舟渡国際法律事務所

覚醒剤の営利目的所持・輸入で起訴された場合の量刑と在留の帰結

お問い合わせはこちら

覚醒剤の営利目的所持・輸入で起訴された場合の量刑と在留の帰結

覚醒剤の営利目的所持・輸入で起訴された場合の量刑と在留の帰結

2026/08/13

この記事の中国語版はこちら(本文的中文版请点击这里)

覚醒剤を営利の目的で所持した場合は覚醒剤取締法41条の2第2項により1年以上の有期拘禁刑、輸入した場合は同法41条1項により1年以上の有期拘禁刑、営利目的の輸入であれば同条2項により無期または3年以上の拘禁刑となり、いずれも罰金を併科されることがあります。法定刑に無期を含むため裁判員裁判の対象となり、身柄拘束も長期化します。中国籍の方の場合、入管法24条4号チにより有罪判決それ自体が退去強制事由となるため、争い方の設計が決定的に重要です。

本記事の要点

  • 営利目的輸入は無期または3年以上の拘禁刑で、裁判員裁判の対象となる重大事件です。
  • 営利目的の有無は、量の多さ、小分けの状況、報酬、通信記録などから推認されます。
  • 運搬を依頼されただけの場合、中身の認識と営利目的の双方が争点になります。
  • 入管法24条4号チにより、執行猶予でも退去強制事由となり、実刑ならなおさらです。

営利目的の有無はどのように判断されますか

営利目的とは、財産上の利益を得る目的をいい、自ら販売する意図に限らず、報酬を得て運搬や保管を行う場合も含まれ得ます。裁判所は、覚醒剤の量、小分け用のチャック付き袋や電子秤の所持、多数の連絡先や取引をうかがわせる通信記録、現金の保有状況、渡航の頻度と経路といった間接事実を積み上げて判断します。単純所持であれば10年以下の拘禁刑ですが、営利目的が認定されると1年以上の有期拘禁刑となり、量刑は大きく跳ね上がります。輸入事案では、機内預託手荷物やスーツケースの二重底、体内隠匿など、隠匿の態様それ自体が認識と目的の推認に用いられるため、経緯の説明が結論を左右します。

運び屋と疑われた場合の初動はどうあるべきですか

初動で重要なのは、依頼の経緯を裏付ける資料を失わないことです。空港の税関検査で発見された事案では、その場で説明した内容が後の争点を規定します。知人に頼まれて土産物を運んだ、報酬は渡航費のみであった、荷物は封をされていたといった事情は、認識と営利目的の双方に関わる重要な事実です。携帯電話の通信履歴、送金記録、航空券の手配経緯は、依頼者との関係を示す資料となりますので、消去や初期化をしないでください。取調べでは、共犯者の名前や役割について供述を求められますが、記憶が不確かなまま述べると信用性を損ないます。裁判員裁判を見据え、公判での主張と一貫する説明を早期に整えることが必要です。

在留資格と退去強制の関係はどうなりますか

結論として、この類型では在留の維持は極めて困難です。入管法24条4号チは覚醒剤取締法違反による有罪判決を退去強制事由とし、執行猶予も除外していません。営利目的事案では実刑が通常であり、1年を超える拘禁刑となれば同条4号リにも該当します。別表第二の永住者等でも4号チの適用は排除されません。刑の執行終了後は、入管法上の手続に移行し、退去強制令書が発付されれば送還され、同法5条1項5号により期間の定めなく上陸を拒否されます。日本に家族がいる場合には同法50条の在留特別許可を求めることになりますが、営利目的事犯では許可される見込みは乏しく、断定的な期待を持つべきではありません。

重大事件でどのような弁護方針を立てますか

方針の中心は、中身の認識と営利目的という二つの要件を分けて検討することです。認識が否定されれば無罪となり得ますし、認識が認められても営利目的が否定されれば法定刑の枠が大きく下がります。そのため、依頼の経緯、報酬の名目と額、荷物の外形、渡航目的の合理性を丹念に立証します。また、税関検査や取調べの過程で通訳が不十分であった場合、供述調書の信用性を争う余地があります。退去強制事由の判断における故意や過失の要否については入管実務上争いがあり、当事務所も責任主義の射程を問う訴訟を係属させていますが、結果を保証するものではありません。刑事と入管の双方を通じた長期の見通しが必要です。

よくあるご質問

頼まれて運んだだけでも営利目的になりますか

報酬を得て運搬した場合、営利目的と認定されることがあります。渡航費のみの負担であったか、金銭以外の利益があったか、依頼の経緯が自然かといった事情が判断材料になりますので、依頼に関する記録を保全することが重要です。依頼の不自然さは、営利目的の推認にも用いられます。

営利目的輸入はなぜ裁判員裁判になりますか

法定刑に無期の拘禁刑が含まれる重大事件であるためです。公判前整理手続を経て集中審理が行われ、身柄拘束は長期化します。事実関係と主張を早期に整理し、通訳体制を含めた準備を行う必要があります。公判前整理手続では、争点と証拠を早期に確定させる必要があり、方針の変更が難しくなります。

刑の執行を終えれば在留を続けられますか

続けられません。入管法24条4号チにより有罪判決自体が退去強制事由となるため、刑の執行終了後に入管手続へ移行するのが通常です。同法50条の在留特別許可を求める余地はありますが、営利目的事犯では極めて厳しい判断がされています。刑の執行中から、家族の生活基盤に関する資料を整えておくことが望まれます。

当事務所のご案内

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区・高田馬場駅から徒歩約5分)は、松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)が、中国籍の方を中心とする外国人の刑事弁護と入管手続を主たる注力分野として取り扱っております。刑事事件と在留の問題を別々の専門家に分けて依頼するのではなく、同一の弁護士が最初の接見から入管手続まで一貫して担当いたします。

当事務所には外国人事件専属の中国語通訳が在籍しており、接見、取調べへの立会い、ご家族との打合せに対応いたします。中国国内にいらっしゃるご家族からのご連絡も、微信(WeChat)で直接お受けしております。刑事手続の終了後の在留資格の更新・変更については、提携する行政書士とともに対応いたします。

これまでの解決実績の一部をご紹介いたします。

  • 覚醒剤取締法違反(営利目的所持)で起訴された依頼者について、証拠の分析と被告人質問・反対尋問を尽くし、無罪判決を獲得した事例。
  • 在留資格を失って不法残留で逮捕・起訴された依頼者について、婚姻と認知の手続を実現させたうえで、公的書類がほとんど存在しない状況下でも有利な証拠を収集し、一度の申請で在留特別許可を獲得した事例。
  • 特殊詐欺の受け子として複数回再逮捕された事案において、取調べへの対応と主張立証を尽くし、全件について不起訴処分を獲得した事例。

本記事は一般的な解説であり、個別の事案については弁護士に直接ご相談ください。また、過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

本記事は2026年8月時点の情報です。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)

中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。

舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
微信ID:matsumura1119

この記事の中国語版はこちら(本文的中文版请点击这里)

----------------------------------------------------------------------
舟渡国際法律事務所
住所 : 東京都豊島区高田3丁目4-10布施ビル本館3階
電話番号 :050-7587-4639


東京にて中国人の方をサポート

東京を中心に刑事事件の弁護

----------------------------------------------------------------------

当店でご利用いただける電子決済のご案内

下記よりお選びいただけます。