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ひき逃げ(救護義務違反)で外国人が問われる責任と退去強制のリスク

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ひき逃げ(救護義務違反)で外国人が問われる責任と退去強制のリスク

ひき逃げ(救護義務違反)で外国人が問われる責任と退去強制のリスク

2026/08/13

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人身事故を起こしながら負傷者を救護せずに現場を離れると、道路交通法72条1項の救護義務違反、いわゆるひき逃げとして、運転に起因する死傷の場合は10年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金が定められています。過失運転致死傷罪と併合されるため、事故そのものより逃げた行為が量刑を重くする類型です。中国籍の方の場合、実刑となって1年を超えれば入管法24条4号リにより退去強制の対象となり得ます。接触の認識が争点となることも多く、初動の対応が結論を大きく左右します。

本記事の要点

  • 救護義務違反は道路交通法117条2項により10年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金で、過失運転致死傷罪と併合罪になります。
  • 警察への報告義務違反も別途処罰され、二つの義務違反が同時に問われるのが通常です。
  • 人に接触した認識があったかどうかが最大の争点となり、車両の損傷状況や走行状況が証拠となります。
  • 1年を超える拘禁刑の実刑は入管法24条4号リに該当し、退去強制手続に移行し得ます。

ひき逃げはどのような行為で成立しますか

ひき逃げは、交通事故により人を死傷させた運転者が、直ちに運転を停止して負傷者を救護し、道路における危険を防止する措置を講じる義務を尽くさずに現場を離れた場合に成立します。道路交通法72条1項前段の救護義務に違反し、その死傷が運転者の運転に起因するときは、同法117条2項により10年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金となります。同項後段の報告義務、すなわち事故の日時場所や被害の程度を警察官に報告する義務の違反も、別に処罰されます。実務では、過失運転致死傷罪と救護義務違反、報告義務違反が併せて立件され、それぞれの罪が併合罪として処理されるため、事故態様が軽微でも全体の刑は重くなります。救急車を呼ばずに立ち去った時間が短くても、成立自体は否定されません。

接触に気づかなかった場合はどうなりますか

この類型の中心的な争点は、人に接触して負傷させたという認識の有無です。認識がなければ救護義務違反の故意が欠けます。夜間、雨天、大型車両、音楽の音量といった事情は、認識の有無を判断する材料になります。もっとも、警察は車両前部の損傷、塗膜片、走行速度、事故直後の運転行動などから認識を推認しようとします。したがって、取調べで、何か当たった気はしたという曖昧な表現を用いると、認識ありと評価される危険があります。中国語の通訳を介する場合、気がしたという語感が明確な認識として訳されることもあり得ますので、供述の記載を訳し戻して確認することが不可欠です。車両は早期に鑑定的な観点から記録を残しておくことが望まれます。

ひき逃げは在留資格にどう影響しますか

結論として、実刑となるかどうかが在留の分岐点です。道路交通法違反も自動車運転死傷行為処罰法違反も、入管法24条4号の2が列挙する刑法犯には含まれないため、執行猶予が付いた場合に同号によって退去強制となることはありません。しかし、ひき逃げは量刑が重くなりやすく、被害が重大な事案では1年を超える拘禁刑の実刑もあり、その場合は同条4号リの退去強制事由に該当します。退去強制手続に入ると、入管法44条の2以下の監理措置や仮放免の可否、同法50条の在留特別許可の見通しが問題となります。別表第二の在留資格でも4号リは適用されますので、永住者であっても実刑の重さによっては在留を失う可能性があります。

早期にどのような弁護活動をすべきですか

まず、事故から時間が経っていない段階での自首や出頭は、量刑上重要な意味を持ちます。逃走したまま捜査が進むと、逮捕の必要性が高いと判断され、身柄拘束が長期化しやすくなります。次に、被害者に対する謝罪と賠償を保険の枠を超えて具体化し、示談の成立を目指します。救護しなかった経緯について、事故の認識が薄かったこと、動転していたこと、直後に自ら通報した事情などがあれば、証拠とともに主張します。目標は不起訴処分ですが、それが難しい場合でも、実刑を回避することが在留維持に直結します。判決後を見据え、家族の状況や就労の継続性を示す資料を並行して準備しておくことが有用です。

よくあるご質問

ひき逃げで執行猶予になれば在留資格は残りますか

全部執行猶予であれば入管法24条4号リには当たらず、道路交通法違反は同条4号の2の列挙罪でもないため、直ちに退去強制とはなりません。ただし在留期間更新は裁量判断であり、救護義務違反は素行面で重く評価される点に注意が必要です。更新時には、被害弁償の完了と再発防止の状況を説明する資料が必要です。

接触に気づかず走り去った場合も処罰されますか

人に接触して負傷させた認識がなければ救護義務違反の故意が欠け、成立しない余地があります。もっとも車両の損傷や走行状況から認識が推認されることが多いため、初期の供述内容と車両の記録の保全が結論を左右します。早期に弁護人を通じて車両を確認し、記録化しておくことが望まれます。

後日出頭すれば処分は軽くなりますか

捜査機関に発覚する前の自首は法律上の減軽事由となり得ますし、発覚後でも早期の出頭は逃亡のおそれを弱め、身柄拘束の回避や量刑上の有利な事情として考慮されます。出頭前に弁護人と方針を整理することをお勧めします。出頭の際は、被害弁償の準備状況も併せて示すことが有効です。

当事務所のご案内

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区・高田馬場駅から徒歩約5分)は、松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)が、中国籍の方を中心とする外国人の刑事弁護と入管手続を主たる注力分野として取り扱っております。刑事事件と在留の問題を別々の専門家に分けて依頼するのではなく、同一の弁護士が最初の接見から入管手続まで一貫して担当いたします。

当事務所には外国人事件専属の中国語通訳が在籍しており、接見、取調べへの立会い、ご家族との打合せに対応いたします。中国国内にいらっしゃるご家族からのご連絡も、微信(WeChat)で直接お受けしております。刑事手続の終了後の在留資格の更新・変更については、提携する行政書士とともに対応いたします。

これまでの解決実績の一部をご紹介いたします。

  • 特殊詐欺の受け子として複数回再逮捕された事案において、取調べへの対応と主張立証を尽くし、全件について不起訴処分を獲得した事例。
  • 在留資格を失って不法残留で逮捕・起訴された依頼者について、婚姻と認知の手続を実現させたうえで、公的書類がほとんど存在しない状況下でも有利な証拠を収集し、一度の申請で在留特別許可を獲得した事例。
  • 覚醒剤取締法違反(営利目的所持)で起訴された依頼者について、証拠の分析と被告人質問・反対尋問を尽くし、無罪判決を獲得した事例。

本記事は一般的な解説であり、個別の事案については弁護士に直接ご相談ください。また、過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

本記事は2026年8月時点の情報です。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)

中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。

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ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
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