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電磁的記録不正作出・供用で立件されたら|要件と在留資格の帰結

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電磁的記録不正作出・供用で立件されたら|要件と在留資格の帰結

電磁的記録不正作出・供用で立件されたら|要件と在留資格の帰結

2026/08/13

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会社の勤怠データを書き換える、電子契約の記録を改ざんする、システム上の残高情報を操作するといった行為は、刑法161条の2の電磁的記録不正作出罪および同条3項の供用罪にあたります。紙の文書と異なり、ログが残るため事後の解析で行為が特定されやすい類型です。本稿では、私電磁的記録と公電磁的記録で異なる法定刑、供用罪の意味、そして文書偽造の章に属することによる在留資格への影響を説明します。技術職の方にとっては、就労資格の維持とも直結する問題です。

本記事の要点

  • 権利義務や事実証明に関する電磁的記録の不正作出は、5年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金です。
  • 公務所または公務員が作るべき電磁的記録の場合は、10年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金となります。
  • 不正に作った記録を事務処理の用に供すれば、刑法161条の2第3項の供用罪が別に成立します。
  • 本罪は刑法第17章に置かれているため、別表第一の在留資格では入管法24条4号の2に該当します。

電磁的記録不正作出罪はどのような行為を処罰しますか

人の事務処理を誤らせる目的で、権利義務または事実証明に関する電磁的記録を不正に作る行為を処罰します。刑法161条の2第1項の法定刑は5年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金であり、対象が公務所または公務員により作られるべき電磁的記録である場合には、同条2項により10年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金に加重されます。電磁的記録とは、電子的方式などで作られ、電子計算機による情報処理の用に供される記録をいい、勤怠管理データ、電子カルテ、電子的な残高記録などが含まれます。権限のある者が内容虚偽の記録を入力した場合であっても、システムの本来の趣旨に反する記録を作出すれば、不正作出にあたると解される場面があります。

供用罪とはどのような犯罪ですか

不正に作られた電磁的記録を、人の事務処理を誤らせる目的で実際に使用する行為を処罰するのが供用罪です。刑法161条の2第3項により、作出罪と同じ刑が科されます。改ざんしたデータをサーバに反映させて処理させる行為、書き換えた記録を上司や取引先のシステムに送信して決裁させる行為などが典型です。紙の文書の行使罪に相当する規定と理解すると分かりやすいでしょう。実務上は、ログイン記録、更新履歴、端末の操作ログなどから、誰がいつ操作したかが客観的に特定されます。他人のIDを用いて操作した場合には、不正アクセス禁止法違反が併せて成立することもあり、罪名が積み重なることで処分が重くなる傾向があります。

在留資格にはどう影響しますか

電磁的記録不正作出罪は刑法第2編第17章「文書偽造の罪」に置かれています。この章は入管法24条4号の2の列挙対象に含まれているため、別表第一の在留資格をお持ちの方が本罪で拘禁刑に処せられた場合、執行猶予付きであっても退去強制事由に該当します。技術・人文知識・国際業務の在留資格でシステム開発や事務処理に従事している方が、業務上のデータを操作して立件された場合には、この点が重大な意味を持ちます。罰金刑にとどまれば同号には該当しませんが、更新審査での素行要件では不利に評価されます。永住者や定住者などの別表第二の在留資格には同号の適用がなく、1年を超える実刑を対象とする24条4号リが問題となります。

起訴前に何をすべきですか

データの改ざんによって生じた損害の回復と、被害を受けた会社や取引先との示談が中心になります。金銭的な損害が明確でない事案では、システムの復旧費用や再監査の費用を含めて協議することになります。あわせて、動機や関与の範囲、上司の指示の有無を客観資料で明らかにし、単独の判断による犯行ではないことを示せる場合には、その事情を主張します。初動では、端末やアカウントの利用状況について、記憶に基づく推測を断定的に述べないことが重要です。ログ解析の結果と食い違えば、虚偽の弁解と受け取られかねません。技術的な内容を通訳を介して説明する場面では、専門用語の訳が不正確になりやすく、書面での補足を求めることをお勧めします。

よくあるご質問

自分の権限内でデータを修正した場合も罪になりますか

正当な業務として権限の範囲内で行った修正であれば、不正作出にはあたりません。もっとも、事実に反する内容を入力して事務処理を誤らせる目的があった場合には、権限の有無にかかわらず本罪の成否が問題となります。権限の範囲は就業規則や業務マニュアルによって画されますので、資料の確認が必要です。

データを元に戻せば処罰されませんか

作出や供用の時点で犯罪は成立しますので、原状回復により当然に不可罰となるものではありません。ただし、速やかな復旧と被害弁償は、起訴猶予や量刑の判断において有利な事情として考慮されます。復旧に要した費用の負担についても、示談の中で協議することが一般的です。

就労資格への影響を教えてください

拘禁刑に処せられれば、執行猶予でも入管法24条4号の2に該当します。加えて、解雇により在留資格に応じた活動ができなくなれば、22条の4による在留資格の取消しも問題となりますので、両面での検討が必要です。転職先を確保できるかどうかが、在留資格を維持できるかの分岐点となります。

当事務所のご案内

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区・高田馬場駅から徒歩約5分)は、松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)が、中国籍の方を中心とする外国人の刑事弁護と入管手続を主たる注力分野として取り扱っております。刑事事件と在留の問題を別々の専門家に分けて依頼するのではなく、同一の弁護士が最初の接見から入管手続まで一貫して担当いたします。

当事務所には外国人事件専属の中国語通訳が在籍しており、接見、取調べへの立会い、ご家族との打合せに対応いたします。中国国内にいらっしゃるご家族からのご連絡も、微信(WeChat)で直接お受けしております。刑事手続の終了後の在留資格の更新・変更については、提携する行政書士とともに対応いたします。

これまでの解決実績の一部をご紹介いたします。

  • 特殊詐欺の受け子として複数回再逮捕された事案において、取調べへの対応と主張立証を尽くし、全件について不起訴処分を獲得した事例。
  • 在留資格を失って不法残留で逮捕・起訴された依頼者について、婚姻と認知の手続を実現させたうえで、公的書類がほとんど存在しない状況下でも有利な証拠を収集し、一度の申請で在留特別許可を獲得した事例。
  • 覚醒剤取締法違反(営利目的所持)で起訴された依頼者について、証拠の分析と被告人質問・反対尋問を尽くし、無罪判決を獲得した事例。

本記事は一般的な解説であり、個別の事案については弁護士に直接ご相談ください。また、過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

本記事は2026年8月時点の情報です。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)

中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。

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ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
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