依頼者について、証拠の分析と被告人質問・反対尋問を尽くし、無罪判決を獲得した事例。
本記事は一般的な解説であり、個別の事案については弁護士に直接ご相談ください。また、過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。
本記事は2026年8月時点の情報です。
執筆者
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。
舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
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