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業務上横領で刑事責任を問われたら|法定刑・示談・在留資格の要点

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業務上横領で刑事責任を問われたら|法定刑・示談・在留資格の要点

業務上横領で刑事責任を問われたら|法定刑・示談・在留資格の要点

2026/08/13

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会社の売上金や預り金を私的に流用する行為は、刑法253条の業務上横領罪にあたり、法定刑は10年以下の拘禁刑と重く定められています。外国籍の従業員が経理や店舗の売上管理を任されていた事案では、解雇と刑事告訴が同時に進むことも珍しくありません。本稿では、業務上横領罪の成立要件と単純横領罪との違い、被害弁償が処分に与える影響、そして入管法における横領の罪の位置づけと在留資格更新への影響を整理します。刑事処分と雇用の帰趨が同時に動くため、優先順位の設定が重要になります。

本記事の要点

  • 業務上横領罪は刑法253条により10年以下の拘禁刑とされ、罰金刑の定めがありません。
  • 業務として他人の物を占有する立場にあることが加重の理由であり、単純横領罪(5年以下)より重く扱われます。
  • 横領の罪は刑法第38章にあり、入管法24条4号の2が列挙する章には含まれていません。
  • 1年を超える実刑となれば入管法24条4号リに該当し、退去強制の対象となり得ます。

業務上横領罪はどのような場合に成立しますか

業務上他人の物を占有する者が、その物を自分のものとして処分したときに成立し、刑法253条により10年以下の拘禁刑に処せられます。単純横領罪(刑法252条、5年以下の拘禁刑)より重いのは、反復継続する事務として財物を預かる地位にあり、その信頼を裏切る点が重視されるためです。典型例は、店舗の売上金を自分の生活費に充てる、会社名義の口座から自分の口座へ振り替える、顧客からの預り金を返還せず費消するといった行為です。会計処理の遅れや一時的な立替えとの区別が問題となる事案もあり、返還の意思と資力、帳簿上の処理、上司の了解の有無などが判断材料となります。被害額は起訴・不起訴の判断と量刑を大きく左右するため、集計の正確性を早期に検証する必要があります。

会社から告訴された場合、何から着手すべきですか

最初に行うべきは、被害額の確定と原資の確保、そして会社との示談交渉です。業務上横領は親告罪ではないため、告訴の取下げだけで手続が終わるわけではありませんが、全額弁償と会社の宥恕は、起訴猶予や執行猶予の判断において決定的な意味を持ちます。他方で、会社側が主張する被害額に、当事者が関与していない不明金や、経費として処理すべき支出が含まれていることもあります。安易に高額の被害額を前提とした示談書に署名すると、後の刑事手続で被害額を争えなくなるため、弁護人を通じて資料の裏づけを確認しながら進めることが重要です。取調べでは、記憶が不確かな個々の支出について迎合的に認める供述をしないよう注意してください。

横領で有罪になると在留資格はどうなりますか

入管法24条4号の2は横領の罪を列挙していません。同号が対象とする刑法の章には、窃盗強盗の第36章や詐欺恐喝の第37章は含まれますが、横領の罪が置かれた第38章は含まれていないためです。したがって、業務上横領罪で執行猶予付きの拘禁刑となった場合、別表第一の在留資格であっても同号による退去強制事由には直ちに該当しません。もっとも、1年を超える拘禁刑の実刑であれば24条4号リの対象となり、退去強制手続に進みます。また、就労資格をお持ちの方は、有罪判決に伴う解雇によって在留資格に応じた活動を継続できなくなり、入管法22条の4による在留資格の取消しや、更新不許可の問題が現実化します。刑事と入管を切り離さずに検討する必要があります。

不起訴を目指すうえでの実務上の要点は何ですか

被害弁償の実現可能性を早期に見極め、資金計画を含めた具体的な提案を検察官に示すことが要点です。分割弁済であっても、連帯保証や公正証書の作成によって履行の確実性を高めれば、起訴猶予の判断において考慮されます。あわせて、犯行に至った経緯、生活状況、再犯防止の体制を客観資料で示します。就労資格の維持を目指す場合は、解雇後の受入先の確保が在留資格該当性の維持に直結するため、刑事弁護と並行して進める必要があります。初動では、会社の内部調査に対する回答が事実上の自白調書として扱われることがあるため、社内ヒアリングに応じる前に弁護人へ相談してください。通訳を介した社内調査では、金額や日付の聞き取りに誤りが生じやすい点にも注意が必要です。

よくあるご質問

全額返済すれば起訴されませんか

必ずしもそうではありませんが、被害額が回復し会社の宥恕が得られていれば、起訴猶予となる例は少なくありません。判断には、被害額の大小、期間の長短、隠蔽工作の有無、前科の有無なども影響します。弁償の時期は早いほど有利に働きます。分割弁済の場合でも、履行を担保する仕組みを整えれば有利な事情として考慮されます。

執行猶予がついた場合、在留は継続できますか

横領の罪は入管法24条4号の2の列挙章に含まれないため、執行猶予付き判決だけで直ちに退去強制となるわけではありません。ただし、解雇により在留資格に応じた活動ができなくなれば、22条の4の取消しや更新不許可が問題となります。更新申請までに新たな受入先を確保できるかどうかが、実務上の分岐点となります。

会社が主張する被害額に納得できません

被害額は量刑と処分を左右する重要な事実ですから、争う意義があります。帳簿、伝票、口座履歴を精査し、当事者の関与が認められない支出を切り分けます。示談書に署名する前に、金額の根拠を必ず確認してください。被害額が減れば量刑も軽くなりますので、資料の精査には十分な意味があります。

当事務所のご案内

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区・高田馬場駅から徒歩約5分)は、松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)が、中国籍の方を中心とする外国人の刑事弁護と入管手続を主たる注力分野として取り扱っております。刑事事件と在留の問題を別々の専門家に分けて依頼するのではなく、同一の弁護士が最初の接見から入管手続まで一貫して担当いたします。

当事務所には外国人事件専属の中国語通訳が在籍しており、接見、取調べへの立会い、ご家族との打合せに対応いたします。中国国内にいらっしゃるご家族からのご連絡も、微信(WeChat)で直接お受けしております。刑事手続の終了後の在留資格の更新・変更については、提携する行政書士とともに対応いたします。

これまでの解決実績の一部をご紹介いたします。

  • 特殊詐欺の受け子として複数回再逮捕された事案において、取調べへの対応と主張立証を尽くし、全件について不起訴処分を獲得した事例。
  • 在留資格を失って不法残留で逮捕・起訴された依頼者について、婚姻と認知の手続を実現させたうえで、公的書類がほとんど存在しない状況下でも有利な証拠を収集し、一度の申請で在留特別許可を獲得した事例。
  • 覚醒剤取締法違反(営利目的所持)で起訴された依頼者について、証拠の分析と被告人質問・反対尋問を尽くし、無罪判決を獲得した事例。

本記事は一般的な解説であり、個別の事案については弁護士に直接ご相談ください。また、過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

本記事は2026年8月時点の情報です。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)

中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。

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ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
微信ID:matsumura1119

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