傷害罪で逮捕されたら|示談の重要性と外国人の在留資格への影響
2026/08/13
けんかや職場での押し合いによって相手にけがを負わせた場合、刑法204条の傷害罪として立件されます。法定刑は15年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金であり、罰金刑が選択され得る点が、在留資格を考えるうえで決定的な意味を持ちます。傷害の罪は刑法第27章に属し、入管法24条4号の2の列挙対象に含まれるためです。本稿では、傷害罪の成立範囲、示談の効果、そして拘禁刑と罰金で分かれる在留への帰結を整理します。
本記事の要点
- 傷害罪の法定刑は15年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金と定められています。
- 暴行の故意しかなくても、結果としてけがが生じれば傷害罪が成立します。
- 傷害の罪は刑法第27章にあたり、入管法24条4号の2の列挙対象に含まれます。
- 拘禁刑に処せられれば執行猶予でも同号に該当する一方、罰金であれば該当しません。
どの程度のけがから傷害罪になりますか
人の生理的機能に障害を生じさせれば傷害にあたり、外傷の有無や治療期間の長短は必ずしも要件ではありません。刑法204条の法定刑は15年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金です。打撲や擦過傷のほか、めまいや吐き気を生じさせた場合、髪を切った場合、精神的な機能に障害を生じさせた場合にも傷害と評価された例があります。故意については、けがをさせる意図までは必要でなく、暴行を加える意思があれば足ります。したがって、押しただけのつもりでも、転倒して骨折すれば傷害罪となります。診断書に記載された全治期間は量刑に影響しますが、成立の有無を直接決めるものではありません。相手方の持病や年齢が影響した場合の評価も、事案ごとに検討されます。
示談はどのような意味を持ちますか
傷害罪において示談は処分を左右する最大の要素です。被害者との間で治療費、休業損害、慰謝料について合意し、宥恕の意思を得られれば、初犯であれば起訴猶予となる可能性が相当程度あります。仮に起訴されても、罰金刑にとどまる可能性が高まります。外国籍の方にとってこの違いは決定的です。拘禁刑に処せられれば執行猶予でも入管法24条4号の2に該当する一方、罰金であれば同号には該当しないためです。示談交渉は、被害者の連絡先が捜査機関を通じてしか分からないことが多く、弁護人が間に入る必要があります。当事者が直接接触すると、証拠隠滅や被害者への働きかけと疑われ、勾留が長引く危険がありますので避けてください。
在留資格への影響を具体的に教えてください
別表第一の在留資格の方が傷害罪で拘禁刑に処せられた場合、執行猶予付きであっても入管法24条4号の2の退去強制事由に該当します。傷害の罪は刑法第2編第27章に置かれているためです。これに対し、罰金刑にとどまれば同号には該当せず、退去強制手続には進みません。したがって、この類型では、不起訴を第一目標としつつ、起訴された場合には罰金刑を目指すという二段構えの方針が現実的な意味を持ちます。永住者や日本人の配偶者等の別表第二の在留資格には同号の適用がなく、1年を超える実刑の場合の24条4号リが問題となります。いずれの資格であっても、在留期間更新の審査では素行要件が問われますので、示談の成立は入管手続でも重要な資料となります。
逮捕直後にすべきことは何ですか
最初に取り組むべきは、事実関係の正確な把握と、正当防衛や過剰防衛の可能性の検討です。相手方から先に手を出された事案では、防衛行為としての評価が争点となり、供述の内容が結論を大きく左右します。現場の防犯カメラ映像は上書きされて消えることがあるため、早期の保全を求める必要があります。取調べでは、中国語の通訳を介して押した、殴った、振り払ったといった動作の表現が正確に訳されないことがあり、暴行の態様が実際より強く記録される危険があります。少しでも違うと感じた場合は署名を留保し、弁護人に相談してください。あわせて、勤務先や在留資格への影響を見据え、身柄解放に向けた活動を早期に開始することが重要です。
よくあるご質問
相手が先に殴ってきた場合はどうなりますか
急迫不正の侵害に対する防衛行為であり、必要かつ相当な範囲であれば正当防衛として無罪となります。相当性を超えれば過剰防衛として刑が減軽または免除され得ます。現場の映像や目撃者の確保が重要な争点となります。防衛の相当性は、双方の体格差や凶器の有無なども踏まえて判断されます。
罰金なら在留に影響しませんか
入管法24条4号の2は拘禁刑に処せられた場合を要件としますので、罰金であれば同号には該当しません。ただし、在留期間更新の審査では素行要件が問われますので、示談書や反省の資料を準備しておくことが望まれます。略式手続による罰金となれば、公判を経ずに手続が終了する場合もあります。
示談が成立しない場合の見通しは
被害者が交渉に応じない場合でも、被害弁償金を供託する、贖罪寄付を行うなどの方法で誠意を示すことができます。これらは起訴猶予や量刑の判断において考慮されますので、弁護人と方法を検討してください。被害者の処罰感情が強い事案では、時間をかけた交渉が必要になります。
当事務所のご案内
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区・高田馬場駅から徒歩約5分)は、松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)が、中国籍の方を中心とする外国人の刑事弁護と入管手続を主たる注力分野として取り扱っております。刑事事件と在留の問題を別々の専門家に分けて依頼するのではなく、同一の弁護士が最初の接見から入管手続まで一貫して担当いたします。
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本記事は一般的な解説であり、個別の事案については弁護士に直接ご相談ください。また、過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。
本記事は2026年8月時点の情報です。
執筆者
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
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