酒気帯び運転・酒酔い運転で問われる責任と外国人の在留資格リスク
2026/08/13
飲酒運転は道路交通法65条1項が禁じ、呼気1リットル中0.15ミリグラム以上のアルコールが検出されれば酒気帯び運転として3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金、正常な運転ができないおそれがある状態と認められれば酒酔い運転として5年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金が定められています。中国籍の方からは、少量だから大丈夫だと思ったというご相談を受けますが、基準は主観ではなく数値と外形的な観察です。刑事処分に加え、在留期間更新への影響も含めて整理します。
本記事の要点
- 酒気帯び運転は呼気0.15ミリグラム毎リットル以上が基準で、3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金です。
- 酒酔い運転は数値ではなく正常な運転ができないおそれの有無で判断され、5年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金となります。
- 車両提供者、酒類提供者、同乗者も道路交通法上処罰の対象となり得ます。
- 刑法犯ではないため入管法24条4号の2の対象外ですが、更新審査で素行が問われ、実刑なら同条4号リの問題となります。
酒気帯び運転と酒酔い運転はどう区別されますか
両者は判断の基準が異なります。酒気帯び運転は、呼気1リットル中0.15ミリグラム以上または血液1ミリリットル中0.3ミリグラム以上のアルコールが身体に保有されている状態で運転した場合に成立し、道路交通法117条の2の2により3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金が定められています。これに対し酒酔い運転は、数値ではなくアルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態かどうかで判断され、同法117条の2により5年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金となります。歩行検査、直立検査、質問への応答状況などを記録した書面が判断資料となります。したがって、検知値が高くても酒酔いと認定されない場合があり、逆に数値が高くなくても言動から酒酔いと評価される場合があります。
検問や事故直後の初動で注意すべき点は何ですか
初動では、検知に応じるかどうかと、飲酒状況の説明に注意が必要です。呼気検査を正当な理由なく拒めば、それ自体が道路交通法上の罪となり、拒否した事実は不利に評価されます。他方、飲んだ量や時刻については、記憶が不確かなまま多めに述べたり、少なく述べて後に矛盾が生じたりすると、供述全体の信用性が損なわれます。飲酒後に相当時間が経過していた場合や、体調、服薬の影響がある場合は、それを裏付ける資料が重要になります。同席者や飲食店の伝票、決済履歴は時系列を客観的に示す資料です。中国語での取調べでは、程度を表す表現の訳し方によって印象が変わるため、通訳の正確性を確認しながら進めることが望まれます。
飲酒運転は在留資格にどのような影響を与えますか
結論として、罰金にとどまる限り退去強制事由には該当しません。道路交通法違反は入管法24条4号の2が列挙する刑法犯ではなく、同条4号チの薬物事犯にも当たらないためです。1年を超える拘禁刑の実刑となった場合に同条4号リの問題が生じますが、飲酒運転単独でそこまで至る例は多くありません。もっとも、在留期間更新や在留資格変更は入管法21条3項等に基づく裁量判断であり、飲酒運転は社会的非難の強い違反として素行面で重く評価される傾向があります。特に、複数回の違反や人身事故を伴う場合、更新が不許可となるおそれがあります。永住許可申請では素行善良要件が厳格に審査され、一定期間は申請を控えざるを得ない場合もあります。
不起訴や処分の軽減に向けて何をすべきですか
目標は不起訴処分の獲得ですが、飲酒運転は厳正処罰の方針が取られており、検知値が基準を明確に超える事案では容易ではありません。それでも、検知手続に問題がある場合や、運転に至った経緯にやむを得ない事情がある場合は、正面から主張する価値があります。処分の軽減に向けては、飲酒習慣の見直し、専門機関での相談、車両の処分、免許の自主返納といった具体的な再発防止策を実行し、書面で示すことが有効です。会社に運転を要しない業務への配置転換を求めることも考えられます。在留面では、判決や略式命令の内容、再発防止の取組みを説明する資料を、更新申請の際に併せて提出できるよう準備しておくことをお勧めします。
よくあるご質問
酒気帯び運転で在留資格の更新は不許可になりますか
直ちに不許可となるわけではありませんが、更新は入管法21条3項の裁量判断であり、素行善良性が審査されます。初犯で罰金のみの場合は許可される例もある一方、複数回の違反や人身事故を伴う場合は不許可のおそれが高まります。申請にあたっては、判決や略式命令の内容と再発防止策を書面で説明することが有用です。
友人に運転させた場合、同乗者も処罰されますか
運転者が酒気を帯びていることを知りながら同乗を求めた場合、道路交通法により同乗者も処罰の対象となります。車両を提供した者、酒類を提供した者も同様であり、いずれも在留資格の審査で素行として考慮され得ます。会社が業務として飲酒運転を黙認していた場合には、法人としての責任も問題となり得ます。
検知を拒否するとどうなりますか
正当な理由のない呼気検査の拒否は道路交通法上の罪として処罰されます。加えて、拒否した事実は飲酒の程度に関する不利な推認を招きやすく、量刑や処分の判断にも影響しますので、検査自体には応じたうえで内容を争うのが通常です。拒否した経緯についても、後に取調べで詳細に問われることになります。
当事務所のご案内
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区・高田馬場駅から徒歩約5分)は、松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)が、中国籍の方を中心とする外国人の刑事弁護と入管手続を主たる注力分野として取り扱っております。刑事事件と在留の問題を別々の専門家に分けて依頼するのではなく、同一の弁護士が最初の接見から入管手続まで一貫して担当いたします。
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本記事は一般的な解説であり、個別の事案については弁護士に直接ご相談ください。また、過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。
本記事は2026年8月時点の情報です。
執筆者
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。
舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
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